幼児の思いにこたえる環境づくりこんなところで遊びたい

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自由な遊びが中心の幼稚園教育要領に改訂されて10年。自発的な遊びを中心とした園生活の一層の実現を図るための工夫と研究成果を纏めたもの。


復刊時予価: 2,585円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-941406-9
ジャンル:
幼児教育
刊行:
対象:
幼児・保育
仕様:
A5判 164頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに
第1章 一人一人の育ちを支える援助
1 子どもを理解するということ ―生きられる世界―
(1) 「人を理解する」ってどんなこと?
(2) 「世界」って何?
(3) 「私たちの意味」と「私の意味」
(4) 「体験」って何?
(5) 子どもを理解すること
2 その子にとっての物の意味
(1) 物の意味からとらえた物的環境
(2) 物の意味の現れ方
(3) 物の意味の現れ方を左右する要素
3 子どもへの援助を明らかにするための観点
(1) <人間関係>を観点として
(2) <目的意識><時間意識>を観点として
(3) <気分のあり方>を観点として
(4) <興味・関心>を観点として
第2章 一人一人の遊びが生き生きする保育者の役割
1 子どもの遊びのリズムに合わせた援助
(1) 子どもの遊びにはリズムがある
(2) 子どもの遊びの山谷
(3) 子どもの遊びのリズムに即した援助
2 子ども一人一人の遊びが生き生きするために
(1) 流動的な子どもの遊び
(2) 流動的な遊びにどうかかわるか
(3) 集団の遊びが生き生きするために
第3章 一人一人を育てる保育者の言葉かけ
1 入園したばかりの子どもたちに
(1) 朝の受け入れで
(2) 身のまわりの始末で
(3) 遊びで
(4) 集まりのときに
(5) 降園のときに
2 生活習慣に関して
(1) ズックの履きかえで
(2) トイレに関して
(3) 片付けで
3 トラブルが起きたときに
(1) 物の取り合い
(2) たたかれて泣く
(3) 遊びのじゃまをする
(4) ルール(順番)を守らない
4 人間関係に目を向けて
(1) 遊びに入れない子に
(2) リードしすぎる子に
(3) いいなりになる子に
(4) おわりに  62
第4章 個を生かす集団づくり
―仲間関係の発達とその援助―
1 仲間関係の芽生え
2 遊びの広がりと仲間集団の発展
3 友達関係のタイプとその特徴
4 友達になじめない子どもの理解と援助
5 集団の和を乱すタイプの子どもの理解と援助
第5章 子どもに体験される園庭の空間
1 体験される空間と活動
(1) 空間は体験されている
(2) 空間の体験が活動を左右する
(3) 園空間は「遊ぶ空間」
(4) 空間の性質を左右するもの
2 体験される園庭の空間
(1) 「私たちの空間」と「私の空間」
(2) 「広さ」と「開放感」
(3) さすらえる空間
(4) 「見通しのよさ」と「見通しの悪さ」
(5) 空間の中の隔たり
3 園庭の空間の意味を子どもが生み出す
(1) 友だちと遊ぶ
(2) 物をつくる・環境に手を加える
第6章 園舎と園庭とのつながり
1 園舎の内と外とのつながり
(1) 保育室,ワークスペース,遊戯室など園舎内の役割
(2) 園庭の役割
(3) テラスと木工コーナーの役割
(4) 日本の民家の伝統―内と外とのつながり―
(5) 雨降りと雪降りのときの園舎と園庭
(6) 子どもにとっての内と外とのつながりの意識
2 子どもの遊びの場 ―天候やその子の思いとの関連―
3 園庭に開かれた木工コーナー
第7章 園庭の再発見
1 自然とのかかわり
(1) 虫の世界を見つめる
(2) 砂,水,日光にふれて
(3) 雪の日の“もり”で
2 人工物とのかかわり
(1) 使い方を固定化しない固定遊具
(2) 高いところの心地よさ
(3) 生まれかわる“もり”の空間
3 人とのかかわり
(1) 友だちとの出会い
(2) 異年齢の子どもたちとのかかわり
付録 富山大学教育学部附属幼稚園園庭MAP
あとがき

はじめに

 自由な遊びが中心の幼稚園教育要領に改訂されて10年が経過しました。しかし,未だに保護者や地域の方々より,遊びをとおして保育を進めるという考えがわかりにくいという意見が多く,まだまだ十分な理解を得ていません。学級崩壊の言葉が出始めたころは,今の幼稚園教育がマスコミなどからきびしいバッシングを浴びました。これらの指摘は真摯に受けとめたいと思います。

 原因は幼稚園教育要領の解釈の違い,研究者と保育者との対話不足,地域ごとの要領の伝達方法,保育者の教育要領の把握の力量,保護者への説明責任の自覚などにあるようです。また,現在の教育要領の理想の実現はやさしくはありません。保護者による遊びの本質への理解不足,潜在的な知的な欲求,幼稚園の不十分な物的環境や保育者の人員配置の少なさなどの問題があるからです。

 本園では,こうした理解不足の現状や問題点をしっかり受けとめながら,平成8年度より現行の教育要領の精神である自発的な遊びを中心とした園生活のいっそうの実現を図り,これを「環境の解釈」と「援助のあり方」を中心に,「園舎から園庭に」場を移しながら研究を進めてまいりました。

 本書は,まず附属幼稚園の日々の保育実践から研究を進めてくださっている教育学部の三人の先生に理論編をお願いしました。そして,本園の紀要や保育学会で公開してきた研究に,さらに園庭環境での育ちの実践を加えました。

 今,幼児教育観の構築には複眼的な発想,研究者と保育者との共同作業が不可欠です。観念倒れしないパートナーシップと言行の一致がキーになると信じます。本書はこの実現のために,教育学部の幼児教育研究者と附属幼稚園の対等な連携や本園の非常勤講師との共同作業をとり,編集企画はコラボレーション(双方向的な共同研究)とし,各章や節は個人の責任執筆の形をとりました。

 本書が,自由遊びによる保育の理解の一助となることを期待するとともに,同時にきびしいご批判とご指導を賜わりますことを切にお願いします。


  1999年9月   富山大学教育学部教授・附属幼稚園長 /長谷川 総一郎

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