21世紀からの高校音楽授業
生徒が燃えた事例16

21世紀からの高校音楽授業生徒が燃えた事例16

投票受付中

高校から音楽授業が消える…といううわさもある昨今、そうなると、日本の文化が貧弱になるばかり。熊本の教師が生徒が燃える授業の実例で存続を訴える。


復刊時予価: 2,563円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-780003-4
ジャンル:
音楽
刊行:
対象:
その他
仕様:
B5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

巻頭言にかえて /田上 利光
発刊にあたって /濱ア みほり
音楽科教育の必要性を訴求する /田中 健次
T これでいいのか高等学校の音楽授業!
学校に音楽はいらない? /岩津 整明
1 「学校に音楽はいらない。社会教育で行った方がいい……」
2 「音楽がなくなっても困らない……」
検証! なぜ高等学校に芸術科(音楽)が必要か /桐田 信一郎
1 はじめに/ 2 音楽科が目指すもの/ 3 検証!「音楽科の特質と実社会との関連性」/ 4 まとめ
U 熊本ではこうやっている(授業実践事例)
事例1 音楽は感性の育成,それは読譜力から /松原 久美子
1 はじめに/ 2 読譜力を調査する/ 3 読譜力を育てるための指導計画と実践/ 4 おわりに
事例2 みんなが歌えるようになる音楽授業 /東 正生
1 はじめに/ 2 メロディは右脳,歌詞は左脳/ 3 生徒はこう歌っている/ 4 どうして歌えない,どうすれば歌える/ 5 コンピュータだからできること/ 6 コンピュータ伴奏で生徒の声域を探す/ 7 そして生徒はみんな歌った/ 8 コンピュータを使った音楽授業に必要な機材/ 9 21世紀の夢を語れますか
事例3 カラオケの授業で「生きる力」を /高田 剣
1 はじめに/ 2 指導計画/ 3 授業の展開/ 4 授業の成果/ 5 カラオケの授業を終えて(政男の感想より)/ 6 おわりに
事例4 ロゴ・ミュージックで一攫千金? /桐田信一郎
1 はじめに/ 2 サウンド・スケープ/ 3 映像と音楽の不思議な関係/ 4 ロゴ・ミュージックを作ろう/ 5 評価について/ 6 今後の課題について
事例5 演歌づくり講座 /米田 真一
1 題材設定のねらい/ 2 指導ポイント/ 3 指導計画(8〜9時間扱い)/ 4 指導の展開/ 5 考察と評価について/ 6 まとめ
事例6 夢中になる創作の授業 /上田 豊
1 学校教育で可能になる創作欲/ 2 創作過程/ 3 実践創作曲例/ 4 今後の課題
事例7 「へた」でもできるギターの指導 /中西 輝美
1 はじめに/ 2 ステップ1〈禁じられた遊び〉より/ 3 ステップ2「音階の上行・下行」/ 4 ステップ3「タブ譜を使って,ギターエチュード1〜3」/ 5 ステップ4「弾き語りに挑戦!」/ 6 ステップ5「リコーダーとギターのアンサンブル」/ 7 ステップ6「ギターの独奏曲を1曲マスターしよう」/ 8 おわりに
事例8 誰でも簡単,すぐできる民族音楽の授業 〜民族音楽T・世界の民族音楽(インドネシア・フィリピン)〜 /岡田 江身子
1 「世界の民族音楽」にどう取り組むか/ 2 インドネシアの音楽/ 3 フィリピンの民族音楽を扱った実践例/ 4 なぜ,いまグループでのリズム学習が必要なのか
事例9 手作り楽器の試み「水道管で尺八を作ろう」 〜民族音楽U・日本の伝統音楽〜 /岡田 江身子
1 音楽の授業で日本の伝統音楽を扱う意義/ 2 林業科1年男子40名!!/ 3 学校林で作業する生徒たちの姿を目にして/ 4 手作り楽器を作ってみよう/ 5 水道管で尺八を作る/ 6 音が出ない!/ 7 音は出なかったけど……/ 8 日本の伝統文化は注目の的
事例10 和太鼓への挑戦,伝承芸能「緑川太鼓」への取り組み /平江 純一
1 熊本県の太鼓事情/ 2 太鼓との出会い/ 3 緑川太鼓への取り組み/ 4 創立80周年記念式典へ向けて/ 5 練習開始/ 6 感動の記念式典演奏/ 7 文化祭と家庭クラブ/ 8 取り組めるところからの取り組み/ 9 おわりに
事例11 鑑賞の授業をとおして /久川 直也
1 はじめに/ 2 スタートでのつまずきと「国語」の授業をとおしての「気づき」/ 3 改めて「音楽科」にチャレンジ/ 4 私の鑑賞授業実践1〜〈バビ・ヤール〉/ 5 私の鑑賞授業実践2〜「音楽をとおして知るさまざまな春」/ 6 おわりに
V 燃える教師たち(部活動や地域での実践事例)
事例1 中世・ルネサンス音楽からまなべるもの /南 尊典
1 はじめに/ 2 実 践/ 3 研究の方法/ 4 おわりに
事例2 涙が出るほどの感動を〜吹奏楽部部員との悪戦苦闘の3年間〜 /大原 靖久
1 ありがとう!!/ 2 不安からの出発/ 3 荒尾高校1年目/ 4 荒尾高校2年目/ 5 荒尾高校3年目/ 6 逃げない/ 7 最後に
事例3 感動的な無伴奏合唱のためのいくつかの試み /岩尾 健弘
1 音楽的感動を得るための譜読み/ 2 1つの物差しとしての指導者の声/ 3 自らの鏡としてのもう1つの合唱団
事例4 音楽教師は地域の接着剤 /橋本 亜三生
1 県立劇場公演〜天草物語パートU「海」/ 2 新米教師時代/ 3 手作りの〈第九〉/ 4 天草初の創作ミュージカル/ 5 〈祗園橋ブルース〉/ 6 「天草音楽祭」誕生/ 7 毎日どこかでコンサート/ 8 あっという間の35年間
W 芸術コースの現在
芸術コース(音楽)新設について /岩津 整明
芸術コース(音楽)授業について /清川 正子
1 はじめに/ 2 3ヵ年の授業内容と単位数/ 3 音楽コースとしての取り組み/ 4 おわりに
X 熊本県の芸術科音楽の教員状況
芸術科音楽の教員状況について /平江 純一
おわりに 生徒の魂を揺すぶりつづけるために /東 正生

