- まえがき
- T章 再現構成法へのお誘い
- ◆聴覚の覚醒
- ◆補助教具の意味付け
- ◆従来の指導過程はサヨウナラ
- ◆道徳資料のクオリティ
- ◆再現構成法・はじめの一歩
- ◆子どもが愛しくなる授業の実践
- ・資料 ユングフラウ(少女)
- ◆教室が変わる
- U章 いろいろな資料を活用して再現構成法の授業
- 1 低学年の再現構成法の授業
- 1 「かぼちゃのつる」1−(1) ポピュラーな資料を活用して
- 2 「しあわせの王子」3−(3) ポピュラーな資料を活用して
- 3 「苦しみのしわ」3−(2) オリジナル資料を活用して
- 4 「ふしぎな たかちゃん」3−(2) 子どもの生活を題材にして
- 5 「おじいちゃん,おばあちゃんとなかよし」2−(2)総合的な学習と関連して
- 2 中学年の再現構成法の授業
- 1 「お母さんのせいきゅう書」4−(3) ポピュラーな資料を活用して
- 2 「きつねとぶどう」4−(3) ポピュラーな資料を活用して
- 3 「ま法のつむぎ糸」3−(2) オリジナル資料を活用して
- 4 「顔以外で 笑えることを」2−(2) 子どもの生活を題材にして
- 5 「しんぶんし」4−(1) 総合的な学習 環境に関連して
- 3 高学年の再現構成法の授業
- 1 「コルベ神父の勇気」1−(2) ポピュラーな資料を活用して
- 2 「銀のしょく台」3−(3) ポピュラーな資料を活用して
- 3 「カーテンの向こう」3−(3) オリジナル資料を活用して
- 4 「アリとザーラと運動靴」3−(2) オリジナル資料を活用して
- 5 「友達は味方,友達の反対は敵!?」2−(3)子どもの生活を題材として
- 6 「家族の一人として生きる」4−(5)総合的な学習の時間や教科と関連して
- 7 「逢いたい」1−(2) 音楽専科とのTTの授業で
まえがき
「先生 ストレスたまっているでしょう?!」
突然のまなちゃんの言葉に、ハッ,ドキッ。
「エッ,どうして,そんなことを……」
「だってえ〜〜」
まなちゃんの,つぶらな,そして射るような瞳が,私を見つめています。
入学して,まだ3日。
それなのに,私の声のトーン,歪みに 心とは 裏腹の繕いを感じとり,
「先生の言っていることって,ウソっぽいよ。そんな先生って嫌いだよ。」と さりげない言葉で,伝えているのです。
教室の中は,いつしかシーン,みんなの意識が,私とまなちゃんに集まります。
「……ごめんね。私,優しく優しくって自分に言いきかせて言ったつもりなの。でもね,心の中では『はやくしてよ,どうして わからないの』という思いでいっぱいだったの。だから,私の発した言葉は 本当の心からの言葉ではなかったの。その響きが まなちゃんには,イヤに感じられたのでしょう。まなちゃんだけでなく,きっとみんなにも,すご〜くイヤに聞こえたのでしょう。みんなは すごいね,心の中を見ぬくのだから……」
私の真剣な言い訳(?)に,まなちゃんは,ニコッ。
フッ〜。安どの息づかいと共に,クラスに,笑顔が戻ってきました。
子どもの鋭い感性には,いつも タジタジです。
再現構成法は,子どもの感性,生の語らいの力から鍵をえた教育方法です。
今まで,再現構成法について,なかなかまとまった本がありませんでした。本書では若干の理論付けと豊かな実践について書かせていただきました。授業者にとって,実りある教育方法への招待状になれば素敵だと思っています。
2001年5月 /八木下 陽子
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- 明治図書