- まえがき
- T 「自分の生き方を考える」・子どもの発達段階に合わせた新資料
- 1 「自分の生き方を考える」新資料
- (1) 道徳授業に資料を活用する意義
- (2) ストーリー性のある読み物資料
- (3) 道徳授業改善は重要課題
- (4) 多彩な形式の「新資料」開発のすすめ
 
- 2 子どもの発達段階に合わせた新資料活用のポイント
- (1) 道徳の時間の特質を踏まえる
- (2) 発達段階を考慮する
- (3) 新資料の特性を考慮する
 
 
- U 新資料を活用した授業づくり・低学年編
- 1 自分の中にあるわがままを振り返る 1―(1) 節度
- 「嫌い」がテーマの童話
 
- 2 ありのままのよさを考える 1―(4) 正直・誠実
- 借り物での変身を反省する自作絵本
 
- 3 個性を認め合う 2―(3) 友情
- NHKアニメーション「でこぼこフレンズ」の歌詞
 
- 4 生きる喜びを実感する 3―(1) 生命尊重
- 成長を実感する自作資料
 
- 5 自然の不思議さに感動する 3―(3) 敬けん
- 金子みすゞの詩「ふしぎ」
 
- 6 家族の深い愛を知る 4―(3) 家族愛
- 映画ドラえもん「おばあちゃんの思い出」
 
 
- V 新資料を活用した授業づくり・中学年編
- 1 自己保身の心を排除して善悪を判断し,行動に移す 1―(3) 正義
- いじめにかかわった子どもたちの言い訳
 
- 2 やさしさを悪用する危険を回避する 2―(2) 思いやり
- メールに潜む問題を素材にした自作資料
 
- 3 誕生に寄せられた家族の喜びを知り,命を大切にする 3―(1) 生命尊重
- 我が子誕生の喜びを綴った自作資料
 
- 4 かけがえのない生命の尊さを感じとる 3―(1) 生命尊重
- 中村久子の少女期を素材にした自作資料
 
- 5 動植物を愛しみ大切にする 3―(2) 自然・動植物愛護
- 絶滅危惧動物の写真の活用
 
- 6 公徳を大切にする 4―(1) 公徳心
- 車内マナー啓発ポスターの活用
 
 
- W 新資料を活用した授業づくり・高学年編
- 1 節度を守り節制に心掛ける 1―(1) 節度・節制
- 放置自転車の写真等を活用
 
- 2 前向きで誠実な生き方を大切にする 1―(4) 誠実
- 茨木のり子の詩「自分の感受性くらい」
 
- 3 生命を輝かせて生きる 3―(1) 生命尊重
- 盲目の金メダリスト高橋勇市を素材にした自作資料
 
- 4 我が国の伝統と文化のすばらしさを学ぶ 4―(7) 伝統と文化の尊重
- NHK「京都 茶の湯大百科」の視聴
 
- 5 我が国の伝統と文化を受け継ぐ 4―(7) 伝統と文化の尊重
- 朝青龍の土俵上での所作を素材にした自作資料
 
- 6 世界の人々を大切にし,人類の福祉の向上に努める 4―(8) 国際貢献
- 国境なき医師団の活動「命のうでわ」
 
 
まえがき
中教審は,学習指導要領等の改善についての答申(平成20年1月)で,道徳の授業が形式化している,子どもたちの受け止めが学年があがるにつれてよくないという指摘があることに触れて,魅力ある道徳授業への改善充実を求めた。道徳授業を実際に行っている教師からも,自分の道徳授業がマンネリ化の傾向にあるので変化を加えたいという声を耳にすることがある。このような自己評価を含め,マンネリ化,形式化の問題に関しては,果たして事前の教材研究でねらいや活用する資料についてどこまで深めた上で授業に臨んでいるのか,いささか疑問に思うところでもある。事前研究の深さは,授業を新鮮で魅力あるものに仕上げるからである。道徳的価値の自覚を促す発問も,児童の実態やねらいとの関連を考えることで,毎時間工夫されたものになると思われるからである。とはいえ,学習指導要領でも,魅力的な教材の開発や活用を通して創意工夫ある指導を行うことを求めている。
また,小学校学習指導要領に,「道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深め,道徳的実践力を育成するものとする」と,道徳の時間の目標が規定された。小学校の段階では,人間として豊かに生きていく基盤となる道徳性を育成する指導の徹底とともに,自己の生き方についての指導を充実し,各学年を通じて,自立心や自律性の育成を強く求めている。自立心や自律性は,児童が自己実現を目指したり,人格を形成したりしていく上で欠かせないものであり,自己の生き方を豊かにし,人間関係を広げ,社会参画をしていく上で基盤となる重要な要素である。そのためには,児童が自己を肯定的に受け止め,自分の生活を見直し,自立した生活を営み,将来に向けて夢や希望をもって,よりよい生活や社会をつくり出していこうとする態度の育成が必要である。児童一人一人の立場から考えると,道徳的価値を捉え,さらに,それを自分の生き方として実現していこうとすることによって,道徳的価値をより自己のものとして一層の自覚を深めることにつながるのである。
本書は,これらを念頭に,既存の読み物資料中心の道徳の時間の指導に変化を付けること,これまで以上に自分の生き方についての考えを深めることの2点を特に意図した授業づくりを期し,「新資料」の開発と活用を提案するものである。たくさんの方に本書から,「新資料」の特徴,「新資料」の開発と活用法などをお読みいただき,魅力的な教材の開発と活用を工夫され,道徳の時間の充実に生かしていただきたいと願うものである。
末尾ながら,新資料開発と実践記録等を提供していただいた執筆者の方々及び発刊にご尽力いただいた明治図書出版教育書編集部・茅野 現氏に感謝申し上げる。
/福田 富美雄
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