巻頭言にかえて

   熊本県高等学校教育研究会音楽部会長 熊本県立高森高等学校長 /田上 利光


 新緑の阿蘇に誘われ,気ままに散歩を楽しんでいますが,木立を吹き抜ける爽やかな風と鳥の鳴き声に,ふと自分を取り戻すことがあります。また,都会周辺ではほとんど聞くことができない鶯の鳴き声があちこちから聞こえてくるのも心が洗われる気がします。先日,登山愛好家から,阿蘇山系にも最近は鳥獣が増えたし,鹿の姿を見るのも珍しいことではなくなったと聞いたことがありますが,自然環境の保全や鳥獣の保護の大切さが人々に浸透し,その成果が現れつつあるのではないかと思っています。

 汗をかき山道をゆっくり登りながら,目の前に広がった阿蘇五岳や麓の町並み,田畑にふと立ち止まり,大好きなベートヴェンの交響曲「田園」を思い浮かべました。第一楽章の透明ですっきりした,のどかな美しい調べを口ずさむとともに,鳥の鳴き声に耳を澄ませながら,何かほっとした気持ちで大きな深呼吸をしました。都会での雑踏や騒音,乱立する広告やビルなどを見慣れている我々の生活の中で,自然のありがたさをしみじみ感じさせてくれたひとときでした。

 20世紀に人類が生み出した産業構造の急速な発達と情報革命,環境破壊に人口問題など新世紀の課題はまことに大きいものです。同様に「暴力」や「いじめ」「人心の荒廃」など教育の課題も大きく,知識や学力の向上以上に「生きる力」「心の教育」など,社会性や人間性の育成の重要性が叫ばれています。

 そういう意味では,「豊かな感性」と「創造力の育成」を教育の大きな柱とした芸術教育の力は計り知れないものがあります。特に音楽は,古より,時の政治や宗教,生活と深い関わりをもちながら発展し,国際理解や心の交流に欠かせない人類の共通語です。

 「豊かな感性を養い,美を追求し,深い情操の心を育む」ことを目標とした音楽教育に携わっておられる先生方に期待されるものはまことに大であると思っています。現在,失われつつある「人としての心の教育」に力を尽くされている先生方に,21世紀を担う子どもたちをしっかり育ててほしいと願っています。


 今回発行されたこの教育実践書は音楽科教育の質の向上と充実のために,全国に先駆けて本県の音楽の先生方が取り組まれた汗の結晶であり,その努力とご苦労に心から敬意を表すとともに,この教育実践書の活用とさらなる充実を期待しています。

 最後になりましたが,この教育実践書を発行するにあたり,懇切丁寧なご指導を頂きました佐賀大学文化教育学部教授田中健次先生に心からお礼申し上げます。

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • 熊本県の高校音楽の先生方が力を合わせて出版されたものと伺っております。
      是非復刊いただいて、拝読したいです。
      2022/8/22ぽじ

ページトップへ