- はじめに
- あると便利なもの
- 1 たんぽぽであそぼ
- 2 葉っぱであそぼ@
- 3 葉っぱであそぼA
- 4 つる、服にくっつく草
- 5 雑草であそぼ
- 6 花であそぼ@
- 7 花であそぼA
- 8 枯葉であそぼ@
- 9 枯葉であそぼA
- 10 どんぐりであそぼ
- 11 松葉、松ぼっくり
- 12 松ぼっくりのプレゼント
- 13 タネであそぼ
- 14 果物のタネ
- 15 果物や野菜であそぼ
- 16 野菜を植えよう@
- 17 野菜を植えようA
- 18 ダンゴ虫・ハサミ虫
- 19 虫の鳴き声を聞こう
- 20 虫取りに行こう
- 21 アゲハチョウを飼おう
- 22 小動物を見よう
- 23 動物にインタビュー
- 24 動物とふれあう
- 25 ペットの写真を持ってきて
- 26 リサイクルおもちゃ
- 27 シャワーであそぼ
- 28 風船であそぼ
- 29 ホースの水でバシャバシャ
- 30 シャボン玉
- 31 ままごと@
- 32 ままごとA
- 33 おしゃれごっこ
- 34 町づくり、工事現場ごっこ
- 35 秘密基地づくり
- 36 ウルトラマンごっこ
- 37 汽車ごっこ
- 38 風船あそび、巨大風船
- 39 雨の日には
- 40 寒い日には
はじめに
1 自然とふれあう
本書は、自然や小動物とふれあったり、遊ぶことがテーマです。
都市化、住宅化が進み自然が少なくなる一方、共働きで不在がちな両親、おけいこごとで忙しい子ども。家庭自体も大きく変化しつつあります。物質的な豊かさに価値をおき、何につけても結果を早急に求めたりと、子どもたちの生活もそうした社会の影響を大きく受けています。そのためか、日常生活の中でゆっくりと散歩し、季節の変化に目を向け、自然と心を通わせることがずいぶん少なくなったように思います。
また、住宅事情もあってか、小動物を飼いたくても、なかなか家庭で飼えなくなってきました。それだけ、幼稚園生活での自然や動物とのふれあいが、子どもたちにとって大きな意味を持ってきたとも言えます。
2 小さな変化に目を向ける
自然とふれあうといっても、野外への遠足といったイベントだけではありません。園庭の片隅に、散歩の途中の道端に、目を向けてみましょう。空の雲ひとつにしても季節によって表情が違います。地面に目を向ければ、そこには、小さな虫や草花がしっかりと生きています。
「わあ、いたいたー」と子どもたちのはずんだ声。冬、葉っぱの下には小さなテントウムシが何びきも寄り添っています。園庭の花壇のところには、アリがせっせと土を運び出して巣を作っています。それをじっと座り込んで見ている子。花壇に植えたタネがちょこんと小さな芽を出した朝、「ね、ね、ほら、ちっちゃなはっぱがでたよ、げんきだよ」と息を切らしてかけてきて教えてくれた子。
小さな自然の変化や小動物や虫との出会いや発見は、子どもたちにとって、ドキドキワクワクする大事件なのです。私たち大人だってずっと昔、小さい頃は毎日、草花や動物と心を通わせおしゃべりをしてきたはずです。大人になるにつれてそうしたことに感動できる感性を、日常の忙しさの中に置き忘れてしまったのかもしれません。
でも、不思議です。子どもたちといっしょにいると、こちらまで心から「わあー見て見て、すごーい」と感動してしまうのです。むしろ私の方が子どもから、たくさんのものをもらっているのかもしれません。
3 自然の持つ力
自然や動物には、人の心を癒してくれる力があるようです。日々の生活でイライラしたり、ストレスを感じている時、海辺でたたずみ、何度も押し寄せては引く波を見ていると気持ちがとても楽になります。自然の中にいると、ただそれだけで心が癒され、優しく暖かなものに包まれているような感じさえします。自然は何のなぐさめの言葉も言わないのに人の心を大きく包んでくれ、傷を癒してくれます。自然の中にいると母親に抱かれているような安らぎを感じます。これはきっと大人だけではないはずです。
小さい頃、自然の中でおもいっきり遊び、生き物を見たり、ふれあった経験は、子どもの心の根っこの部分に自然や動物を大切にし、慈しむ気持ちを作り上げていくことでしょう。
4 自然や命を大切にする
どしゃぶりの雨の日、野良犬がとぼとぼと外を歩いているのを見て、子どもたちは「おうちあるのかな? 雨にぬれると…さむくてかぜひいちゃうよー、だいじょうぶかな」としきりに心配しています。優しさや思いやりは、長い時間をかけて、その子どもの個性や環境と絡み合って心の中に育っていきます。子どもは、保育者の自然や動物への接し方や感じ方をとてもよく見ていますし、それが子どもたちに大きく影響することは、言うまでもありません。
環境や自然保護は、人間自身が大きな自然の一部であって、その中で生かされている存在であること、どんな動物も自分と同じように痛みや苦しみを感じ、一生懸命生きている命であることを知ること、これが根本だと思います。
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- 明治図書