- まえがき
- 第1章 心の揺れを自作資料に
- 第2章 生き方を深く考える道徳授業の実際
- ―実践にあたって―
- 1 おばさんのハンカチ1−(1)
- 2 努力せずに天才になるには1−(4)
- 3 お母さんの成績表1−(6)
- 4 イワタとケンジ2−(3)
- 5 割れた花びん2−(4)
- 6 近くの他人2−(5)
- 7 オオヨシキリ3−(1)
- 8 おばあちゃんとブラウン3−(2)
- 9 山ん神とブナの木3−(3)
- 10 机の上で背くらべ4−(1)
- 11 こわれた卵4−(2)
- 12 ポテト君4−(3)
- 13 役立たずのごんじい4−(4)
- 14 ぼくのお父さん4−(5)
- 15 こんにちは,ハサンさん4−(8)
まえがき
教師が自作の資料を通して子どもたちとともに考え,話し合い,その感動を子どもたちが実践に移してくれれば,どれほどすばらしいことだろう。私は,取材に訪れた各地の小学校で道徳の授業を見てきたが,子どもたちの心に強く訴えかけた資料は,教師の自作のものが多かった。子どもたちは,担任の先生の創作した資料だということだけで,素直に感動し,実践活動に結びつけていた。
子どもたち一人一人の個性を知り尽くして,道徳の読み物資料を創作できるのは,教師以外にない。とはいえ,資料を創作するのは,それほど生やさしいことではない。文学に傾倒して,教師が変に文学的になったりすると,たちまち子どもたちにそっぽを向かれてしまう。
読み物資料を創作するための参考となる本はないのか。私自身,道徳番組の放送脚本を数え切れないほど書いてきたが,試行錯誤の連続であった。時間に追われて,構成に破綻があるのを見過ごしてしまったりすると,仕上がりはみじめなものになってしまう。こうして,それこそ毎回が真剣勝負といった気持ちで,自分の書いた文章と顔を突き合わせてきた。どれも自分の文章,つまりは自分との闘いであった。
たまたま私の本を読んでくださった方の勧めで,文部省の読み物資料の作成に協力する機会があった。委員会に創作資料を提出して委員各自が意見を述べて推敲を重ねていくのだが,提出作品には,かつて私が経験したと同じような苦渋の跡がにじみ出ていた。資料を創作するのには,乗り越えなければならない壁がある。
協力委員会での数年,資料を読みながら私は考え続けた。日ごろ文章を書き慣れていない教師であっても,文章表現の方法と構成についての基礎的な知識を身に付けていれば,それほど苦しまずに,子どもたちに伝えたい思いを文章に表現できるのではないか。
道徳の読み物資料といっても発想,プロット展開の方法,人物やその性格の描き方,布石の置き方など,どれを取っても小説やドラマの書き方と変わりはない。この本は,私がこれまで作品を手がける度にメモしてきた創作ノートに,文部省の委員会での数年間,資料を検討する機会を与えられた経験を付け加えてまとめたものである。
創作の方法は,そのまま資料選びの参考になるだろう。何より自作の読みもの資料で,子どもたちとともに感動を分かち合っていただきたい,それがこの本を書こうとした動機である。
読み物資料は新しい小学校学習指導要領に立脚した,<自立心,悩みや心の揺れ,葛藤>を基本に据えて,まとめてみた。この資料を使って授業を展開してくださった先生方の実践記録は,道徳授業をどう展開していったらいいのか考える何よりの参考になるだろう。
この本は,巻末に名前の出ている先生方や編集の仁井田康義氏を交えて討議を重ね,推敲を加えた。授業記録はじめ編集全般にわたっての清水保徳先生のご尽力や,各地の小学校の協力がなければ,成り立たなかっただろう。あらためて心からの感謝をしたい。
平成13年夏 /大野 哲郎
-
明治図書
















