小学校新教育課程 社会科の指導計画作成と授業づくり

小学校新教育課程 社会科の指導計画作成と授業づくり

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新教育課程に基づいたこれからの授業づくりに役立つ1冊!

学習指導要領で示された習得・活用・探究型の新しい学力像、指導計画作成にあたっての目標・内容・方法のポイント、授業の改変点と授業づくりの要点を丁寧に解説。新教材を含めた具体的な授業モデルも豊富に収録した、これからの社会科授業づくりのバイブルとなる1冊。


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ISBN:
978-4-18-833112-5
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 小学校社会科・学習指導要領改訂のポイント
§1 学習指導要領改訂のねらい
§2 小学校社会科・改訂の重点
(1) 学力観の転換と小学校社会科指導―習得・活用・探究型学習への転換
(2) 教科及び学年の目標は,どのように改善されたのか
(3) 各学年の内容は,どのように改善されたのか
U 小学校社会科・指導計画作成のポイントはここだ
§1 指導計画全体にかかわる基本方針と教科目標の設定
(1) 授業時間数増をどう活かすか
(2) 新教材・単元構成の変化にどのように対応するか
(3) 教育目標に即した教科目標の設定
§2 目標にかかわる作成上の課題
(1) 「基礎的知識・技能」の確実な習得
(2) 「思考・判断・表現力」等の育成
(3) 「公民的資質の基礎」の育成
§3 内容にかかわる作成上の課題
(1) 教育内容の組織化・系統化をどう行うか
(2) スパイラルな指導をどのように設定するか
§4 方法にかかわる作成上の課題
(1) 「言語活動」をどのように位置づけるか
(2) 「作業・体験的な学習」をどのように位置づけるか
(3) 「問題解決的な学習のさらなる充実」をどのように位置づけるか
V 小学校社会科・指導計画作成と授業づくり
§1 第3・4学年社会科・指導計画作成と授業づくり
(1) 第3・4学年社会科・年間指導計画の作成
@ どのような年間指導計画が必要か
A 年間指導計画の具体例
(2) 第3・4学年社会科・単元指導計画作成の具体例と留意点
@ 身近な地域=指導の重点はここだ
A 地域の人々の生産や販売=指導の重点はここだ
B 住みよいくらしをつくる=指導の重点はここだ
C 地域社会の災害や事故防止=指導の重点はここだ
D 生活の変化や先人のはたらき=指導の重点はここだ
E わたしたちの県=指導の重点はここだ
(3) 新学習指導要領の特色を活かした第3・4学年社会科授業づくり
◆「健康な生活環境や安全を守るための諸活動について理解させる」授業づくり
指導案モデル@:法やきまりについて考える「廃棄物の処理(くらしとごみ)」
指導案モデルA:関係機関や地域の人々の協力について考える「地域の防犯(事故の防止)」
◆「地域社会に対する誇りと愛情を育てる」授業づくり
指導案モデル@:地域の歴史遺産から先人の働きを学ぶ「地域調査(身近な地域)」
指導案モデルA:方位や主な地図記号をまとめ定着させる「47都道府県(国土の環境)」
◆「思考・判断・表現力を育てる」授業づくり
指導案モデル@:写真を読み取り特色や相互の関連について考え,工夫を理解する「仕事の特色(販売)」
指導案モデルA:地域と世界とのかかわりについて調べ,表現する「外国とのかかわり(県のようす)」
§2 第5学年社会科・指導計画作成と授業づくり
(1) 第5学年社会科・年間指導計画の作成
@ どのような年間指導計画が必要か
A 年間指導計画の具体例
(2) 第5学年社会科・単元指導計画作成の具体例と留意点
@ わたしたちの国土と自然環境=指導の重点はここだ
A わたしたちの生活と食料生産=指導の重点はここだ
B わたしたちの生活と工業生産=指導の重点はここだ
C わたしたちの生活と情報=指導の重点はここだ
(3) 新学習指導要領の特色を活かした第5学年社会科授業づくり
◆「環境の保全や自然災害防止の重要性を認識し,国土に対する愛情を育てる」授業づくり
指導案モデル@:近隣の主な国の名称・位置と国旗について考える「領土(国土の環境)」
指導案モデルA:環境保全について考える「森林のはたらき(国土の環境)」
◆「産業の発展や情報化の進展への関心を高める」授業づくり
指導案モデル@:農業の具体的事例から価格や交通について考える「季節の果物(食料生産)」
指導案モデルA:地図や地球儀を活用して世界との貿易を考える「部品輸出(工業生産)」
◆「思考・判断・表現力を育てる」授業づくり
指導案モデル@:情報ネットワークを活用して調べ,表現する「公共サービス(わたしたちの生活と情報)」
指導案モデルA:情報モラルの必要性について考える「情報社会に生きる(わたしたちの生活と情報)」
§3 第6学年社会科・指導計画作成と授業づくり
(1) 第6学年社会科・年間指導計画の作成
@ どのような年間指導計画が必要か
A 年間指導計画の具体例
(2) 第6学年社会科・単元指導計画作成の具体例と留意点
@ 日本の歴史(先人の業績や文化遺産)=指導の重点はここだ
A わたしたちの生活と政治=指導の重点はここだ
B 世界の中の日本=指導の重点はここだ
(3) 新学習指導要領の特色を活かした第6学年社会科授業づくり
◆「我が国の歴史や文化を大切にし,国を愛する心情を育てる」授業づくり
指導案モデル@:政治の中心地の歴史遺産から歴史と文化を学ぶ「鎌倉時代(日本の歴史)」
指導案モデルA:縄文土器が使われていた頃のくらしと文化を学ぶ「縄文時代(日本の歴史)」
◆「国際社会における我が国の役割と共存の必要性を自覚する」授業づくり
指導案モデル@:スポーツの国際大会から身近な国の文化について考える「オリンピック(国際交流)」
指導案モデルA:ユニセフやユネスコから国際社会について考える「平和維持活動(国際協力)」
◆「思考・判断・表現力を育てる」授業づくり
指導案モデル@:国会や裁判所の意味について考える「裁判員制度(生活と政治)」
指導案モデルA:国会と参政権から国民の権利と義務について討論する「選挙権(生活と政治)」
あとがき

