- はじめに
- 第1章 鶴沢小学校の研究概要
- 1 はじめに
- 2 「心はずませる学び」とは何か
- 3 なぜ「考える力を高め合う」ことが必要なのか
- 4 鶴沢小学校における道徳の時間の学習過程
- 5 三つの研究の視点
- 第2章 各学年での実践事例
- 1の視点
- 主題名 「あかるいこころで」(1年)
- 〜実践意欲が高まる道徳学習〜
- 主題名 「よいと思うことは進んで」(2年)
- 〜自分で判断する力を高める道徳学習〜
- 主題名 「自分らしさを生かして」(3年)
- 〜自分のよさを見つめ,自分を伸ばす道徳学習〜
- 主題名 「明るい心で」(4年)
- 〜いじめについて考える道徳学習〜
- 主題名 「最高学年として」(6年)
- 〜将来につながる自分を見つめる道徳学習〜
- 2の視点
- 主題名 「みんななかよく」(1年)
- 〜相手の立場に立って考える道徳学習〜
- 主題名 「真心のあいさつ」(5年)
- 〜自分の考えを見直す道徳学習〜
- 3の視点
- 主題名 「たいせつないのち」(2年)
- 〜生命の大切さを実感する道徳学習〜
- 主題名 「ともに生きる」(4年)
- 〜生命の尊さに気付く道徳学習〜
- 4の視点
- 主題名 「はたらくっていいね」(1年)
- 〜働くことの大切さを考える道徳学習〜
- 主題名 「よりよい学級をめざして」(3年)
- 〜生活の中の課題を資料にした道徳学習〜
- 主題名 「みんなが気持ちよく過ごすために」(5年)
- 〜公共のマナーを守る気持ちが高まる道徳学習〜
- 主題名 「自分の役割の自覚」(6年)
- 〜リーダーとして,大切なことに気付く道徳学習〜
はじめに
今日,急激な社会の変化や情報化社会の進展により子どもたちを取り巻く教育的環境の厳しさはますます広範囲に渡ってきています。
そして,そこには様々な問題行動が起きています。規範意識の希薄化,耐性の欠如・少年犯罪の低年齢化,人間関係の希薄さによるいじめ,不登校児童生徒の増加等深刻な状況が依然続いているのが現状です。「豊かな心の教育の一層の充実を!」「道徳教育の大切さ」が叫ばれてはいますが,即刻改善を図るための決めてはなく,各学校の地道な努力が続いているところです。
さて,「道徳」は,本校の創立年度と同じく昭和33年に新設されました。50年余りの歴史の中で5回の改訂が図られ,平成元年には内容の重点化が図られています。本年度からは,基本的な考え方は変わってはいないものの,教育基本法の改正・学校教育法の一部改正により,「生きる力」の理念を共有する新学習指導要領において実施されています。また,新たな内容項目も加わり,低学年は16項目,中学年は18項目,高学年は22項目となり,「道徳教育推進教師」のポストが位置付けられました。
本校は,これまでにも特に,国語・算数・理科・社会・体育科など教科研究を中心とした実践研究を積み重ね公開研究会を実施してきました。しかし,「道徳」の研究の指定校は初めてのことであり,この7月に授業提案を中心とした公開研究会を実施しました。
研究主題 「心はずませる学びの創造 〜考える力を高め合う道徳学習を通して〜」
子どもたちの心身ともに健やかな成長を願い,子どもたちに身に付けさせたい学力を「社会的自立への基礎」と考え,将来にわたって生きて働く力(生きる力)となるものであるととらえました。子ども同士の豊かな人間関係づくりを意図しながらお互いが考えを深め・高め合う場を設定し,将来をよりたくましく生きるための道徳的判断ができる子ども,自立した子どもを育てることをねらいとして研究に取り組んできているところです。
研究内容として,三つの視点を設定しています。それをもとに授業検証を行ってきた結果,子どもたちが本気で考え話し合いをする道徳の授業が実現できるようになり,自分の根拠を明確にした話合い活動が活発になってきているところです。また,アンケ−トからは,自分を肯定的にみられるようになった子どもたちが増えてきている様子が明らかになりました。
しかし,研究が深まるにつれ多くの課題も挙げられます。子どもの発達段階や実態に合った資料の開発,振り返りにより自己を見つめさせる場の設定,教科指導や特別活動・総合的な学習との関連性や累積の大切さが浮き彫りになってきています。
本日,これまでの研究の成果を本にまとめ出版することができました。
さらに,来年度は第44回関東地区小学校道徳教育研究大会・第34回千葉県道徳教育研究大会の会場校として授業実践を提案し,3年間の道徳の指導法の改善に向けたまとめ・考察をしたいと考えているところです。
終わりになりましたが,本書の出版にあたり,これまで温かくご指導・ご助言いただきました本校講師でいらっしゃいます諸先生方をはじめ明治図書の仁井田康義氏に心より感謝申し上げます。
平成22年1月 千葉市立鶴沢小学校長 /黒岩 絹子
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- 明治図書