笑顔の明るい先生になろう坂本光男の若い先生へのメッセージ

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あとを絶たない子どもの悲惨なニュース。しかし教師が笑顔で心を注げば、子どもたちは必ず立ち直る。豊かな事例をもとに、その確信を述べる。


復刊時予価: 2,673円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-820002-2
ジャンル:
授業全般
刊行:
5刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 176頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
一章 子ども同士の笑顔をつくろう
一 友だちがいて、ぼくがいる
1 縄跳びのできない子
2 長い討論
3 友情では一位だった
二 小学一年生のけんが
1 泣く子が二倍も三倍も
2 けんからしいけんか
3 けんかを劇で再現
三 どの子もどこがで役に立っている
1 私立受験に落ちた子
2 にぎやかに遊ぶ
3 子どもでしか通じない世界
二章 教師は子どものために笑おう
一 忘れられない言葉
1 ぼく、頭が痛いの
2 おじさん、またきてね
3 学校の中のエアポケット
ニ 腹を立てないでよかった
1 美代の顔のあざ
2 無理に笑みを見せて
3 封筒の中の三千円
三 土建の仕事をやりたいと言う子
1 おほくろさん
2 なぜ宇宙人なのか
3 いっしょに山へ登ろう
4 淳におくる詩
三章 笑顔の教師になるポイント
一 活動させて長所をほめる
1 まず遊ぶことかう
2 何をほめるか
3 活動の事実でほめまくる
二 友だちづくりへのアイディア
1「誕生を祝う会」を環にして
2 働きかけ合う内容で
3 時間をかけて合意を
三 学び合いをつくり育てる
1 学習での共同こそ大切
2 質問が学び合いのキーポイント
3 小さな討論から広げる
四章 子どもの味方になって怒ろう
一 児童会の役員選挙を守ろう
1 腹の立つこと・ベストテン
2 養護の先生の助言
3 子どもに向ける忙しさなのか
二 ともかく子どもの声を聞こう
1 ナイフ狩り・持ちもの検査の波紋
2 ナイフ狩りは危ないよ
3 生徒も考えているのだから
三 教師は自分のためにも怒ろう
1 二一世紀は庶民の学校が消える
2 教師の危機は子どもの危機
3 現場教師が未来をひらく
五章 庶民の要求で学校をつくろう
一 要求が大きな共同をつくった
1 もう一名、教員がほしい
2 みんなでつくった財産
3 教育協同の原点
二 頭髪自由化を協同の力で
1 校則を変えろ、バカ!
2 親が変われば
3 生徒たちをほめてやりたい
三 小さなことでも大きな意味がある
1 昼休みに遊べない
2 腹の虫が治まらない
3 活発な母親たちの動き
四 子どもの行事を守りぬく
1 わらび刈りのピンチ
2 宿題をやるからやめないで
3 人間の真実も守った
五 困難でもやれることがある
1 卒業式は最後の授業
2 結びつけるものが一つあれば
3 教師と父母の気楽な関係
あとがき

まえがき

 北陸からの帰路、わたしは若い先生からいただいた学級通信のなかに、心を引く一つの詩を見つけました。

            小四・城 信也


     〈習字の時間〉

  すみをすっていたら

  手がすべってぴしゃっとはねた。

  黒い水が先生のシャツにもとんだ。

  おこられる! と思ったら

  先生は「ドキッ」といって笑った。

  ぼくも「ごめん」と笑った。

  先生とぼくと

  みんなにないしょで笑った。


 この詩が、なぜ心を引くのだろう。わたしは、しばらくして思いあたりました。希望を見つけたのです。

 昨年来、子どもたちの悲惨なニュースがつづきました。教師の受難時代だと、いろいろ耳にもしました。けれども、子どもたちがすべてそうなのではない。教師が心を注げば、信頼でつながることができる。「先生とぼくと、みんなにないしょで笑った」という言葉が、それの証言のような気がしたからです。

 そういえば全国のどこの学校・団体のアンケート調査でも「笑顔の明るい先生がいい」と、回答の上位を占めています。やはり子どもの指導に、教師の笑顔は欠かせないものといえるでしょう。

 もちろん教育現場の忙しさ、神経を疲れさす競争と管理のもとでは、笑顔を見せたくても余裕がもてない事情があると思います。そのせいか最近は、「暗い先生が多い」「学校が冷たい」と子どもや父母の声を聞くことが多くなりました。

 しかし、これは重大事です。見過ごしていたら、ほんらい味方同士である子ども、父母、教師の絆が断たれてしまいます。

 考えてみれば、それらの原因は矛盾にみちた政治と文教政策にあります。味方同士は、いたわり合わなければなりません。まず元凶に眼を向けること。そして改善要求をしつつ、子どもたちにはやさしい笑顔を注ぐこと。それがいまを生きる教師に、いちばん大切なことなのではないでしょうか。

 この本は、こうした思いのもとに書いたものです。

 主な内容を示すと、

 @ 子どもの可能性はどこにあるのか。

 A どうすれば笑顔のある教師になれるか。

 B 父母、地域の人とどう協同したらよいか。

というようになります。

 これらを多くの事例にもとづいて述べ、経験の長・短にかかわりなく、すぐ役立てていただけるように編みました。

 二一世紀の教育が大きく変えられようとしているいま、“明日をひらく実践"にこの本を役立てていただけたら幸いです。

 ぜひ、ご一読ください。


  1998年5月   /坂本 光男

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      明治図書

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