- 提起文 やる気も保証!!これぞ究極の計算指導
- 今こそ、追究型算数ドリルを!! /田中 博史
- 特集 やる気も保証!!これぞ究極の計算指導
- 1年の計算指導 /千々岩 芳朗
- 2年の計算指導(かけ算九九) /木下 幸夫
- 3年の計算指導(かけ算の筆算) /中上 晴絵
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- 5年の計算指導(小数のわり算) /笠原 道宏
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- 幹学力研究会 福島大会 :構成/小松 信哉
- 教室の中に「いえ」をつくる!! :構成 /田中 博史
- 提起文 確かな力が付く、楽しい漢字・語彙の授業
- 言葉の学習っておもしろい!と本気で思う子どもたちを /二瓶 弘行
- 特集1 確かな力が付く、楽しい漢字の授業
- 1年 「漢字カルタ」で、楽しい漢字の授業! /遠藤 裕一
- 2年 言葉集めや文づくりを通し、楽しく取り組む−日常生活の中で実際に使えるようにするために− /田ア 伸一郎
- 3年 テーマ分けとランキングで意欲を高める /小林 圭
- 4年 漢字辞典で広がる漢字の世界 /山本 真司
- 5年 ワクワク漢字採集! /森川 正樹
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- 「明日」の国語授業を創る
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- ミニ連載 高知からの発信H
- 国語と算数教師ともに生きる熱き日々 /藤田 究・田中 元康
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- 仲間とともに学ぶ /上月 康弘 /井上 幸信
- 二十代先生の国語授業日記 /矢内 丈博
- 若き国語教師への手紙 /折出 浩一
- 国語授業は学校を変える 研究主任奮闘記 /小林 洋之
- 国語授業は故郷を変える 指導主事奮闘記 /岡本 利和
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算数 [提起文] やる気も保証!!これぞ究極の計算指導
今こそ、追究型算数ドリルを!!
筑波大学附属小学校 /田中 博史(写真省略)
1 「計算」の指導の場面で見える教師の本当の教育観
基幹学力研究会を立ち上げたときに、この「基幹」という言葉には、いろいろな理解がなされた。
まさしく「計算」や「漢字」というような学習のツールとなる力を、その教科の土台となる学力ということで、基幹学力であるというような解釈をされた方もいた。いや、多かったかもしれない。
これに対して、我々は学力そのものをつくり上げていく、子どもたちの意欲や思考力の方こそが基幹学力であると反論したのだった。
だがよく考えると、算数の学習において計算力を育てるような場面こそ、その教師の本当の教育観が出るところでもある。
そして、算数の学習で計算力を育てることはやはり蔑ろにはできない分野である。
さらに、子どもや保護者が算数というと真っ先にイメージするのが、この計算の分野ではないか。
となると、計算指導の場面こそ、教師の本音、子どもや親の本音が見える場面であり、私たちは心してこの場面の授業に取り組まねばならないのである。
実は、私にはこの発想が昔からあった。
計算力の指導の場面こそ、育てたい子どもの姿を教師は意識することが大切であると若き田中博史は、主張していた。
その想いをまとめたのが『追究型算数ドリルのすすめ』(明治図書)である。
発刊は1995年6月。今から15年前のことである。残念ながら、既に絶版となったが、私の古くからの仲間は、この本こそ名著であると言ってくれている。
今は教頭先生や校長先生になる我が仲間とこの本の話になると必ず盛り上がり、「若いころにこの『追究型算数ドリルのすすめ』にはずいぶん世話になりましたよ。計算の時間もちょっと知的な活動を仕組むことができて本当に助かった」と口をそろえるのだ。
2 わり算の計算場面で楽しむラッキー計算問題づくり
この本の中にはいろいろな問題が紹介されている。
例えば、わり算の計算練習の場面では、次のような展開をしてみる。
まずは適当に1から9までの数字カードを用いて、3けた÷2けたの計算問題をつくる。
例えば、425÷36とカードをひいてつくったとしよう。筆算を使って計算してみると、11あまり29と答えが出る。
教師は、静かに問題のところに使われた数字と答え、さらにあまりの数字に○を順につけていく。ただし同じ数字が登場している場合はその中の1つだけに○をつけることにする。
(計算式省略)
この計算だと1、2、3、4、5、6、9の7つに○がつく。だからこれは7ポイントということにする。
この3けた÷2けたの計算の場合、答えが2けた、あまりが2けたになるときがあるから、全部で9つの数字が使われるときがつくれる。だから最高は9ポイント。
もしも、ここにきれいに1から9までの数字がそろったら、これはかなりラッキーな計算問題だと言えないだろうか。
子どもたちと、偶然性を楽しみながら計算練習の繰返しを楽しむことができるというわけである。
昔の人は、このように1から9までがそろうようなたし算やひき算の計算を小町算と称して楽しんだという。その遊び心をわり算にも活用してみたというわけだ。
最初はカードをひいてランダムにつくっていた子どもたちも、そのうち「先生、問題の数字を自分たちで考えてつくってもいいですか」「先に答えの数字やあまりの数字をつくって逆に考えてもいいですか」というように、少し頭を使って取り組もうとするようになる。こうなったら、もう遊びの要素であるゲーム性は必要ない。
子どもたちの活動は単なる試行錯誤ではなく、こうしていろいろな工夫をするようになる。これ自体が1つの問題解決になっているのである。
例えば、先ほどの問題の場合も答えが11というように、同じ数字が並ばないようにするには、どうすればいいかと考えるようになる。また、あまりの数字についての調整は結構簡単であることにも気がつくようになる。
こうして、次第に使われる数字の種類が増えて、ついに…。
589÷46=12…37
のような場合を見つけ出してくるのである。
友達が、このような計算を見つけたと報告があると教室中に歓喜の声が上がる。
画用紙に書いて、重々しく掲示してあげると子どもの意欲もさらに増す。私のクラスでは、なんと21種類もの計算が見つかった。
3 計算の練習には二通り
計算は「できる」ようになる段階と、「使える」技能とするために習熟する段階と二段階がある。追究型ドリルは後者の手立てだった。本誌では前者の指導例も紹介している。子どもたちの実態に合わせて活用していただきたい。
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- 明治図書