基幹学力の授業 国語&算数29
新しい時代の国語、算数授業づくりの改善点はここだ
―見えてきたそれぞれの課題

基幹学力の授業 国語&算数29新しい時代の国語、算数授業づくりの改善点はここだ―見えてきたそれぞれの課題

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国語と算数のコラボ研究だからこそ見えた課題を徹底追究!

算数と同じように、国語でももっと言葉を学ぶ「楽しさ」を実感させられないか。国語と同じように、算数でも学習事項の必要性を感じさせながら「定着」させられないか。これまでの国語&算数のコラボ研究で見えてきた2つの大きな課題に挑む最終号です!


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ISBN:
978-4-18-888924-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 72頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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算数
提起文 定着の授業は子どもの意欲をどう保障するか
定着を目指す授業も出発は算数好きをつくることから /田中 博史
特集 定着の授業は子どもの意欲をどう保障するか
能動的な追究を引き出し、思考の定着を図る授業 /中村 光晴
すべてのパターンを探し出す活動で定着を図る /工藤 克己
「授業に集中する雰囲気づくり」→「授業を振り返る機会づくり」の確立を /熊谷 純
「発見型」の計算練習〜「きまり発見力」の定着を図る〜 /小松 信哉
定番授業で意欲を高める /渡部 恵
友だち問題に挑戦〜子どもたちは、計算に説明に必死〜 /加藤 彰子
割合の定着を支える「上手な繰り返し」 /間嶋 哲
攻略本で数学的な考え方を定着させる /尾ア 正彦
目的なくして定着なし! 比例のグラフの指導 /志田 倫明
探究的な活動を取り入れた1年生の計算指導 /仲村 恵
考えることの繰り返しを目指した『ドリル』学習を /中村 潤一郎
2つの解決方法を相互に活かすことによって、記憶に留める /夏坂 哲志
算数授業のエピソードをシナリオ風に再現させる /山本 良和
数学的な考え方を使う授業を繰り返している意識を教師がもつ /中田 寿幸
授業に「題名」をつけよう−「エピソード」としての知識は定着する− /大野 桂
面積の定着の授業で発表意欲を高める /永田 美奈子
基準量と比較量を低学年から意識させる指導 /毛利 元一
ゲーム+問題づくりで自ら定着を図る子どもに! /三田 美乃里
イメージを拡げ、思考力を育む筆算指導の工夫 /竹尾 智登志
記録よりも記憶に残る定着の授業を /中村 浩司
子ども自らが計算に働きかける姿をめざして /藤田 究
2年「かさ」考える方法を育てる授業が子どもの意欲を育てる /千々岩 芳朗
子どもの数感覚を鍛え定着させるリレー活動のススメ /高瀬 大輔
定着の授業改善は追究の学びにあり /宮本 博規
リレー連載
副編集長のリレー連載 /盛山 隆雄
連載
田中博史の算数授業づくり講座123 /田中 博史
提言
「数学的な考え方」の育成を目指して /梶田 叡一
言語としての算数の役割にもっと配慮を /清水 静海
グラビア
『基幹学力の授業 国語&算数』これまでの歩み :構成 /田中 博史
国語
提起文 言葉の学びの「楽しさ」をどう授業化するか
確かな「言葉の力」を獲得させる、「楽しい」国語授業をつくる /二瓶 弘行
特集 言葉の学びの「楽しさ」をどう授業化するか
季節感を豊かにし、季語作文を書こう /芦川 幹弘
スピーチの指導で、「話す・聴く」を楽しむ力を育てる /山本 真司
物語の楽しみ方、味わい方を獲得しよう〜“つくる”言語活動を指導の核に〜 /相澤 勇弥
言語活動の充実を図った授業づくり /高橋 啓介
ことばのつまずきに配慮した授業づくり /小林 圭
魅力的な言語活動を位置づけ、楽しい授業を! /遠藤 裕一
自分で読めるようになるからこそ「楽しく」なる /松岡 俊宏
読んで実感! 比べて納得!! 物語の一人称と三人称、語り手の指導 /矢内 丈博
段落構成に込められた工夫を味わおう! 中学年説明文学習の構造化 /宍戸 寛昌
最後に一つだけみんなで考えるとしたら……。 /広山 隆行
偉大なる「聴写」!! /森川 正樹
みんなでかかればこわくない! 楽しく「説明文を書く」時間 /灘本 裕子
発見と感動のある授業で言葉の学びを楽しむ /井上 幸信
楽しくできる! 初めてのお話づくり〜プロットに焦点化して〜 /平野 秀穂
表をアレンジして自分のくせを発見・克服! /長谷川 水緒
優れた表現に着目し、語感を磨く短歌の指導法 /真田 節子
子どもが考えるから授業は楽しくなる〜3年生 俳句の導入の授業を例に〜 /田中 元康
「くり返し」の効果を手がかりに /岩崎 直哉
「あいうえお」を学ぼう〜声に出して読むっておもしろい〜 /真家 裕美
物語の読み方を考えながら、お話しの続きを考える /出口 尚子
「つまり何が言いたいの」が明確になると楽しくなる〜説明文教材の読みを話す・聞く、書くに関連させて〜 /近野 典男
中学年 感動の中心が書ける 作文指導のポイント /西尾 菜々穂
文学的な文章における言語活動で「楽しさ」を生み出す工夫 /小田 浩平
創作意欲が高まる詩の授業、3つのポイント『表現をくふうして書こう』(東京書籍6年上) /藤井 大助
ミニ連載 高知からの発信N
国語と算数教師ともに生きる熱き日々 /藤田 究・田中 元康
連載
にへいちゃんの国語教室通信 /二瓶 弘行
青木伸生の国語教室創造記 /青木 伸生
提言
言葉に心をつなぎとめる方法 /塚田 泰彦
グラビア
詩のボクシング〜団体戦〜5年生 :構成 /二瓶 弘行
新たな国語教室の誕生 :構成 /二瓶 弘行

