- はじめに
- T 幼児のあそび
- [1] 幼児のあそび
- [2] あそびの助け方
- [3] あそびの中における問題解決
- [4] 幼児の生活とあそび
- [5] あそびについて
- コラム1 母語教育
- コラム2 課業での「自由参加」を,なぜ選ぶか
- U 幼児の文学
- [1] お話を語ること
- [2] 文学あそびを楽しむために
- [3] 「こすずめのぼうけん」
- [4] 子どもを知ること,子どもと話すこと
- [5] 子どもに詩をどう手渡すか
- V 幼児の環境認識
- [1] 環境認識とは何か
- [2] 環境認識の理論的背景
- [3] 環境認識の実際
- W 幼児の数学
- [1] 子どもの世界と数学
- [2] 乳児の世界に応えて
- [3] 幼児の世界
- [4] 言葉と思考
- [5] あそびや課業の紹介
- [6] 絵本やお話の世界
- X 幼児の描画・手仕事
- [1] 心配な環境として
- [2] 絵を描くことが好きであり続けるために
- [3] 身近な大人自身が味わい深い人に
- Y 幼児の体育
- Z 保育士の研修
- [ こころ
- 〜幼児理解とストレス〜
- [1] 身近にこんな子どもはいませんか
- [2] 意外に知られていない,ストレスって何?
- [3] rストレスは脳疲労? そのメカニズム
- [4] ストレス解消にはリラクゼーションが不可欠
- [5] 幼児理解にストレスの視点を
- \ 食事
- [1] 園の食事がおいしいのか,そうでないのか
- [2] 私たちの仕事で今,改めて大切なことは
はじめに
私たちは,今まで独自のコ研の教育プログラムというものなしで,保育をしてきました。全くなかったというよりは,ハンガリーの教育プログラムを日本で実施するとすれば,こうなるだろうという想定のもとに,各園で工夫をこらし,保育してきたのです。
しかし今回,各分野を見渡して,一つにまとめて「コ研の教育プログラム」として出版することになりました。文章化されていない分野の方針(プログラム)を明確にし,各分野のちぐはぐな部分やバラツキをなくすためです。
今回出版されたコ研の「教育プログラム」は,あそび・文学・環境認識・数学・描画・体育などから構成され,これまで分野別にしか見ることができなかった保育プログラムを包括的に見ることができます。人を育てる仕事をする者が,人間のする行為の中で,「何があることの目的なのかが分かっている」のはとても大事なことです。課題を分かって,初めて目的がはっきりすることも多いのです。教育プログラムの文章化の大切さは,ここにあると言えるかもしれません。なぜこんなことをするのだろう? これは,分かっているようでとても難しいことです。
教育プログラムは,いわば目的と課題の複雑に入り組んだネットワークだということが言えます。
保育者が書くことは,とても大事です。なぜなら,書くことによって,一番目に大事なこと,二番目に大事なことと,優先順位がはっきり見えてくるからです。それが分かれば,次の課題も自然に生じてきます。
私たちの教育プログラムとて,もちろん理想からは程遠いものですが,読者の方々に,課題と目的の違いをはっきりさせることができたらと願います。
2007年 3月 /羽仁 協子
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