- はじめに
- T章 今,なぜ食育なのか
- ―「人間力」の育成と食育の必要性
- 1 「社会の変化」と家庭生活・食生活
- 2 「子どもの健康・食の現状」と学校教育
- 3 「食育」の必要性の高まりの経緯(各種「答申」等)と国の施策 ―「学校給食法の制定」から「栄養教諭制度の創設」まで
- 4 これからの食育の充実と推進上の諸課題 ―学校の教育課程・指導体制の充実を求めて
- U章 特別活動で進める食育プラン構想のポイント
- 1 「食育の全体計画」の作成と共通理解をどうするか
- 2 年間の各内容の指導の繋がりをどうつくるか
- 3 指導組織をどうつくり,どのように機能させるか
- 4 教材,指導資料の作成,活用をどう工夫すればよいか
- 5 家庭,地域との連携をどう図ったらよいか
- V章 特別活動で進める食育展開の工夫
- 1 各内容ごとの指導の特質・機能を生かした指導案づくり
- 2 実践課題(目標)を設定しやすい資料づくりと活用
- 3 栄養教諭等との積極的なティームティーチングの導入
- 4 「日常の指導」との関連を図る〜九条ねぎの実践〜
- 5 「評価」の工夫と指導改善
- W章 特別活動で進める食育プラン集
- §1 学級活動で進める食育プラン集
- 1 基本的な考え方
- 2 指導計画例
- 3 低学年で進めるプラン集
- 4 中学年で進めるプラン集
- 5 高学年で進めるプラン集
- §2 給食の時間にする食育プラン集
- 1 基本的な考え方
- 2 指導計画例
- 3 低学年で進めるプラン集
- 4 中学年で進めるプラン集
- 5 高学年で進めるプラン集
- §3 児童会活動で進めるプラン集
- 1 基本的な考え方
- 2 指導計画例
- 3 委員会活動で進めるプラン集
- 4 児童会集会活動で進めるプラン集
- §4 クラブ活動で進めるプラン集
- 1 基本的な考え方
- 2 指導計画例(調理クラブ)
- 3 料理クラブで進めるプラン集
- 4 調理クラブで進めるプラン集
- §5 学校行事で進めるプラン集
- 1 基本的な考え方
- 2 指導計画例
- 3 集団宿泊的行事で集めるプラン集
- 4 勤労生産・奉仕的行事で進めるプラン集
はじめに
現行の小学校学習指導要領「総則」には,「生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。」との記述がある。これは,児童が積極的に心身の健康の増進を図っていく態度や習慣を身に付けることを意図したものであり,児童期から心身の健康について理解するなど,健康教育を充実させていくことの重要性を示した課題であると考えられる。
これまで文部科学省は食に関する指導の目標を「生涯にわたって健康で生き生きとした生活を送ることを目指し,児童一人ひとりが望ましい食生活の基礎基本と食習慣を身に付け,食事を通じて自らの健康管理ができるようにすること。また,楽しい食事や給食活動を通じて,豊かな心を育成し社会性を涵養すること。」と捉えて,食に関する指導参考資料(小学校編)を表してきた。しかし,近年,子どもたちの食をめぐる様々な問題が明らかになってきている現状がある。
平成16年(2004年)1月の中央教育審議会答申において,「近年,食生活の乱れが深刻になっており,望ましい食習慣の形成は,今や国民的課題になっている。子どもたちが将来にわたって健康に生活していけるようにするためには,子どもたちに対する食に関する指導を充実し,望ましい食習慣の形成を促すことが重要である。また,食に関する指導の充実は,「生きる力」の基礎となる健康と体力を育むほか,食文化の伝承,社会性の涵養などの効果も期待できる。」と述べている。
この提言を受けて,学校における食に関する指導体制を整備・充実を図るために栄養教諭制度が創設されたことは周知の通りである。まさに,新しい食育への確かな取り組みが現代の学校教育の重要課題になっているのであり,これまで以上の各学校の取り組みが求められるのである。
そうした状況を踏まえ,食育への各学校の取り組みが一層充実したものとなるようにとの願いから参考図書としてまとめたのが本書である。構成としては,「T 今,なぜ食育か」で食に関する現状の問題点や食育重視が強まってきた経緯などを解説している。さらに,「U 特別活動で進める食育プラン構想のポイント」,「V 特別活動で進める食育展開の工夫」,「W 特別活動で進める食育プラン集」で,各学校における特別活動で進める食育推進の手だて,具体案などを特別活動の内容ごとに例示してみた。ここに挙げた事例等は,特別活動の指導及び研究実績をもつ各地の実践者が,これまでの実践をベースに新たな充実の視点を持って簡潔に紹介しているものである。
全国には,さらに素晴らしい実践事例があるに違いないが,それらが一部の学校に留まることなく全ての学校に広がってほしいものである。そのためにも本書が全国の各学校の取り組みに僅かでも参考になるならば幸いである。なお,本書については,是非とも忌憚のないご批正をいただきたい。
最後に,本書の刊行に当たって,企画の段階からお世話になった明治図書出版株式会社安藤征宏氏にこの場を借りて深く感謝の意を表したい。
平成18年6月 /編 者
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- 明治図書