モラルジレンマ授業のすすめ1
モラルジレンマ資料と授業展開 小学校編

モラルジレンマ授業のすすめ1モラルジレンマ資料と授業展開 小学校編

ロングセラー

好評28刷

コールバーグ理論に基づくモラルジレンマ資料を小学1―6年学年別に多数収録し,「道徳指導改革」をめざす展開例を学年別に掲げ改善方法を示。


紙版価格: 2,160円+税

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-867605-1
ジャンル:
道徳
刊行:
28刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年10月24日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
T ジレンマ資料を使うに当たって留意したいこと
(1) 学習環境
(2) 小学校における授業について
(3) 授業の一般的なモデル
1. 授業モデル
2. 教師の発問
(4) ジレンマ資料について
U 取り上げた資料とその出典
1 ジレンマ資料
低学年
@だれにたくさんあげようかな
Aぼくのチョコレート
Bスケートに行きたいな
C「まほうつかいのプレゼント」
D「まほうつかいのめがね」
E木の実とり
Fたりなかった5円
Gお父さんのたんじょう日
H二ひきのライオン
Iさあ こまった
中学年
@やさいなんて大きらい
Aもっとやろうよ
Bわすれもの
Cなくしたかぎ
Dどうする! あきら
E当 番
F決勝戦
G消火栓調べ
Hだれのラジコン
Iほんとうのおくりもの
Jロンとわかれたくない!
Kぜったいひみつ
高学年
@どうする! 班長
Aシンボルをつくろう!
Bマラソン大会
Cゆきこさんの誕生日
D家族旅行
E委員会活動
F引越し
Gみち子の人形
Hけい子のまよい
Iお楽しみ会
Jサッカー大会
Kキャットピープル
L時計係
M村長の決断
Nがんばれリーダー
O母の手伝い
Pぼくの父さん
Qまぼろしのちょう
2 ジレンマ資料の出典
V 授業の展開事例
1 判断・理由づけの道徳性発達段階
低学年資料/ 中学年資料/ 高学年資料
2 授業の展開
低学年
授業事例 1 だれにたくさんあげようかな
授業事例 2 ぼくのチョコレート
授業事例 3 スケートに行きたいな
授業事例 4 二ひきのライオン
中学年
授業事例 1 もっとやろうよ
授業事例 2 どうする! あきら
授業事例 3 決勝戦
授業事例 4 ロンとわかれたくない!
高学年
授業事例 1 マラソン大会
授業事例 2 引越し
授業事例 3 みち子の人形
授業事例 4 キャットピープル
付録 小学校学習指導要領

はじめに

 ローレンス・コールバークが1958年に学位論文で,彼の道徳性認知発達理論をはじめて明らかにして以来,その理論的,実証的研究が,肯定的であれ,否定的であれ,多くの心理学者,教育学者を巻き込んで精力的に展開されてきた。我が国でも17年後の1975年に,神保信一氏と岩佐信道氏によってコールバーグ理論が紹介されている。それが論文,『コールバークの道徳性の発達に関する6段階説と道徳教育との関連について,明治学院論叢』である。これを契機としたように,我が国の心理学や教育学等の各分野から続々と基礎研究や理論研究がなされたのである。たとえば,『山岸明子,1976,道徳判断の発達,教育心理学研究,24,97−106.』や『内藤俊史,1977,コールバークの道徳性発達理論,教育心理学研究,15,60−67.』がある。1983年には道徳性心理学に関する研究会設立への呼びかけが大西文行氏を中心になされ,1985年に発足,『日本道徳性心理学研究』第1巻が翌年に発行された。

 1985年はコールバーグ博士の来日があり,記念すべき年である。これを期して教育界からも大きな期待と関心がよせられ,コールバーグ理論を紹介する啓蒙書が次々と出版されたのである。たとえば,佐野安仁氏他の共著になる『道徳教育の基礎(1985年),ミネルヴァ書房』や永野重史氏編になる『道徳性の発達と教育(1985年)』と『道徳性の形成(1987年),いずれも新曜社』をはじめとして,藤田昌士氏の『道徳教育その歴史・現状・課題(1987年),エイデル研究所』や岩佐信道氏の『道徳性の発達と道徳教育(1987年),広池学園出版部』等がある。また,月刊誌の『道徳教育』1月号(明治図書,1986年)においても,特集「コールバーグ理論と道徳授業」が組まれている。

