- 刊行にあたって
- T リズムとの出会い
- *はじめの一歩外
- 一本ばし
- *生活の中からリズムを探してみよう
- いぬ/ ねずみ/ うさぎ/ うま
- *リズムに合わせて動いてみよう
- かごめ/ なべなべそこぬけ/ くつがなる/ ちょうちょう
- *音を楽しもう
- ありさんのおはなし/ こおろぎ/ 大きなたいこ小さなたいこ
- *床に寝ころがって遊ぶまさとくん
- カメレオンのなやみ/ なまけんぼうのペーター
- U 保育の中のリズム
- *手遊び歌を遊んじゃおう
- やさいのうた/ くいしんぼゴリラのうた/ さかながはねて/ ふうせん
- *お散歩も楽しく,リズムにのって
- ガンバリマンのうた/ ぽかぽかてくてく/ こきりこのたけは/ どろんこと太陽
- *自分らしさとちょっとした工夫
- ポンテンフー/ どうぶつタンタン/ サバイバルピクニック/ みんなでジャンプ
- *かいぐりマン体操
- かいぐりマンたいそう
- V 乳児とリトミック
- *赤ちゃんは音楽大好き
- 0歳児: リトミックのはじまり
- 1歳児: いよいよリトミックにごあいさつ
- ひげじいさん/ のんびりぞうさん/ ピョンピョンウサギ/ おおいそがしのありさん
- 2歳児: リトミックはくり返し
- *リトミック指導をするときに
- W 行事に生かすリズム
- *南の島のゴリラ
- *サンタはいるの?
- *ジャコウネズミのピクニック
- 付録)手遊び・リズム遊び
- *あおむし おひっこし
- *「ごっくんもぐもぐかみかみ」のうた
- *ゴリラのおすもう
刊行にあたって
ある雨上がりの園庭で,2歳児クラスの何人かが遊んでいたときのことです。だれかが長靴で水たまりを踏みました。踏んだときの感触がよかったのか,跳ね上がった水の音が心地よかったのか,彼はその行為を気に入ったようでした。彼の行為はすぐに仲間に“伝染”しました。水たまりをのぞきこむ子,長靴大好きではしゃいでいる子……。子どもたちの豊かな表情が消えたのは,そこに来た保育者の一言でした。
「何やってるの! 靴が汚れちゃうから早くお部屋に入りなさい!」
幼い子どもの遊びに特に決まった名前はありません。日々の生活が子どもたちにとっては遊びであり,そこから更に新しい遊びが発展します。しかも低年齢であればあるほど,子どもの遊びはノン・ヴァーバル(言葉でない交流)であり,0歳であっても豊かな子ども同士のかかわりがあることは,保育者ならだれにも異存はないでしょう。
乳児保育は,こうした子どもたちが発するコミュニケーションの数々をきちんと受け止めることから始まると思います。乳児保育者は,子どもたちのしぐさや遊びを見守る中で子どもの心を感じ取るアンテナを持つことが大切だと思うのです。
保育者は子どもたちと日々の生活を共にするパートナーです。木々のざわめきや風のささやきを聴くのと同じように,お互いの心を響かせあうためのアンテナをたててほしいという願いからこの本は生まれました。執筆者は現役保育者で,経験年数,保育所等各々の条件や環境は様々です。それぞれが感じた子どもの心の軌跡をなぞるために,多くの保育室にある『身近なモノ』からアプローチする方法を試みました。子どもたちはモノと遊びながらヒトである保育者とかかわり,保育者とかかわる
中でモノと遊ぶ世界を広げていきます。
一見,モノの使い方,作り方のハウツー本に思えるかもしれませんが,行間に込められた保育者の優しいまなざしと子どもたちのエネルギーを感じていただければ幸いです。
欲をいえば,更にこのシリーズにふれることで,豊かな感性をもつ保育者の必要性と,どのような環境が乳児保育に大切かを考えるきっかけになってもらえたらと願っています。
1999年1月 /鈴木 みゆき
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- 明治図書