小学校新学習指導要領の展開 生活科編
平成20年版

小学校新学習指導要領の展開 生活科編平成20年版

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新学習指導要領のねらいを具体化する完全ナビ&ガイド!

生活科新設からちょうど20年がたった今、そもそもの設立の目的、新・旧指導要領の違い、新しい生活科の授業をつくるための実践例を盛り込み、これまでとこれからの生活科を総合的に描き出しました。「探究的な学習」としての生活科の授業を目指す先生方、必見です。


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ISBN:
978-4-18-838617-0
ジャンル:
学習指導要領・教育課程生活
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 184頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 定着と充実に向けた新しい生活科の姿
1 生活科のこれまで 〜原点に帰ろう
(1) 生活科の原点
(2) 生活科が学校教育にもたらしたもの
2 生活科の現状と課題
(1) 生活科の現状
(2) 生活科の今日的な課題
3 新しい生活科の姿
(1) 改善の基本方針
(2) 生活科の改善の要点
(3) 新しい生活科のめざすもの
U 新しい生活科はこれまでと何が違うのか
1 気付きの質を高めること
(1) 生活科における「気付き」
(2) 気付きの「階層」について
(3) 気付きの質を高める授業づくり
2 自分自身のよさや可能性に気付くこと
(1) 三つの学年目標から四つの学年目標へ
(2) 自分自身のよさや可能性に気付くとは
(3) 自分自身のよさや可能性に気付くためには
(4) 自分自身のよさや可能性を自覚する
3 身の回りの人とのかかわりを充実すること
(1) 身の回りの人々とは
(2) 地域のよさに気付く
(3) 地域の人とのかかわりを充実させる
(4) 多様な人々とのかかわりを充実させる
4 自然の不思議さや面白さを実感すること
(1) なぜ「自然の不思議さや面白さを実感すること」が重視されたか
(2) 授業レベルで何が変わるか
5 安全教育や生命教育を充実させること
(1) 安全教育の充実
(2) 生命教育の充実
6 幼児教育との連携を図ること
(1) 幼児教育と小学校教育をつなぐ教科としての生活科
(2) 幼小連携のさらなる重視の背景
(3) スタートカリキュラムの意義と課題
V 新しい生活科の目標と内容
1 目標と内容の構造
(1) 教科目標の構造
(2) 学年目標の構造
(3) 内容構成の考え方
2 目標改善の解説
(1) 教科目標の趣旨
(2) 学年目標改善の趣旨
3 内容改善の解説
W 新しい生活科の年間指導計画づくりのポイント
1 全体計画と年間指導計画
(1) ゆとりのある指導計画にする
(2) 学習指導の特質を考える
(3) 子どもの実態をとらえる
(4) 指導体制を整える
(5) 2年間を見通した計画にする
2 単元指導計画
(1) 九つの内容から構成する
(2) 学習活動を組み合わせる
(3) 子どもの発達段階に配慮する
(4) 指導と評価を一体化する
(5) 「習得」「活用」「探究」の流れを意識する
3 年間指導計画作成のポイント
(1) 幼児教育との連携
(2) 他教科等との合科・関連
(3) 総合的な学習の時間への発展
(4) 理科や社会へのつながり
X 新しい生活科の授業づくりと単元計画
1 学校生活への適応とスタートカリキュラム
2 安全教育の充実
3 家族とともに
4 社会性の育成
5 自然の不思議さや面白さを実感する
6 生命教育の強調
7 コミュニケーション能力の育成や言語活動の重視
8 自分自身の成長に気付く
付録 小学校学習指導要領「生活」

まえがき

 平成20年3月,新しい学習指導要領が告示されました。平成元年の学習指導要領に生活科が新設されてちょうど20年。生活科もようやく成人を迎えたことになります。同時に,今回の改訂がこれからの生活科の10年を決めることになります。

