- まえがき
- 教課審答申と中学校道徳
- 「体験的・実践的な活動の重視」とは
- 「道徳」改善の三つの視点は何か
- 「道徳の時間」とは、どんな時間か
- 校長の指導力の発揮
- 家庭・地域との連携の図り方
- 改善の具体的事項は何か
- 道徳の「目標」はどうなったか
- 道徳性と道徳的実践力との関連は
- 「四つの柱」はどうなったか
- 内容項目と学年段階との関連は
- 指導計画の立て方と具体化は
- 多時間扱いは可能か
- 社会生活のルールから規律ある生活へ
- 体験を生かす視点から指導を工夫する
- 「道徳教育」「道徳の時間」の評価について
- 求めたい「道徳の時間」の授業像
まえがき
新学習指導要領の全面実施は、平成14年(2002年)度からである。しかし、道徳の場合、実質的には移行期間となる平成12年度から全面実施となる。つまり、21世紀という新しい時代の幕開けとともに、新学習指導要領に基づく道徳教育が実施されるわけである。
ところで、国立教育研究所における「児童生徒の教科等に関する意識調査」によれば、一番好きな教科等として道徳は11番目に、一番嫌いなものとしては7番目にあげられており、いずれも全体の順位は低く生徒にとって道徳があまり関心をもたれていないことがうかがえる。また、同じことばかりでつまらない勉強として道徳は1番目にあげられており、話し合えるから楽しいでは2番目であるが、意見が言えるから楽しいでは、学級活動が1番目であるのに比べ、道徳は上位2番目までには入っていない。これらの調査結果は、生徒の実態や教科等の本質というよりも、教師の指導の実態が反映されていると考えられる。
今回の改訂の最も重要な点は、やはり教師の意識改革と指導体制の充実であり、学ぶ主体である生徒がよりよく生きる力を自らはぐくむための指導の改善充実である。本対談で述べたことを参考にして、今回の改訂において何が求められているのかを確認するとともに、来年度からの具体的な実践に向けて、何を見直しどのような改善を図るかを検討して、21世紀への重要な節目をつくっていただきたい。
1999年6月 /七條 正典
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- 明治図書