EAMA道徳 多面的・多角的思考を育てる新しいエンカウンター

EAMA道徳 多面的・多角的思考を育てる新しいエンカウンター

新刊

BEST300

新しいエンカウンターEAMAで道徳授業を変えよう

本書で提案する「EAMA道徳」とは、4つの心の立場になりきって演じることで、心の変容が起きる新しい道徳授業の手法です。一つの立場から考えるのではなく、多面的に考えることができる仕組みが組み込まれた方法の理論を提示するとともに、具体的実践を紹介します。


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ISBN:
978-4-18-861523-2
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 136頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年6月30日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに
1章 EAMA道徳の理論とアイデア
これが「EAMA道徳」の授業だ!その1
―「EAMA道徳」の出発点
「マテマテ君」「シメシメ君」「ナイナイ君」「モヤモヤ君」の対話のいじめの授業
EAMAの人間観 人のこころはいくつものパーツの寄せ集め
いじめの傍観者の中にある 「シメシメ君」「マテマテ君」「ナイナイ君」
「ナイナイ君」こそ,道徳教育最大の敵!「人格の向上」や「社会の改善」を阻むもの
「モヤモヤ君」の声を聞く―道徳教育の要
「EAMA道徳」によるいじめの脱傍観者授業のポイント
教材「シメシメ君」「マテマテ君」「ナイナイ君」「モヤモヤ君」
ワークシートに「かずきさんの中の,こころのパーツ」を記入する
こころのパーツに「ネーミングする」
デモンストレーション(お手本)
4人1組で「シメシメ君」「マテマテ君」「ナイナイ君」「モヤモヤ君」の対話
学級全員で「シメシメ君」「マテマテ君」「ナイナイ君」「モヤモヤ君」の対話
子どもたちの日常生活で話題に!
これが「EAMA道徳」の授業だ!その2
自分の弱さを克服する「EAMA道徳」の授業
エイミーの中の「5つの私」
登場人物の「こころの声」が明記されていない教材での「EAMA道徳」
「EAMA道徳」に適した教材
「EAMA」は,国語の授業でも使える!
「EAMA道徳」の優れているところ
「EAMA道徳」の目指すもの
従来の「エンカウンターで道徳」より優れている点
人のこころは,さまざまな「パーツ」ないし「ポジション」からなっている
―「EAMA道徳」の基礎理論 その1
メァーンズ「コンフィギュレーションズ・オブ・セルフ」
フォーカシング「フェルトセンス」「クライアントのクライアント」
プロセス指向心理学
ハーマンス「対話する自己」
「対話する自己」のワーク
新しいエンカウンター EAMAエンカウンターとは?
―「EAMA道徳」の基礎理論 その2
4人グループでのEAMAエンカウンターの実際
EAMAの主要技法「なりきり」と「映し出し」
3つのエンカウンターとEAMAエンカウンター
2つのエンカウンターに対して生まれてきた違和感
EAMAエンカウンターのグループセッションの実際
学級でのEAMAエンカウンターの手順
2章 EAMA道徳の授業
EAMAの授業 ここが面白い
EAMAの授業
道徳授業の流れ
思考のステップ
EAMAの授業の感想
事例1 EAMAでいじめを考える@
教材:どうすればいいんだ
学年:小学校高学年
内容項目:C−(13)公正,公平,社会正義
事例2 EAMAで人とのつながりを考える
教材:銀のしょく台
学年:小学校高学年
内容項目:B−(11)相互理解,寛容
事例3 EAMAでいじめを考えるA
教材:かずきの気持ち
学年:中学校
内容項目:C−(11)公正,公平,社会正義
事例4 EAMAで人としての生き方について考える
教材:本当の私
学年:中学校
内容項目:D−(22)よりよく生きる喜び
事例5 EAMAでよりよく生きることについて考える
教材:いつわりのバイオリン
学年:中学校
内容項目:D−(22)よりよく生きる喜び
資料

はじめに

 本書は,EAMAという新しい方法による道徳授業,略して「EAMA道徳」の理論と方法を紹介するものです。

 「EAMA道徳」は,すごく魅力的です。

 体験的な学習を主にするので,子どもたちがイキイキと楽しく学べます。また同時に,大きな変容を見せます。それは,この方法が,読み物の登場人物への「体験的な,なりきり」をおこなうアプローチだからです。

