今、教育は「人間学」
21世紀の教育の真髄をずばり提言

今、教育は「人間学」21世紀の教育の真髄をずばり提言

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本書は小・中学校で「人間学」の教育法と子供達の生き生きとした反応を紹介するもので、その明快な教育法は様々な場で活用できる。教育関係者・保護者必読の書。


復刊時予価: 3,014円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-906903-5
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 224頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

プロローグ 今,教育はなぜ「人間学」か
T 「教育の荒廃」の根本的原因
──「人間学」の欠如
1 本物の空洞化──「事実は小説より奇なり」
2 鉱脈のないところをなぜ掘り続けているのか?
3 「かたち」と「なかみ」──「象徴的現象」と「逆提示」
4 「出会い」の本質と「主役意識」の欠如
5 「感知力」の欠如
6 「人間学」は時代の要請──「大変革期」と「リス5ラ」
U そもそも「教育」とは何か
──その核心をつかむ
1 「教育」における二つの根本要素──「教える内容」と「教え方」
2 まず「人間学」の基本を教える
3 正しい「教え方」とその「根本原理」
1 「循環の大法則」の“重み”を知る
2 <間>を生かす
V 「教育」の真髄は「人間学」
──生徒たちが初めて実証
1 「人間学」の有用性を実証した一つの試み
2 生徒たちは「人間学」を心底求めている
3 「先生!『人間学』をもっと学びたい!」
4 小学校からでも学べる「人間学」
5 「受験」から学ぶ「人間学」
6 私塾にみられる「人間学」を導入した教育指導の成果
7 ある民間教育機関における「人間学」を重視した,新時代への積極的対応
W 本物の先生は,「人間学」をまず考える
1 本物の先生は,よい「手本」をみきわめ,「善事即行」を心がける
2 本物の先生は,生徒たちのことをとことん考えて行動する
3 本物の先生は,「勇断」と「実行」(知行合一)をモットーとする
X 生徒たちに「人間学」を修得させる具体的方法
1 授業で朗読(読み聞かせ)方式
2 「学級ゼミ6ール」の実践
1 「学級ゼミ6ール」とその実践法
2 「学級ゼミ6ール」の実践上の秘訣
3 学校生活ではぐくむ「人間学」の基本の修得
1 本を読む習慣づくり
2 学業(勉強)による「仕事意識」の確立
3 「知的好奇心」を育てる
4 「プロ意識」を育てる
5 「言葉」の力を味方にする
6 「努力」する習慣づくり
7 「創意工夫」の習慣づくり
8 「自分に勝つ」人間づくり
4 「家庭」との連携ではぐくむ「人間学」の基本の修得
1 「人間学」の修得と「家庭ゼミ6ール」のすすめ
2 「家庭ゼミ6ール」の実践法とその有用性
3 「家庭ゼミ6ール」を成功させるポイント
Y 21世紀における日本の役割と教育者の使命
1 求められる日本の役割
2 「教育者」としての使命(その1)──「プロ意識」の確立
3 「教育者」としての使命(その2)──「リーダーシップ」をとる
4 「教育者」としての使命(その3)──5ップの役割

プロローグ

 今,教育はなぜ「人間学」か

 私は長年21世紀に向けての人材(財)づくりという立場から,青少年の育成の仕事を手掛けてきた。

 そこでわかったことは,いま子ども(若者)たちが一番求めていることは,「人間としていかに生きるか」「人生の目的は何か」「自分はなぜ人間としてこの世に生を得たのか」「自分の存在価値はどこにあるのか」「自分の夢を実現したいが,どうすればできるか」「この宇宙や大自然と自分との関係について」といった,いわば「人間学」の基本である,ということである。

 つまり,人間らしく生きるのに不可欠な知識や考え方,あるいは人生観や世界観や価値観といった本来ならばわれわれ大人たちが当然知っていなくてはならない本質的なことを,彼らは要求しているということである。

 もっと具体的にいえば,「人間とは何か,その持ち味はどこにあるのか」「受験とは何か,その存在価値はどこにあるのか」「勉強とは何か,なぜ必要か」「本とは何か,その真価はどこにあるか」といったことに対する確かな役に立つ本物の答えを求めているということである。そして,それにしっかり答えてあげれば,子ども(若者)たちは受験にも,勉強にも生き生きと取り組み,本も積極的に読むようになるということである。

 ところが,実際には,そうした若者たちの要求はほとんど満たされているとはお世辞にもいえない。学校にあっても,家庭にあっても,人間学不在の心棒を欠いた教育をあてがわれることでおわっている。のみならず,その分彼らは間違いだらけの役立たずの知識や情報を強いられるかたちで詰めこまれ,羅針盤を失った船のように生きる指針を欠いたまま迷走しているというのが実情である。

 今日続発している少年たちの凶悪犯罪や「学級(校)破壊」などという由々しき現象もそのことと無関係ではない。そうした人間学不在の根本的な欠陥を指摘し,強く反省を促すいわば時代の意志がもたらした一種のショック療法的警告といっていいだろう。

