- まえがき
- 1章 絶対評価の考え方と方法の開発
- §1 絶対評価をどのように考えたらよいか
- 1 絶対評価をなぜ重視するのか
- 2 観点別学習状況の評価をなぜ基本とするのか
- §2 絶対評価の方法をどのように工夫改善すればよいのか
- 1 評価規準や評価基準をなぜ設定するのか
- 2 評価方法をどのように工夫改善するのか
- 2章 絶対評価を考えた多様な評価方法の開発
- §1 「ペーパーテスト」を活用した評価方法
- §2 「観察」を活用した評価方法
- §3 「インタビュー」を活用した評価方法
- §4 「スピーチ」を活用した評価方法
- §5 「テープ」「ビデオ」を活用した評価方法
- §6 「学習ノート」を活用した評価方法
- §7 「ワークシート」を活用した評価方法
- §8 「レポート」「作品」を活用した評価方法
- §9 「パフォーマンス」による評価方法
- §10 「ポートフォリオ」による評価方法
- §11 「自己評価」「相互評価」による評価方法
- §12 「質問紙」を活用した評価方法
- 3章 観点別絶対評価の学習展開の実際
- ―具体的な評価規準の適用―
- §1 「聞くこと」の評価方法の実際
- <1 第1学年の事例> 「グリーン先生の初授業」
- <2 第2学年の事例> 「Let's Learn with Computers」
- <3 第3学年の事例> 「Super Salad」
- §2 「話すこと」の評価方法の実際
- <1 第1学年の事例> 「タコマの牧場で」
- <2 第2学年の事例> 「Making a Video Letter」
- <3 第3学年の事例> 「School Trip to Korea」
- §3 「読むこと」の評価方法の実際
- <1 第1学年の事例> 「Lesson 6 School in the USA」
- <2 第2学年の事例> Can Anyone Hear Me?」
- <3 第3学年の事例> A Mother's Lullaby」
- §4 「書くこと」の評価方法の実際
- <1 第1学年の事例> 「Eメールを書こう」
- <2 第2学年の事例> 「Anime and Movies」
- <3 第3学年の事例> 「Save the Earth」
- 4章 観点別評価から総括的評価(評定)への工夫
- §1 評価規準とその適用についての考え方
- §2 総括の考え方
- §3 総括の具体例
- §4 通信簿を生かした外国語科の評価方法と説明責任
- §5 指導要録記入のための外国語科の評価方法と説明責任
- 付録
- 資料 Evaluation Criteria for Foreign Languages at Lower Secondary School
まえがき
新学習指導要領の実施とともに,目標に準拠した評価への取り組みが進みつつある。目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)を適切に実施するためには,まず目標を明確にしてその目標の実現を目指した指導と評価が求められる。
この目標には,外国語科や英語の目標として設定されるような大きな長期的な目標から,より小さな短期的で具体的な目標までさまざまなものがある。そして大きな目標の達成は小さくより具体的な目標の達成を積み重ねることで実現されると言える。そのためそれを期するような適切な評価計画が必要となる。
日々の授業において機能する具体的な目標は,単元(課など)における目標であろう。その目標の達成を目指して数時間の指導が行われ,その結果が評価される。評価に当たっては四つの評価の観点が基本となる。その際,四つの評価の観点の趣旨に基づいた具体的な評価規準を作成し,それに基づいた評価を行うこととなる。この評価規準の作成については,前書「中学校英語科の絶対評価規準づくり」で詳しく取り上げたところである。
本書は評価規準作りを前提としている。評価の過程としては,評価規準が設定されたのち,その評価規準の達成をみるための適切な情報収集が必要となる。信頼のおける情報がなければ判断ができないからである。そしてその際どのような方法で情報を収集するのかということが,本書でいう評価方法である。この方法の中には,情報収集の手段と同時にどのようなシステムで情報を収集するのかということも含まれている。例えば,ペーパーテストを実施するというのは,情報収集の手段であり,そのペーパーテストをどのように実施していくのかということはシステムであると言えよう。
さて,収集された情報は,未だデータに過ぎない。それに評価規準を適用して達成しているのかしていないのかを判断することとなる。そうして初めて評価結果が得られる。その評価結果を総括することによって,単元ごとの,あるいは学期ごとの観点別評価が可能となるのである。本書では,このような評価規準の適用から評価結果を総括し,さらに観点別学習状況から評定までを導き出す過程を詳細に示している。これらの過程での考え方と例示を参考にすれば各校において適切な評定までのステップを踏むことができると考えている。
また,本書には付録として,「評価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料」の英語訳を付けている。英語で指導計画や評価計画を作成する折りに,また英語で評価について話したり論議したりする折りに参考としていただければ幸いである。
本書の構成は次のようになっている。
1章では,絶対評価の考え方と方法を示している。ここでは目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)をなぜ重視するのか,また,どのように評価方法を工夫し適切な情報を入手すればいいのか全体の枠組みを示している。
2章では,多様な評価方法を具体的に列挙し,それぞれがどのような特徴をもっているかについて解説を加えている。ここに挙げられた12の方法はこれから評価を多様化しようと考える際に参考としていただけるはずである。
3章では,具体的な指導と評価の過程を領域及び学年ごとに示している。「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」を各学年で評価する例を実際の教科書の課を例にして示している。いくつかの領域を同時に評価する場合については,これらの組合せからどのようにすればよいかを判断いただけるものと考えている。
4章では,評価規準の適用の基本的な考え方から観点別評価への総括方法,また観点別学習状況から評定への導き方について示している。また評価は最終的には,生徒への通信簿や生徒指導要録として記録されることとなる。ここでは通信簿や生徒指導要録についても具体的な方法を示している。
本書の執筆者はいずれも実際の指導と評価に携わった経験に基づいて執筆しており,その内容は十分に具体性を備え実践的であると考えている。今後,各学校において評価を実施する際に大いに参考にしていただけるものと確信している。
最後に,本書の完成までにはさまざまの段階で明治図書編集部の安藤征宏氏に大変お世話になりました。心から感謝の意を表したいと思います。
平成15年3月 編者 /平田 和人
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- 明治図書