こんな子いるよね!幼児期からの特別支援教育
「子ども理解」のためのヒント集

こんな子いるよね!幼児期からの特別支援教育「子ども理解」のためのヒント集

好評4刷

集団生活になじめない「気になる子」の理解と支援のためのヒント

幼稚園や保育所で集団生活になじめない「気になる子」がふえてきました。その理由には、社会や環境の変化とともに「発達の問題」があります。幼稚園や保育所によくいる子どもたちの例を取り上げ、発達的な見方も含めた視点からの子ども理解と支援の解説を試みました。


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ISBN:
978-4-18-936112-1
ジャンル:
幼児教育
刊行:
4刷
対象:
幼児・保育
仕様:
A5判 148頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年12月16日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
T章 ことばは発達のサイン
1 コミュニケーションとことば
2 ことばの発達のみちすじ
@ことばを話すまで  /A初めてのことば(1歳頃)  /C文字の読み書き  /B文法がわかる(2歳頃)
3 さまざまなことばの問題
@発達の遅れ  /A学習や行動の問題  /B社会性の問題  /C聞こえの問題  /D発音の問題  /E情緒の問題  /F虐待などの養育環境の問題
U章 じっとしていられない子どもたち〔幼児と多動〕
1 多動性と衝動性
2 多動性や衝動性の要因
3 多動な子どもたちへの支援の基本
V章 上手に遊べない子どもたち〔幼児と社会性〕
1 社会性のつまずき
2 広汎性発達障害(PDD)
3 高機能PDDの子どもたちへの支援の基本
W章 5歳になったら
1 小学校生活を送るための基本ができる時期
@基本的生活習慣  /Aことばとコミュニケーション  /B運動  /C遊びと集団参加  /D学習の準備条件(レディネス)
2 5歳児教育相談(健診)の必要性
3 心配なとき,どうしたらよいか
@働きかけの工夫をする  /A相談する地域の専門機関
X章 さまざまな支援の具体例
<保育所での実践>
1 自分から話そうとしないAちゃん(3歳児)
2 保育者との安定した関わりがなかなか作れないBちゃん(5歳児)
3 おむつがなかなかはずせないCくん(3歳児)
4 昼寝ができないDくん(4歳児)
<身辺自立>
5 一人で着替えができないEくん(3歳児)
6 偏食が目立つFくん(4歳児)
<ことばとコミュニケーション>
7 人前では話さないGちゃん(5歳児)
8 会話がかみ合わないHくん(5歳児)
<運  動>
9 はさみが上手に使えないIさん(5歳児)
10 歩き方など身体の動きがぎこちないJくん(3歳児)
<遊びと集団参加>
11 じっとしていられないKくん(4歳児)
12 ひとり遊びばかりしているLくん(4歳児)
13 マイペースでみんなと一緒に行動できないMちゃん(4歳児)
14 乱暴な行動が目立つNくん(4歳児)
15 保育者のそばを離れないOちゃん(3歳児)
<学習の準備条件>
16 絵が描けないPちゃん(5歳児)
17 生活のリズムが乱れているQくん(5歳児)
18 文字に興味を示さないRくん(5歳児)
<専門機関での支援>
19 療育機関 幼児言語教室での支援
20 療育機関 発音の指導
21 療育機関 社会性の指導
22 聾学校での支援(0〜2歳児)
23 特別支援学校での支援(5歳児)
あとがき
索引

はじめに

■こんな子いるよね

 昔から「這えば立て,立てば歩めの親心」といわれてきました。わが子の成長は,昔も今も変わらない,すべての親の願いでしょう。ところが最近,幼稚園や保育所で,うまく集団生活になじめない「気になる子」が増えてきました。

  着替えがなかなかできずに,床でごろごろしている

  お昼寝の時間に眠れず,他の子を起こしてしまう

  ブロック遊びに没頭し,他の子がさわると怒る

  席に着いていることができないで飛び出してしまう

  ちょっとしたことでかっとなり,トラブルが絶えない

  話しかけても返事をしない

  他の子とかかわらない

  自分の気に入ったもの以外は拒否する

(図省略)