算数/提起文 定着の授業は子どもの意欲をどう保障するか
定着を目指す授業も出発は算数好きをつくることから

   筑波大学附属小学校 /田中 博史


1 算数教育の課題は再び、定着と意欲のバランスをとること

 国語で育てる言語の力は日常で必ず使う。だから国語では、定着をかなり意識して指導している。子どもたちも「こんなの学んで何になるの?」とは尋ねない。

 では、算数はどうか。子どもたちから「どうして分数を勉強するの?」と尋ねられて、どのように答えているだろうか。テスト以外では使わないではないかという指摘も受け、かつては内容の3割削減まで受けた。

 それでも、定着を求めることは国語と同様に追うが、それはやはりテストのためと教師も実は思っているのではないか。学力テストが始まって、ますますその傾向は強くなっているように思う。テストのためだけにひたすら繰り返して計算させ、知識を詰め込むことにためらわない昔ながらの価値観、勉強不足の教師も、この国には実はかなりいると指摘される。これは諸外国も似たような状況で、学力調査で上位を占める国の多くが、実は機械的な反復学習に陥り、算数嫌いをたくさんつくっているという問題が再び浮上している。

 算数嫌いが多い国では、科学的な発見、前進は期待できない。携帯電話やiPadのような商品開発で、相変わらず物真似しかできない日本の現状には、産業界も静観してはいられないだろう。

 思考力、創造力を培う算数教育の責任を考えると、算数への興味、意欲を喚起するという役割を軽視した教育では意味がない。

 しかし、一生学校にしかいない教師は、その切実な国の課題を肌で感じることは少ないから、学校の置かれている現状はなかなか変わらないでいる。算数教育の世界は、歴史的にこうして内容の定着と子どもの学習意欲のバランスをとることを繰り返していて、振り子のように左右に大きく振れる指導観で教師を振り回してきた。もっとも本来はキーワードで振り回される教師が情けないのだが…。


2 基幹学力の源は知的な「意欲」に支えられた学習を成立させること

 基幹学力研究会では、その“基幹”となる力として、いつも子どもたちの「意欲」を視野に入れて述べてきたが、それは学力テストなどで定着を第一に求められる今でも、変えてはいけない価値観だと考える。いや子どもの意欲を軽視した機械的な学習に陥ることは、先進国のすることではないとさえ思う。

 私は、諸外国の研究会に何度も参加し、実際に現地の子どもたちと飛び込み授業を繰り返し、その国の先生たちや教育委員会、指導的な立場の方、さらには大学生とも交流してきてこの問題点を今、痛感している。

 アメリカでは、西海岸のスタンフォード大学、ミルズ大学で同様の問題点を指摘する教師に出会った。東海岸ではシカゴやニューヨークの現地の学校で、さらに中米ではメキシコ、ホンジュラスといった国の学校でも授業を行ったが、同じことを心配する教師がいた。アジアではタイ、シンガポール、韓国、台湾と入ってきたが、PISAやTIMSSの上位国ほど同様の問題点を実は抱えているという。

 しかし、最近行ったイスラエルでは、校長先生をはじめ教師の意欲が違うのに驚いた。そして、日本から来た私に「この学校では日本のように習熟度別学習は行わないことにしている。それが子どもたちの雰囲気をガラリと変え、意欲的な子どもを増やした。さらに、教え合いが効率的に進むようになった」と自慢げに言う。日本は相変わらず一度決めたことから離脱できず、このままズルズルと定められたシステムを守り後退していくのだろうかと不安にもなった。科学のレベルが急速に浮上しノーベル賞も出し始めたイスラエルの先生たちが、日本とは対照的なことに少し危機感を抱いて帰国した。そういえば、フィンランドも早々に習熟度別学習の効果のなさを表明したし、アメリカでもあのシステムはますます差が開くと学会報告がなされている。

 日本では未だに継続されている習熟度別学習。それでもかなりの地域で気が付いて取りやめているらしいが、校長先生に力のある学校でないとやめる決断はできないという情けない話も聞く。さらに「教えて」「考えさせる」というような指導観が流行るように、すでに結論の出たものだけを詰め込む学びは、テストや偏差値だけで生きてきた方たちの価値観にリードされ過ぎではないだろうか。そんな方たちの“算数好き”は「できるから好き」という視点だけになっていないか。とりあえず「できるようにしよう」とする発想は、強制する人間がいなくなったときに学びをやめてしまう子どもをつくっていることに気づいていない。「好き」を支えるものは「できる」だけではない。まず「好き」にさせておこうではないか。それならあとは自分で動くことが期待できる。そんな算数との出会いをさせたいと努力し続ける教師を増やしたい。

 本号の特集では、そんな定着への努力と子どもの意欲のバランスを考えた様々な取り組みに焦点を当ててみた。


3 基幹学力研究会のこれからの活動

 2006年2月に創刊された本誌だが、とりあえず第一期の役割を終えた。5年間国語教育とのコラボを模索し続けてきて、算数に足りないことは何かが少しずつみえてきた。

 みえてきた課題は各自で異なるかもしれないが、これからはそれぞれの課題に焦点を絞り込んで本づくりを進めていくこととした。私はまず算数でも作文を活用することにしばらく取り組んでみることにする。もうすぐ発刊する『「板書見ながら」算数作文』はその最初の提案。これからの基幹学力研究会は発信の形に少し変化をもたせ、絞り込んだ提案をしていく。引き続き応援していただきたい。

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      明治図書

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