 なぜならば,21世紀を迎えた今,時代は有史以来の大変革期に入り,あらゆるものが質的に一大飛躍(自己変革)を計らねばならない局面を迎え,われわれもむろん例外ではないからである。そして,そのカギを握るのが「人間学」であるからだ。

 つまり,21世紀は「人間学」に象徴される時代であり,「人間学」への着眼はいわば時代の要請に基づくものであるということである。

 事実それを裏づけるに足るだけの十分な実証があるのだ。近年私が提言してきた「人間学」の必要性とその具体策に関する重要な資料が,私の手元に数多く寄せられている。学校教育や家庭教育の場で「人間学」の基本を説いた私の著書(『君たちは偉大だ』『君たちは受験生』など)を活用した,実践レポー5や生徒の生の声がそれである。

 たとえば本文で詳述する高崎市立片岡中学校における一連の実践例がそれである。これは私がいうのも何であるが,今日のような大変革期だからこそ起こり得た象徴的な出来事であり,真の教育改革のあり方を明示した一大快挙だと思っている。これによって,今の子どもたちがいかに「人間学」の基本を心底求めているかが明白となったばかりか,学校教育の場で「人間学」の基本を修得する画期的な方式(手本)まで提供してくれたからである。

 この方式を私は「片岡方式」と命名させていただいたが,それを実践された新井国彦先生(国語担当)は,この方式についてこう述べている。

 「このたび,片岡中学校2年(155名)4クラスで『君たちは偉大だ』を読ませていただきました。小生の国語の授業時間を調整し,4時間ほど朗読しました。

 早口で読みましたが,生徒一人ひとりの手元に本を配ってありましたので予想以上に受け止め方が良かったようです。学力的にあまり高くない本校2年生が,これだけ感じることがあったのは驚きでもありましたし,とてもうれしくも思いました。読み進めるに従い,生徒たちが内容に引き込まれるのが手に取るようにわかりました。子どもたちの一番知りたいことをわかりやすく示してくださっているおかげだと思います。生きていくうえでの根本的なものの見方,考え方をお知らせいただいたことにあらためて感謝いたします」

 その新井先生から引き続き,今度は,「『君たちは受験生』感想文集の発行に寄せて」という次のようなまえがきを添えた,生徒の皆さん全員の感想文集を送っていただいた。

 「片岡中3年生は,『君たちは受験生』(偕成社刊,受験を4ーマにした人間学読本)を読了した。昨年度読んだ『君たちは偉大だ』に続き,百瀬昭次さんの著書の2冊目だ。

 生徒の方から「今度は『君たちは受験生』を読みたい」との声が聞こえてきた。学年が進み,3年生となった折に,3学年職員に意向をはかったところ快諾を得たので,1学期中の学活・道徳の時間を使って読み進めることにした。今回は,4クラスの各担任が朗読をし,生徒も手元に『君たちは受験生』を開き,活字を目で追う形とした。読了までに4時間ほど要するため,間伸びする中で読み終えた部分を忘れてしまったり,飽きてしまったりということが懸念された。しかしながら,書き上げた感想を見ると,生徒たちは意外と内容を捉えていることがわかる。これは,各担任が熱意を持って読み進めてくれたことが生徒に伝わったものと考える。また,多くの感想に記されているように『君たちは偉大だ』の内容をベースに読んだことも理解を確かなものにしたようだ。

 百瀬さんの著書は,人を勇気づけ,奮い立たせる。生徒一人ひとりの感想の中にF型からS型人間に脱皮することを目指して努力を始めるというような前向きな心情が吐露されている。百瀬さんの言葉が「生きる意欲」というものを引き出してくださったことに心から感謝したい……」

 この一例からもわかるように,今子どもたち(小・中学生や高校生)が心底求めているのは「人間学」の基本であることは最早明白な事実である。あとはそれを最も適切な方法で教えてあげること。そして,実のない空洞化した教育から,子ども(若者)たちが心底求めている「人間学」を根幹とする本物の教育への転換をただちに計ること。そして,今彼らが陥っている悲観的,失望的な自己不況型の人生観をただちに一掃し,夢と希望にあふれた未来指向の肯定的な自己好況型の人生観への脱却を早急に推進することである。それこそが21世紀の教育の一番のポイン5だと思うのだ。

 幸い「片岡方式」という時代が生み出した最高の手本がある。最も簡単に最も確実に大きな成果を生む方式である。そこで,ぜひそれを多くの方々(とくに教職者の方々)に知っていただくこと,そして何をどのように教えるかを具体的に示し,21世紀をリードする人材づくりに役立てていただくことが,本書の目的である。

 みなさんの輝かしい未来のために,ひいては明るい健全な社会の実現のために,この本が少しでも貢献できれば望外の喜びである。

 なお,本書の出版に当たって,少なからずご助力をたまわった明治図書出版編集部の石塚嘉典氏に,厚くお礼申し上げる。


  2002年3月   /百瀬 昭次

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