 今回の改訂では,教科目標はそのままですが,学年目標が一つ増え,「自分のよさや可能性に気付く」ことが改めてクローズアップされました。これは,「自立への基礎を養う」ために大切な「自分自身への気付き」の重要性を再確認したことを意味します。私たち教師は,「できるようになったぼく・わたし」「わかるようになったぼく・わたし」を子どもたちにしっかり自覚させ,子どもたちの「自己肯定感」と「生きる自信」をさらにはぐくんでいかなくてはなりません。「生きる力」育成の切り札としての生活科の面目躍如といったところでしょうか。

 また,内容には新たに(8)「生活や出来事の交流」が加えられ,合計9内容になりました。これは,生活科が最も重視する「具体的な活動や体験」をその場限りのもので終わらせることなく,言葉などを中心としたコミュニケーション活動を通して体験したことを他者と情報交流することをめざしたものです。言葉などを使った言語活動は,思考を促し,他者とのコミュニケーションを成立させ,子どもたちの情緒を安定させることにつながります。こうしたことから,生活科における具体的な活動や体験の様子などを,身近な人々と伝え合う活動を行うことで,かかわることの楽しさが分かり,多くの人と進んで交流していこうとする子どもの姿をめざすようにしたのです。

 さらに,内容及び内容の取り扱いについて改善された事柄として,5つ挙げられています。それらは,@気付きの明確化と気付きの質を高める学習活動の充実,A伝え合い交流する活動の充実,B自然の不思議さや面白さを実感する指導の充実,C安全教育や生命に関する教育の充実,D幼児教育及び他教科との接続,の5項目です。詳しい内容は,本文をよく読んでいただきたいと思います。

 そもそも生活科は,21世紀に求められる我が国の教育の方向性を示したものでした。その方向性とは,我が国の学校教育の基本方針として改めて強調された「生きる力」の育成です。生活科は,従来教科と異なり,教科の学問的背景を持っていません。しかも,活動や体験を通して学習するという方法を大切にするので,目の前の子どもたちは,一体何に興味・関心があるのか,どんな活動をやりたがっているのかという「子ども理解」がはじめにあります。同時に,唯一の正しい答え,決まった答えというものもありません。従って,教師は,子どもと共に活動し,共に学習を創りながら,子どもの内にある力を引き出すような授業を心がけなければなりません。ところで,英語の「教育」を意味する“educate”の語源は「引き出しを開ける,(潜在的な力を)引き出す」ということです。真の「生きる力」育成のために私は,次のような提案をしたいと思います。

     teacherもいいけど,educatorをめざそうよ!

 本書は,探究的な教科生活科の,そもそもの設立の趣旨,今改訂内容の現行指導要領との違い,今改訂による新しい生活科の姿,新しい方向を見据えた実践例など,生活科のこれまでとこれからを総合的に描き出したものです。本書が多くの方々に活用され,新しい生活科の実践が大きく前進することを切に願うものであります。


  平成20年10月   編著者 /木村 吉彦

著者紹介

木村 吉彦(きむら よしひこ)著書を検索»

上越教育大学大学院学校教育研究科准教授(生活科教育学)


1955年山形県生まれ。東北大学教育学部および東北大学大学院教育学研究科を卒業・修了。ルソー,ペスタロッチーといったヨーロッパの教育思想研究から始まり,現在では,生活科及び総合的学習教育論,幼小連携を中心とした幼児教育論,ジェンダー論を中心とした家庭教育論等,幅広い研究分野にかかわっている。教育の現代的な諸問題を,常に教育の本質論から分析し考察を加えている。

平成13年度文部科学省在外研究員として,2002年3月より2003年1月まで,チューリッヒ・ペスタロッチー研究所客員研究員として,チューリッヒに滞在。帰国後,10年間の生活科に関する論考を一冊にまとめ,『生活科の新生を求めて〜幼小連携から総合的な学習まで〜』(日本文教出版)として出版した。

2005年6月には,日本生活科・総合的学習教育学会学会誌に掲載された論文「生活科・総合的な学習の存在意義―全人的な学力観を前提に」が,第3回「研究奨励賞」を受賞した。また,今改訂にかかわって,文部科学省「学習指導要領の改善等に関する調査研究委員<小学校生活>」(2006年4月〜2008年3月)を務めた。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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