まえがき

 平成20年3月に,新学習指導要領が告示され,教育課程の基本的枠組みや教育内容に関する改善事項,各教科の内容について方向が示された。

 社会科においては,昭和22年に試案として示されて以降,昭和26年,昭和30年,昭和33年,昭和43年,昭和52年,平成元年,平成10年,そして,平成20年と8回目の改訂になる。ただ,改訂がされても基本的に変わらないのは,社会科授業が,子どもたちの観察・調査などの活動や社会見学という体験的活動を重視している点である。さらに,今回の改訂で重視されたキーワードがある。それは,「知識基盤社会」と「持続可能な社会」である。「知識基盤社会」(knowledge-based society)というのは,21世紀が,政治・経済・文化をはじめあらゆる領域での活動の基盤に,知識・情報・技術の重要性が増している時代であるということである。また,持続可能(サスティナブル  sustainable)な社会とは,これまでの発展を追い求めるのではなく,経済や人間,社会,環境などバランス感覚が要求される社会である。

 この二つのキーワードをもつ社会だからこそ,体験や経験から学ぶ社会科は重要である。今回の改訂で重視されたのは,PISA型読解力である。読解力とは,2005年12月に文部科学省が示した読解力向上プログラムの三つの重点目標がベースになっている。@テキストを理解・評価しながら「読む力」を高める取組の充実,Aテキストに基づいて自分の考えを「書く力」を高める取組の充実,B様々な文章や資料を読む機会や,自分の意見を述べたり書いたりする機会の充実。PISA型読解力というのは,自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力であり,情報の「受信・受容」「思考・判断・創造」「発信・提示」という三つの要素の総体である。これらの読解力の必要性が求められている背景には,効果的に社会に参加する(participate society)という目的がある。社会科においては,自分の考えを文章で書いたり,表現したりする。また,情報や資料を分析・解釈したり,既有の知識や経験と結びつけて,批判的に検討したりして,自分なりの意見を論述したり,説明したりするという論理的な思考力にかかわる能力で,特に,言語力が注目されている。これは,伝える力や調べる力などを含めた言語力である。そのため,社会科においては,調べ学習の位置づけが問題になってくるだろう。調べて問題解決をするのではなく,調べたことを,その後の学習にどのように活かすことができるのか。ここがポイントである。

 本書『小学校新教育課程 社会科の指導計画作成と授業づくり』は,こうした趣旨から企画されたものだ。

 第T章では,新学習指導要領改訂のねらいとこれからの社会科について,改正された教育基本法や学校教育法との関連,社会科の教科としての基本的な役割,習得・活用・探究型学習への転換の必要性について論述した。新学習指導要領の考え方と結びつけて,これからの社会科を理解することができる。第U章では,小学校社会科の指導計画作成のポイントとして,指導計画全体にかかわる基本方針と教科目標の設定,目標,内容,方法にかかわる作成上の課題を解説している。これによって,学習指導要領改訂の背景や意図などの概要を把握することができる。第V章では,小学校社会科の指導計画作成と授業づくりについて,具体的な実践例を数多く提示している。現場の先生方にとって,社会科の授業力の向上に有意義な内容となっている。

 社会科には,将来の民主主義国家を担う子どもたちを育てるために重要な役割がある。子どもたちが,現在及び未来の社会で,どのように生きて,社会にどのようにかかわっていけるのかが重要である。本書が,社会科授業のさらなる充実と活性化のために活用されることを望むものである。

 本書の刊行に当たっては,明治図書出版の及川誠氏から企画の段階から趣旨や内容の構成について,懇切丁寧なご助言をいただいた。この場を借りて,心から感謝とお礼を申し上げたい。


  2009年1月   /關 浩和

著者紹介

關 浩和(せき ひろかず)著書を検索»

1958年9月 愛媛県松山市に生まれる。

2005年3月 博士(学校教育学)

愛媛県公立小学校教諭,広島大学附属小学校教諭を経て

現在 兵庫教育大学大学院教授。

専門分野 社会認識教育学(社会科教育・生活科教育)

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 一貫した授業理論をもとに、新しい社会科の授業づくりについて丁寧に解説されているので、他の指導要領関係の本に比べて、とても読みやすく感じました。

      ポイントをおさえた授業モデルも豊富に入っていて、これからの授業づくりにとても参考になります。

      この本、お薦めします。
      2009/2/10tomo

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