  こういった「気になる子」は,保育者からは「お母さんが甘やかすから」「経験させていないから」と考えられていることが多いようですが,本当にそれだけでしょうか。


■社会の変化と発達の問題

 子どもを取り巻く環境や社会は,大きく変わってきています。現代の子どもたちは,生まれたときからテレビやビデオがある環境の中で育っています。外では安心して遊べる場所が減り,室内での遊びの時間が増えました。ゲーム機の普及は,子ども同士の関わりを減らし,遊びの発達にも変化が起きています。生活全体が夜型になり,「早寝早起き」の子どもばかりではなくなってきています。このような環境の変化によって,子どもにとって「学びのチャンス」が減ってしまいました。「気になる子」が増えている理由の一つは,このような社会や環境の変化でしょう。


 「気になる子」が増えているもう一つの理由は,発達の問題です。手や足の障害や,発達の遅れ(知的障害)は,目に見えるので理解しやすい障害です。しかし,最近では,LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害),高機能自閉症,アスペルガー症候群といった,見えにくい発達の障害があることがわかってきました。LDやADHD,高機能自閉症等の子どもたちは,「わかっているように見えるのに,うまくやれない子ども」です。理解しているように見えるのに,日常生活ではうまくやれないので,「親のしつけの問題」「本人のわがまま」と誤解されやすいのです。

 環境だけが原因であれば,経験を積めばできるようになるでしょう。しかし,発達上のつまずきがある場合には,ただ経験を積むだけでは,うまく学べません。子どもの特性を理解し,それに合わせた支援を行うことが必要になります。


■「気になる子」は「困っている子」

 乳幼児期は個人差がとても大きい時期です。発達障害とはいえない子どもたちの中にも,じっとしているのが苦手だったり,自分の気持ちをうまく言えなかったり,日常生活でうまくやれない子どもはいます。うまくやれない理由は,子ども自身の性格であったり,環境の変化へのとまどいであったり,家族の問題であったり,発達の問題であったりと,いろいろかもしれません。しかし,理由は違っても,子どもたちは日常生活でうまくやれないことに,いらだったり傷ついたりしています。一番困っているのは,実は子ども自身なのです。


 子どもの行動には,必ずその子なりの「理由」があります。時々,「理由もなく暴力をふるう」という表現をすることがありますが,それは違うと思います。「理由がない」のではなく,「理由を説明できない」のです。その子なりの理由を考えてみましょう。仲間に入れないさびしさであったり,ことばでうまく言えないことへのいらだちであったり,その子にとっては許し難い何かがあったりするのではないでしょうか。さびしさを感じている子どもには,あたたかい接し方が必要でしょう。ことばの表現がうまくできない子どもには,どう言えばよいのか教え,手伝ってあげることが必要でしょう。

 保育者にとって「気になる子」「困る子」は,実は「困っている子」です。保護者や保育者が,子どもたちの困難さを理解し,あたたかく支えることを心がけたら,生活の様子はずいぶん違ってくるでしょう。

(図省略)


■子どもは成長する存在

 子どもは,成長するエネルギーの固まりです。どんなに困難さを抱えた子どもであっても,必ず成長していきます。子どもの成長の可能性を支えるためには,保護者や保育者を中心とした周囲の理解と適切な支援が大切です。

 子どもを理解し必要な支援を行っていくためには,できるだけ早い時期に,子どもの特性に気づいてあげることが望ましいのです。早期に気づき支援を開始すれば,子どもたちは大きく成長していきます。逆に,気づきが遅れ,子どもの能力以上の努力を無理強いしたり,厳しい叱責ばかりを重ねたりするなど,本人を迫害するような対応をしてしまうと,大きなダメージを受けてしまうことが少なくありません。周囲の理解と対応によって,子どもの成長の様子はずいぶん変わるのです。


 乳幼児期は,さまざまな子どものつまずきが「障害」なのか「個性」なのか,診断することがとても難しい時期です。ですから診断にこだわらずに,子どもが困っていたら具体的な支援の方法を考え,日々の指導の中で実践することが重要です。「○○くんが自閉症かどうか」を問題にするよりも,「○○くんにどんな支援が必要か」を考えることの方が大切なのです。


 この本では幼稚園や保育所によくいるような子どもたちの例を取り上げ,発達的な見方も含めた視点からの子ども理解と支援の解説を試みました。発達障害の可能性のある子どもたちもふくめた,すべての子どもたちの成長を支えるための手がかりの一つにしていただけると幸いです。

著者紹介

鳥居 深雪(とりい みゆき)著書を検索»

植草学園短期大学福祉学科

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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