- まえがき
- T いじめは減った?
- U いじめって何?
- 1 「自分より弱い者に対して一方的に」ということについて
- 2 「身体的・心理的な攻撃を継続的に加え」ということについて
- (1) ゲーム化そして日常化
- (2) 集団化と構造化
- (3) 巧妙化と陰湿化
- (4) 長期化
- (5) 流動化
- 3 「相手が深刻的な苦痛を感じているもの」ということについて
- V いじめの四層構造
- W いじめに対する教師のスタンス
- 1 基本姿勢
- 2 いじめは絶対許さない
- 3 いじめられた子どもに立った指導
- X いじめ発見のチェックポイント
- Y 学級の風土
- いじめ撲滅授業 其の1──「他己(たこ)紹介」
- 1 この授業のねらい
- 2 「他己(たこ)紹介」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」1
- 4 授業のあとの「ちょっと一言」2
- いじめ撲滅授業 其の2──「十人十色」「百人百様」
- 1 この授業のねらい
- 2 「十人十色」「百人百様」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」
- いじめ撲滅授業 其の3──「緊急アピール」
- 1 この授業のねらい
- 2 「緊急アピール」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」1
- 4 授業のあとの「ちょっと一言」2
- いじめ撲滅授業 其の4──「いじめ加害者・被害者想定」
- 1 この授業のねらい
- 2 「いじめ加害者・被害者想定」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」
- いじめ撲滅授業 其の5──「何がいじめか」
- 1 この授業のねらい
- 2 「何がいじめか」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」
- いじめ撲滅授業 其の6──「人権ってなんですか?」
- 1 この授業のねらい
- 2 「人権ってなんですか?」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」
- いじめ撲滅授業 其の7──「いじめ撲滅宣誓文」
- 1 この授業のねらい
- 2 「いじめ撲滅宣誓文」の授業
- 3 授業のあとの「ちょっと一言」1
- 4 授業のあとの「ちょっと一言」2
- あとがき
まえがき
最近のいじめは、日常化してきており、遊びの延長として気軽に行われている。それは、遊びといじめの境がない状態(ボーダーレス化)とも言える。昨日いじめられた子が、今日はいじめる側に立ったりする。まるで、ゲームでも楽しむかのように、対象者がコロコロ変わる。
そして、語る言葉が、「ちょっとふざけていただけ」「ただのジョーク」といった具合である。
それだけに、いじめているという意識は、次第に希薄になってきている。
「これが子どものやることか」というような陰湿ないじめまでエスカレートしてきている。
その子どもたちには、罪の意識、道徳的な判断や心情などは、もはやない。
悲しいかな、これが現実のひとつである。
イソップ物語の一節に、次のような話がある。
池に石を投げる子どもに向かって、カエルが言う。
「あなたにとっては、それは単なる遊びでしょうが、私たちにとっては、生死の問題です。」
これをいじめに置き換えてみる。
おもしろ半分に、いじめをされたら、たまったものではない。
本当に生死にかかわる。事実、いじめを苦に命を落とした人はたくさんいる。
悲惨ないじめは、もうたくさんである。
二度と繰り返してはならない。
「いじめ撲滅」こそが、私たち教師に課せられた緊急かつ最大の使命ではないだろうか。
足を踏まれた者の痛みは、足を踏まれた者にしか分からない。
確かにそうかもしれない。
だからといって、手をこまねいていていいのだろうか。
共感はできるはずである。
そこから、いじめの悲惨さ、ばからしさは伝えられるはずである。
もう一度言う。
「いじめ撲滅」こそが、私たち教師に課せられた緊急かつ最大の使命ではないだろうか。
本著は、上記の思いを受けて書いたものである。
どうすれば、クラスからいじめが一掃されるか。
これまでの私の実践を踏まえ、高学年の児童向けに開発した、七つの授業群を掲載した。
「いじめ撲滅授業 其の1」以外は、どの実践も、きわめて即効性が高いものである。
たった七時間の授業だけで、クラスからいじめが一掃されるほど、即効性が高いと、自負している。
時間がなければ、クラスの実態に適した授業ひとつでも十分である。
ぜひ試してみていただきたい。なお、追試がしやすいように、授業で使用した資料等は、できるだけ大きく本書に載せておいた。
その他にも、「いじめ」に関する「い・ろ・は」を、記しておいた。
「いじめに関する本は難しくて読みづらい」とよく言われるので、できるだけ簡単に説明し、「これだけは覚えておいた方がよい」ということのみにした。
従来のいじめの本より、数段、読みやすいものになったかと思う。
さらに、『授業のあとの「ちょっと一言」』というコーナーも設けた。このコーナーは、「さらに参考になること」「いい足りなかったこと」などを付け加えてある。
ぜひ、これもしっかり読んでいただきたい。
/内海 俊行
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- 明治図書