- はじめに
- T章 構造化方式による『心のノート』を生かした授業の基本
- 1 構造化方式の勧め
- 2 構造化方式での『心のノート』の生かし方
- 3 構造化方式における評価
- 4 低学年『心のノート』を生かす着眼点
- U章 構造化方式による『心のノート』を活用した授業実践
- 1 視点1のとらえ方と生かし方
- むねを はって いこう
- (1) 「気もちの いい 一日」
- ・資料『ノートのひこうき』
- (2) 「がんばってるね!」
- ・資料『がんばれポポ』
- (3) 「よいこと すすんで」
- ・資料『うんどうぐつ』
- (4) 「うそなんか つくもんか」
- ・資料『きいろい くれよん』
- 2 視点2のとらえ方と生かし方
- こころと こころを むすぼう
- (1) 「あいさつは こころの リボン」
- ・資料『あさのうた』
- (2) あたたかい こころを とどけよう」
- ・資料『こころの花』
- (3) 「ともだちと いっしょ」
- ・資料『ともだち先生』
- (4) 「ありがとうを さがそう」
- ・資料『ふえを ふいて』
- 3 視点3のとらえ方と生かし方
- いのちに ふれよう
- (1) 「生きものを そだてよう」
- ・資料『いきものって かわいいね』
- (2) 「みんな みんな 生きて いるよ」
- ・資料『ハムスターの あかちゃん』
- (3) こころ いっぱいに かんじよう」
- ・資料『七つの ほし』
- 4 視点4のとらえ方と生かし方
- みんなと きもちよく いよう
- (1) 「みんなの ものだもん」
- ・資料『あぶら山』
- (2) 「かぞくが 大すき」
- ・資料『ぎんの しずく』
- (3) 「おせわに なってます!」
- ・資料『へいきだよ』
- (4) 「あなたが そだつ まち」
- ・資料『ほたるがすむ 町』
- 5 『こころのアルバム』構造化方式での活用
はじめに
低学年では,比較的よく道徳授業の指導を受け入れることが多く,実践の指導もそれなりに受け入れやすい。道徳的実践によって一歩大人に近づくことができたという喜びを感ずることができるし,早く大人になりたいという児童の願いに合っているからである。
それだけではない。低学年担任の教師は,一般に児童に温かい目を向け,児童を温かく受け止めようとしている。この教師の姿勢が,その指導をすべて受け入れるようにしているのである。一般に,子どもは自分をかわいがってくれる人の言うことしか聞かない場合が多い。このことを考えても,この,教師の姿勢が重要であることが分かる。
だからといって,道徳授業は現状でよいとは限らない。『道徳教育推進状況調査』ほかの調査によれば,道徳授業において,低学年はかなりよい成果を上げてはいるが,学級のほぼ全部の児童が指導をしっかり受け入れている授業は約5割で,まだ改善しなくてはならない課題もあることを示している。
この数字から見ても,道徳授業は,低学年にとっても根本から改善することが必要で,学習指導要領ではありとあらゆる工夫を求めているのだが,現状は,工夫が行われても枝葉末節にとどまって根本の発想の転換までいっていない場合が多い。
その発想を転換し,抜本的に授業を改革するのが構造化方式である。構造化方式は道徳授業の現状の困難点をすべて解決して明るく楽しい授業にする原理でもあるのである。生き生きと児童に受け入れられる道徳授業にするには何が肝心か。本書を子細に吟味していただければはっきりする。
文部科学省から『心のノート』が配布された。『心のノート』は,児童がありのままの自分からよりよい自分への願いに即して考えを深めるようになっている。この発想は構造化方式に極めて近い。だから,構造化方式の授業では『心のノート』を生かしやすい。また,構造化方式や『心のノート』の考え方で指導することが,前述の道徳授業の抜本的な改善になるのである。
『心のノート』をどう生かすか。これまで授業を技術的に組み立ててきた場合は,形骸化していても本人が気づかないでいる場合が多い。そのままで『心のノート』を授業に利用しようとしても試行錯誤となる。『心のノート』を生かす授業には児童中心の授業の組み立て方が大切で,そのためには構造化方式によって指導をすすめることが最善である。
本書は,T章「構造化方式による『心のノート』を生かした授業の基本」と,U章「構造化方式による『心のノート』を活用した授業実践」からなる。T章は構造化方式の要点を分かりやすく述べたものである。U章は,構造化方式の考え方によって,各事例を分担した教師の持ち味を生かして授業を実践した事例である。T章で『心のノート』と構造化方式の要点をとらえ,U章を参考にして,本書を優れた道徳授業の創出に役立てていただければ,これに過ぎる喜びはない。
本書は,明治図書出版の仁井田康義氏のご支援と叱咤激励によって誕生することができた。紙上を借りて厚く感謝の意を表したい。
平成15年1月 /金井 肇 /斎藤 宥雄
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- 明治図書