まえがき
1 五感全部で
言葉の活動というと3〜6歳の年齢では、ひらがなを読んだり書いたり、といった狭い範囲での学習を考えがちです。ところが、実際ひらがなを鉛筆で書くには、かなりの筆圧が必要で、文字を書くのは子どもにとっては大変な作業です。また、ひらがなを読み始めのころは、物語を読むにしても字を読むことだけにエネルギーを使ってしまい、内容を理解するまではいきません。
幼児期の子どもは、五感全部で感じてそれを表現します。砂を触れば「見て見て! サラサラだよ。」とうれしそうに、にこっと笑います。秋、落ち葉を踏みながら、カサカサという音の中に子どもたちは、秋の到来を感じ取っています。
子どもは大人よりずっと感受性が鋭く、自然の小さな変化にも気が付き、感動する心をもっています。子どもたちといると、はっとさせられることがよくあります。チューリップが咲いて、とてもうれしかったこと、雨の日、犬が濡れながら歩いていて、かわいそうだったことなど、小さな胸をいっぱいにして話してくれます。
2 いろいろな形で表現
こうした感動を言葉、そして言葉以外に体でも表現してみましょう。動物、あるいは自分以外の人物をよく観察して、真似するのも楽しいものです。また、忍者ごっこ、ままごとといったごっこ遊びも子どもは大好きです。
本書の前半は、こうしたごっこ遊びを中心に、まとめました。自分の気持ちを表現するには、いろいろな手段があります。野菜の気持ちになって野菜の真似をしたり、嵐やかみなりの音を感じたままに言葉にしてみたり……。
保育者は、言葉を教えるのではなくて、こうした生き生きとした子どもの感受性を引き出していきましょう。どの子どもにも、それぞれの個性があって子どもの数だけ感じ方もあるし、表現の仕方もあります。
それにはまず、保育する人自身が、日常の小さな出来事にもワクワク、ドキドキする感性豊かな心をもつことが大切でしょう。
3 言葉遊び
後半は、いわゆる文字を扱っています。ただ、ここでも、どうしたら子どもが文字に興味をもって楽しめるかを考え、ゲーム、言葉遊びを中心としました。
例えば、濁音なら「うさき、うさき、てんてんをつけたら、うさぎ」とリズムをつけて歌にします。「たいこん」は「だいこん」と濁音を含む言葉なら、いろいろできます。
ひらがなを読むにしても、なにも50音表で読まなくても、友達の名前、看板、テレビのキャラクターなど、子どもたちの身の回りに文字を読む機会はたくさんあります。
狭い意味での紙と鉛筆を用いた学習ではなく、ごっこ遊びや、表現遊びの中で、言葉への興味を伸ばしていきましょう。
1998年夏 /和田 ことみ
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明治図書
