 「EAMA道徳」は,これまでの道徳授業とのつながりを保ちながら,まったく新しい点もあります。

 「EAMA道徳」の最大の特徴は,1人の登場人物の中のさまざまな気持ちに「本気でなりきる」点にあります。

 「僕はこう思う」「私はこう思う」という「自分」をいったん空っぽにして,徹底的に「登場人物の気持ちに,本気でなりきり」演じます。

 そうすることで「登場人物の内面との真の出会い」,また,その登場人物のこころの動きを通して表現されている「価値との出会い」が可能になるからです。

 まず,「私は」「僕は」という「自分」を空っぽにする。そして登場人物のさまざまな気持ちに「なりきり」ます。しかも,座学を通して知的に理解するのではなく,ロールプレイを通して,その登場人物のさまざまな気持ちに実際に,「体験的に」なりきるのです。そうしてはじめて,子どもたちは,登場人物のこころの動きを「我がことのように」体験的に理解することができます。

 この「体験的な,なりきり」にこそ,「EAMA道徳」の最大の特徴はあります。

 「EAMA道徳」が得意とするのは,より高みを目指すこころの動き,弱気に流れるこころの動き,自分をごまかそうとするこころの動き,といった1人の登場人物の中に,「さまざまなこころの動き」が見て取れる読み物を扱う授業です。

 たとえば,いじめの傍観者を扱う場合,1人の傍観者の中には,「いじめられているのを見て楽しむ気持ち」(シメシメ君),「いじめはよくないという気持ち」(マテマテ君),「自分がいじめているわけではない。ぼくは関係ないという気持ち」(ナイナイ君),「でも,クラスの中で,いつもいじめが起きているのは,なんか,やっぱりよくないよなー。このままじゃよくないなぁという気持ち」(モヤモヤ君)の4つの気持ち,4つのこころの立場があります。

 この4つのこころの立場それぞれに,クラスの子ども全員が「なりきり」ます。自分を空っぽにして,この4つのこころの立場に「なりきる」ことを通じて,子どもは,自分の中にどの「こころのパーツ」もあることを実感します。そして,もっとも俯瞰的な立場である「モヤモヤ君」の立場から,ものを考えることができるようになります。

 教師から誘導されてそうなるのではありません。

 4つのこころの立場に「なりきって」本気で演じることを通して,自然とそうしたこころの動き,変容が起きてくるのです。

 「マテマテ君」や「ナイナイ君」「モヤモヤ君」になりきって,楽しく演じているうちに,自然と,もっとも高い位置にある「モヤモヤ君」の立場から子どもたちは,ものを考えることができるようになります。そういう建付け,仕組みが「EAMA道徳」の中には,組み込まれているのです。


 私が,道徳教育にずっとかかわってきたのは,日本人のこころに「こころの垂直軸」を確立したい,それが日本人にとってどうしても必要だ,という思いが強くあったからです。「こころの垂直軸」は,「高い精神性の発動」によって生まれます。「高い精神性に向かうこころのタネ」は,誰のこころにもあり,日常生活の中では,多くの場合,今の自分に対する「違和感」―「自分は,このままでは,いけないのではないか」という身体的な実感―として現れます。先の例でいうと「モヤモヤ君」です。自分の中の「モヤモヤ」を感じて立ち止まり,そこにとどまってものを考えることから,私たちの中に眠っている「高い精神性に向かうこころのタネ」は発動し,活性化してきます。「自分のこころの中のもっとも気高い部分」に立ってものを考えることができるようになります。それによって「こころの垂直軸」が確立していくのです。

 筑波大学の大学院生のころから,私はもう40年近く,道徳授業の新しいアプローチについて研究し提言してきました。「EAMA道徳」はその最終到達地点,最高傑作と言ってよいものになりました。


 いかがでしょうか。

 「EAMA道徳」の面白さが少しは,伝わったでしょうか。

 新しい道徳授業のアプローチである「EAMA道徳」。

 これをあなたの道徳の授業方法のレパートリーにぜひ加えてください。

 ある小学校では,授業の翌日から,子どもたちの間で「えっと,マテマテ君がさぁ」「でも,シメシメ君が」「ナイナイ君が」「ぼくの中のモヤモヤ君が……」という話題でもちきりになりました。

 「EAMA道徳」をおこなうと,学級がイキイキとしてきて,道徳授業をおこなうことがますます面白くなってくること,間違いなしです!


   明治大学教授 /諸富 祥彦

著者紹介

諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)著書を検索»

1章執筆。筑波大学大学院博士課程修了。教育学博士。千葉大学教育学部助教授を経て,現在,明治大学文学部教授。

尾花 桃代(おばな ももよ)著書を検索»

2章執筆。千葉県船橋市の公立中学校教諭から市教育委員会の道徳担当指導主事,管理職となる。千葉大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻修了。自己内対話を深め,他者との対話で新たな気づきがある授業の実践を重ねている。道徳授業Design Sheetを開発し,シートを活用した授業プランを『道徳教育』(明治図書)で連載。ワークシートを工夫しながら,深い思考に導き,自己の生き方を見つめる道徳授業の在り方を研究している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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