 1987年には急逝されたコールバーグ博士の遺志を継いで,道徳教育の国際会議がモラロジー研究所で開催されたが,これは我が国の道徳教育界においては画期的なことであった。コールバーグ理論はここにおいて,世界の道徳教育の潮流の中でも中心的役割をはたす理論として,その重要性と偉大性が改めて認識されたのである。なおこの国際会議の第二回大会は1990年11月にアメリカ(インジアナ州)のノートルダム大学創立150周年記念事業の一つとして行なわれる。そこでのテーマは「国際社会における価値,権利,責任:新しい千年のための道徳教育」である。私も招喚されて出席する一人であり,参加を楽しみにしている。

 このように,コールバーグ理論への理解と理論を授業に取り入れたいという願望が1980年ごろから徐々に高まってきたのである。しかし,一方では具体的な授業の方途になるとむしろ分かっていない,分からないことだらけという状態でもあった。われわれの研究もこのような時期(1982年ごろ)に希望の光を求めて暗闇の中から出発したのである。ジレンマ授業は兵庫教育大学附属小学校4年2組徳永学級から始まった。当然予想されたことではあるが,授業を進めて行くと,いろいろな障害がつぎつぎと現れ,その度に,それらを一つひとつ乗り越えて行かなくてはならなかった。授業者の問題,道徳性発達の評価に関わる問題,ジレンマ資料の問題,オープンエンドの解釈上の問題,モラル・ディスカッションに関わる問題,1主題2時間授業の実施に関わる問題,授業評価の問題,など書き出すと切りがない。

 その中でもっとも難問であったのが道徳的なジレンマ資料を探してくることであった。資料がないと授業そのものが成立しない。道徳的な認知的葛藤を引き起こすジレンマ資料はこの授業の要である。ジレンマの解決が道徳性を高めるという考えは,コールバーグ理論の中核だからである。しかし,副読本の中に認知的葛藤を引き起こすモラルジレンマを探すことは無理な注文であった。理論を検証し,子どもの道徳性をより高い段階に発達させるためには,道徳的価値に関わる適切なジレンマを子どものために用意しなくてはならないのである。どうしても納得のいくモラルジレンマを自作する必要があった。そのために,われわれは明日の授業を気にしながら,何度となく徹夜し,また自作したジレンマを幾度となく没にしたことであろうか。

 その結果,自作のモラルジレンマ資料は研究の継続とともに少しずつ蓄積され,改良され,われわれの共有財産となった。すでに,これらのいくつかについては,われわれのモラルジレンマ授業に関心のある先生方のために,「モラルディスカッションのための『モラルジレンマ』教材の開発」(教育工学的技法による教科領域の教材開発と指導展開に関する研究,文部省特定研究,荒木他 兵庫教育大学,1984年),「わたしがわかる・あなたがわかる心理学」(荒木編,ナカニシヤ出版,1987年)」,「道徳教育はこうすればおもしろい―コールバーグ理論とその実践(荒木編,北大路書房,1988年)」,「モラルジレンマ資料を用いた小・中学生における道徳の授業実践−ジレンマ資料とその構造,および授業のための指導案−」(学校教育学研究1,荒木他,兵庫教育大学学校教育センター,1989年)」において発表している。

 今春,幸いにして明治図書から『ジレンマ資料による道徳授業改革―コールバーグ理論からの提案』を出版する機会に恵まれた。教育理論は実践に結実して,その価値が明らかにされるのであって,机上の空論であってはならない。そのためには,まず活用できるモラルジレンマが手元にあることが不可欠であろう。コールバーグ理論に関心のある現場の先生方に具体的にジレンマ授業に取り組んで頂くためには,ジレンマ資料は勿論のこと,授業を計画し,実施し,評価する指針があると大いに助けとなろう。そこで,本書では,ジレンマ資料を複写して教材としてすぐ活用できるような体裁とするとともに,色々な授業の展開例を添付することで,読者が具体的に授業を設計する上で参考となるように配慮した。このような企画が小学校の道徳教育の充実に,いささかなりとも貢献できることを願っている。また,資料は実際に使われてみて,問題点が洗い出される。資料をよりよいものにして行くために,みなさまの暖かい御叱正をお願いする。なお,ジレンマ資料の収集と整理,本書の校正に当たって,なにかと徳永悦郎氏の助力を得た。有難いことと感謝している。

 最後に,本書の企画を計画し,熱心に推進して下さった編集部長の江部満氏,編集長の樋口雅子氏にたいへんお世話になった。心からの感謝の気持ちを申し上げたい。


  1990年4月4日   編著者 /荒木 紀幸

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