- まえがき
- 特別活動はこう改訂された
- ◆答申の基準改善のねらいをどう受け止めたか
- 特別活動の役割の重要性は変わらない
- 世紀の学校像と特別活動
- ◆今回の改訂でどんな特別活動をめざしたか
- 改訂にあたっての三つの重点
- 子どもの現実と答申の距離をどう考えるか
- ◆今回の改訂で何に最も苦心したか
- 特別活動の内容構成の維持に苦心
- 「自治的な活動を重視」の強調に苦心
- 自治的な活動の重視をめぐる小・中・高の違い
- 改訂でねらった資質・能力は何か
- ◆資質・能力の構造を明らかにしたい
- ◆豊かな人間性の育成
- ◆人間関係の醸成
- ◆モラル・ルールの習得
- ◆自主的、実践的態度の育成
- ◆国際協調の精神
- 改訂の内容を解説する
- ◆学級活動では何が変わるのか
- 学級活動の改訂で注目を集めている事項
- 「学級内の組織や運営」はなぜ強調されたか
- 組織や運営の例示は現状の追認か
- 活動内容のマンネリ化・パターン化を乗り越えたい
- 問題解決の仕方、集団活動の進め方、学び方の育成が中軸に
- 生徒指導の機能の一層の充実
- ◆児童会活動では何が変わるのか
- 児童会活動を特別活動総合化の軸に
- 「内容相互の関連」を図ること
- 学級・学年を超えた人間関係づくりを
- ◆クラブ活動では何が変わるのか
- 「学校の実態に応じて」の意味するもの
- クラブ活動の時間確保の工夫
- 学校の実態に応じたクラブ所属の工夫
- クラブ活動と「総合的な学習の時間」の関連
- クラブ活動の意義の見直しを
- 特色ある教育とクラブ活動とのかかわり
- ◆学校行事では何が変わるのか
- 学校行事重点化の意味は何か
- 学校行事と「総合的な学習の時間」の関連
- 価値ある体験を取り上げる
- 学校を変えていくボタンとしての行事
- 特色ある学校づくりと学校行事の役割
- 改訂で特別活動の実践はこう変わる
- ◆多様な協力の中での指導
- 特別活動におけるティーム・ティーチング
- ティーム・ティーチングの効果を考える
- ◆子どもの発意・発想を大切に
- 子どもの発意・発想を生かす指導
- 私の見たイチ押し実践
- 特色ある学校づくりの実践に学ぶ
- 付録 改訂小学校学習指導要領/ 特別活動
まえがき
教育課程審議会は、平成十年七月二十九日に「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」を答申しました。これは、本答申に先立って示された、二十一世紀を展望し、わが国の教育について[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむことを重視する教育を提言した中央教育審議会の第一答申の趣旨を受けて作成されたものです。
この[生きる力]について、同答申は「いかに社会が変化しようと、自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」、「自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性」、そして、「たくましく生きるための健康や体力」を重要な要素であるとしています。
今回の教育課程の改訂では、小学校の特別活動の内容構成は、「学級活動」「児童会活動」「クラブ活動」「学校行事」とされ現行どおりです。二十一世紀の教育を考えたとき、完全学校週五日制の導入、総合的な学習の時間の創設、学校、家庭、地域の役割を再考する等々の課題がありましたが、今回の改訂では特別活動の教育課程上の位置付け及び役割が大きく変わることはありませんでしたし、内容的にはむしろ[生きる力]の育成を目指して新たな課題も加わって、いわゆる〈望ましい集団活動の重要性が増した〉のであり大きな期待が寄せられたと考えることもできると思います。
全国の各学校において、教育課程審議会「答申」をもとに新学習指導要領を読み、改訂の意図や方向性を踏まえて新たな学校の教育課程の研究、そして編成を進めることになると思われますが、本鼎談についても参考にしていただき、より適切な実践の一助にしていただけたら幸いです。
最後に、本書を出版するに当たり、明治図書の安藤征宏氏に企画・編集のすべてにわたって大変お世話になりました。ここに記して感謝を申し上げます。
平成11年5月 /宮川 八岐 /天笠 茂 /石塚 忠男
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- 明治図書