- はじめに
- 1 道徳の時間に託す思いとは
- 2 思いを共有し合う道徳の時間
- 3 心に届く道徳の資料を
- 4 教師の願いを込めて
- <自作資料&指導案>
- 1 「おばあちゃんのみそ汁」 1−(1)望ましい生活習慣
- 2 「親愛なる20歳になった自分へ」 1−(2)高い目標
- 3 「被災の酪農家 牛と生きる」 1−(4)理想の実現
- 4 祖母からの「ごめんね」 2−(2)温かい人間愛
- 5 「優しさを伝え合えたら…」 2−(2)人間愛・思いやり
- 6 「朝の風に包まれて」 2−(2)人間愛・思いやり
- 7 「全員全身壁画」 2−(5)個性の尊重
- 8 「海の大切さとすばらしさ」 3−(1)自然を愛護する
- 9 「命のきずな」 3−(2)生命尊重
- 10 「こうのとりのゆりかご」に寄せる思い 3−(2)生命尊重
- 11 「あの日の出来事」 3−(3)生きる喜び
- 12 「一枚の絵はがき」 4−(1)役割と責任の自覚
- 13 「学級文庫の行方」 4−(2)規律の尊重
- 14 「錆びた自転車」 4−(2)法やきまりの意義
- 15 「コロッケの街」 4−(8)郷土愛
- 16 「恵まれているからこそできることを」 4−(10)日本人としての自覚
- 17 「永久の願い」 4−(10)国際社会
はじめに
「もし,みんなが百歳まで生きたとしたら,中学校の3年間は100分の3?」
入学したばかりの子どもたちに語りかける。それは,人生にとってこの3年間が2倍にも3倍にも相当するぐらい,大きな意義があると思うからである。
この世に誕生してからの3年間はいうまでもない。「三つ子の魂,100までも」ということわざもあるぐらい,人としてこの世に生きる礎となる大切な時期。自分の力というよりも親に愛され,はぐくまれてこそのものである。
それに比べ中学校の3年間は,友達も,勉強も進路も自分で考え,自分の力で切り拓いていかねばならない。まさに「立志」のとき。自分が…と思えば,たとえどんな環境にあったとしても可能,がんばれるのである。
志に向かって歩もうとすれば迷い,悩み,傷つくことも。でも自分でできたという喜びや達成感は,比べようもなくうれしいものである。
まるでさなぎが蝶に,つぼみが花開くように少しずつ変わろうとする子どもたち。
『もうすぐ,すてきな自分に気がつくよ』
『がんばれ,もう一息』
『大丈夫,それでいいんだから』
不器用だけど自分らしく生きようとする,そんな子どもたちに,私たち教師は人生の先輩として寄りそい,声をかける。当たり前のように過ぎる日々を,生徒と共に考え,悩み,感動を共有し過ごしているのである。
卒業アルバムをめくると,子どもたちとの数々の思い出がよみがえる。
この本は17人の女性教師たちが,そんな子どもたちとの出会いを念頭に,自分自身をも振り返り,第2の誕生ともいうべきこの大切な時期を生きる子どもたち,一人一人の成長を心から願って書いた資料であり授業記録です。
この資料集を手にされた先生方と子どもたちに,新たな自他との出会いが生まれ,心温まるゆったりとした時間を過ごすことができれば,と願っています。
終わりになりましたが,本書の出版に当たりまして,多大なるご尽力を賜りました明治図書教育書部門編集部の仁井田康義さまに厚くお礼申し上げます。
2008年1月 /井上 礼子
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- 明治図書