- はじめに
- 第1章 不登校がきょうだいに与える影響
- ―家庭に何が起きるのか?
- 1 「1人だけ」の問題では終わらない現実
- 2 きょうだいに与える、見えない影響
- 3 家庭内の空気が変わるとき、何が始まるのか
- 4 不登校が「家庭全体の問題」になる構造
- 第2章 それぞれの視点から見た不登校
- ―親・きょうだい・本人にもたらされるものは何か?
- 1 親が背負うプレッシャーと罪悪感の増幅
- 2 学校に行っている(行っていた)きょうだいの葛藤
- 3 不登校の子が感じる「自分のせい」という重さ
- 4 家族関係がギクシャクしていくプロセス
- 第3章 逃れるべき3つの「焦り」
- ―親が楽になったとき、子どもの時間が動き出す
- 1 「なんとかしなければ」という焦り
- 2 「普通に戻さなければ」という焦り
- 3 「親の対応ですべて決まる」という焦り
- 4 親が楽になることで起きる、ポジティブな変化
- 第4章 きょうだいの扱い方の基本
- ―いい子にしない、比較しない、管理しない
- 1 「いい子」役をつくらない
- 2 「比較」をしない
- 3 「管理」をしない
- 4 きょうだいそれぞれを「別の人」として見る
- 第5章 生活リズム、家庭内ルールの整え方
- ―生活習慣が崩れると、家族全体が崩れる
- 1 「普通」という枠を外して生活リズムを捉える
- 2 家族全体のペースが崩れていく仕組み
- 3 「正しいこと」より、「今できること」を選ぶ
- 4 無理なく続く家庭内ルールをつくる
- 第6章 勉強、学校との距離感の整え方
- ―きょうだいをがんばらせ過ぎないために
- 1 勉強の話が家庭内の緊張を高める
- 2 「差」ではなく、「違い」と捉える
- 3 無理なく続けられる形で学校との関係をつくる
- 4 学びを生活に戻す
- 第7章 親と子の居場所づくり
- ―家でも外でも「安心できる空間」をつくる
- 1 子どもの居場所より先に必要な、親の居場所
- 2 家の中に「安心ゾーン」をつくる
- 3 親が家庭外の居場所をもつ
- 4 親の居場所が増えると起きるポジティブな変化
- 第8章 家庭内コミュニケーションの整え方
- ―言葉の選び方がきょうだいも救う
- 1 親が無意識に使ってしまう、子どもを傷つける言葉
- 2 伝えているつもりで、伝わっていない現実
- 3 「介入しない」ことで、きょうだい間の会話を守る
- 4 「言わない」ことで、支えになる
- 第9章 心が軽くなる、新しい日常のつくり方
- ―家族で不登校を乗り越える
- 1 「解決」ではなく、「共に生きる」
- 2 家族それぞれが楽になる選択をする
- 3 変わった日常を肯定する
- 4 子どもの不登校の経験が残すもの
- おわりに
はじめに
この本を手に取ってくださりありがとうございます。
この本は、大好きな我が家の3人の不登校児のおかげで完成しました。
「うちの子が不登校になってしまった。どうしよう…」
そう悩んでいるうちに、気がつけばきょうだいまで学校へ行けなくなってしまった。そんなご家庭は少なくありません。
最初は、「上の子の影響かな?」「真似しているだけでは?」「甘えているのでは?」そんなふうに感じる保護者も多いと思います。
でも、実際には、真似≠セけでは説明できないことがたくさんあります。家庭の中の空気、親の不安や焦り、きょうだいそれぞれの役割、「いい子」でいようとする気持ち、言葉にできなかった苦しさ。このように、「きょうだい不登校」には、見えにくい背景が複雑に重なっています。
そしてこれは、きょうだい不登校だけに限った話ではありません。不登校の背景には、「学校へ行く・行かない」だけでは語れない、子どもの心の問題、親子関係、安心感、自己決定、周囲からのプレッシャーなど、多くの共通する課題があります。
ただ、不登校は本当に千差万別です。家庭環境、学校環境、性格、発達特性、人間関係、きょうだい構成、地域性、保護者の価値観。同じ「不登校」という言葉でも、置かれている状況は大きく違います。ですから、この本に書かれている内容も、すべての家庭に当てはまるわけではありません。「これは違うな」「うちには合わないな」「まだ受け入れられないな」そう感じる部分があって当然だと思います。
ですから、無理に受け入れる必要はありません。本書は、私自身の経験と、これまで関わってきたたくさんの不登校家庭の保護者の声を通して、私が感じてきたことをベースに書いています。
私は、2021年から「明るい不登校」というオンラインコミュニティを運営しています。毎朝8時からの音声配信を2000回以上続け、全国の保護者の方々とつながってきました。現在では、LINEグループも50以上になり、延べ6500人以上の保護者の方が参加されています。
「どう接したらいいかわからない」「正しい対応を探し続けてしまう」「まわりに理解されず孤独」「このままでは将来どうなるのか不安」そうした声を、私はたくさん聞いてきました。そこで日々感じるのは、「不登校の悩みは家庭ごとに違っているようで、根っこの苦しさはとても似ている」ということです。
そして同時に感じるのが、「価値観の枠≠ェ、子どもを追い詰めてしまうことがある」ということです。「学校へ行くのが当たり前」「みんなと同じようにするべき」「今がんばらないと将来困る」。もちろん、これらを大切に思う気持ちも自然なことです。
でも、これらの価値観の枠≠ェ強くなり過ぎると、子どもも、保護者も、苦しくなってしまうことがあります。だから私は、いろいろな考え方に触れることが大切だと思っています。「こういう見方もあるんだ」「こんな考え方もあるんだ」そうやって、自分の中の引き出し≠増やしていく。すると、子どもへの見え方が少し変わったり、自分自身を責める気持ちが少し軽くなったりします。
私自身も、子どもたちの不登校を経験する中で、何度も価値観を崩されてきました。「なんとかしなければ」「早く学校へ戻さなければ」そう思っていた時期もありました。けれど、関われば関わるほど、正しさ≠セけではうまくいかない現実にぶつかりました。
子どもには子どものタイミングがあります。安心できること。否定されないこと。自分で決められること。そうした土台が少しずつ整っていくと、子どもたちは、自分の力で前へ進み始めます。
私が「明るい不登校」の活動を続けているのは、「お母さんに明るくなってほしい」という想いと、「子どもの自殺をなくしたい」という想いからです。保護者と子どもはつながっています。保護者が追い詰められると、矛先は子どもに向かいます。
だからこそ、まずは保護者が孤立しないこと。少しでも安心できること。「うちだけじゃない」と思えること。それが優先すべき大切なことだと感じています。本書では、「きょうだい不登校」というテーマを軸にしながら、不登校家庭の中で起きやすいこと、保護者が抱えやすい葛藤、気づかないうちに起きる二次被害、子どもとの信頼関係・自己決定を尊重する関わり方などについて、私自身の経験や、これまで出会ってきた保護者の声をもとにしながらお伝えします。
きょうだい不登校のご家庭だけでなく、不登校に悩む多くの保護者の方にも、共通して感じていただける内容が盛りだくさんです。
今、出口が見えず苦しんでいる方、「このままで大丈夫なのだろうか」と不安を抱えている方の心をこの本が少しでも軽くし、親子関係を見つめ直すきっかけになれば幸いです。
2026年6月 /山本 りか
-
明治図書

















