- まえがき
- 1章 カリキュラム・年間計画作成のポイント
- §1 外国語(英語)科の目標と学年目標
- §2 年間計画作成上の配慮事項
- 1 指導計画作成の考え方
- 2 指導計画と評価計画
- 3 新学習指導要領における指導計画の作成
- §3 新しい評価の考え方と評価の観点
- 1 新しい評価のポイント
- 2 評価の観点とその趣旨
- 3 観点別評価における評価規準
- 4 評価の過程と評価結果の提示
- 2章 授業づくりの改善
- §1 授業を成功させる視点
- 1 授業を鳥瞰図的視点で見る必要性
- 2 「よい授業」と「結果を出す授業」
- §2 指導改善の工夫
- §3 授業構成を考える
- 1 コミュニケーションを目的とした授業構成
- 2 活動の内容と観点別評価を用いたフィードバック
- §4 授業進行の具体的な事例とその評価
- 1 授業進行の具体的な事例
- 2 二つの言語活動における言語使用の差異
- 3 観点別評価の進め方
- 3章 新評価規準による評価の実践
- §1 指導計画と評価計画のポイント
- 1 絶対評価への転換
- 2 英語の目標と評価規準
- 3 観点別評価と評定
- 4 計画―実践(指導)―評価の整合性
- 5 評価対象の広がり
- §2 生徒の英語力をとらえる多様な評価の工夫
- §3 指導に生かす評価の在り方
- §4 生徒へのフィードバック
- 4章 教材研究・教材開発のヒント
- §1 教科書と教材開発
- 1 教科書の扱い―知識から技能へ―
- 2 教材研究の実例
- §2 教材開発を進めるポイント
- 1 教材開発とは
- 2 教科書の実例
- 3 個別化して発展させる例
- §3 教材の基礎的扱い・発展的扱い
- 1 扱いの基礎と発展
- 2 教材の基礎的扱い
- 3 教材の発展的扱い
- §4 生徒の到達度に応じた教材の使い分け
- 1 教材の使い分け
- 2 理解から発表へ―音読・レシテーション指導を中心に―
- 5章 テスト作成の鉄則
- §1 テスト作成の基本的な考え方
- 1 評価をめぐる状況:「相対評価」から「絶対評価」へのパラダイム・シフト
- 2 テストを論じるための基本概念
- §2 評価の観点とテスト作成
- 1 定期試験の目的と目的に応じたテスト作り
- 2 絶対評価のためのテスト作り:パラダイム・シフトのための10箇条
- 3 テスト・テクニークのレパートリーについて
- 6章 コンピュータを利用した指導
- §1 英語指導とコンピュータ活用の視点
- 1 メールの不思議
- 2 意味のある場面での意味のある言語活動
- 3 コンピュータ,インターネットの意義
- §2 インターネットを生かした授業
- 1 Webページへの公開
- 2 ドリルから言語活動に
- 3 より社会的なかかわりを深めた実践
- 4 Travel Buddy
- §3 具体的な指導とその評価方法
- 1 メールを使った実践
- 2 評価の方法
- 7章 新しい授業づくりの実際
- §1 生徒を引き込む授業づくり
- 1 生徒を引き込む授業づくりをする前に,先生自身は何をなすべきか
- 2 生徒を授業に引き込むテクニックをいかに身に付けるか
- 3 どのように授業を進めるべきか
- §2 グループワークでの生徒同士の対話とそれに基づくスピーチによる授業づくり
- 1 活動の特徴
- 2 1時間の授業の流れ
- 3 学習者の必要とする表現・語句の調査と生徒へのフィードバック
- §3 個々の生徒を生かす授業づくり
- 1 個々の生徒を生かす必要性
- 2 個々の生徒を生かす授業づくりのために
- 3 きめ細かな支援の必要性
- §4 絶対評価を明示した授業づくり
- 1 学習内容と達成目標
- 2 評価規準・評価方法
- 3 学習の補充=基礎学力の保障
- 4 全体の学力傾向の把握と授業改善
- §5 習熟の程度に応じたコース別学習
- 1 コース編成にあたって
- 2 時間割・教員加配に伴う指導形態の工夫
- 3 習熟の程度に応じた学習の実践
- 4 評価・評定について
- 5 生徒の反応 アンケートの集計結果より
- 6 成果と今後の課題
まえがき
学習指導要領が改訂され,新しい外国語(英語)科の理念を理解しそれに基づいて自分の授業を創造していくことが指導者に求められている。「実践的コミュニケーション能力」の育成を目指して指導を行い,それを評価するに当たっては目標に準拠した評価(絶対評価)で行うというのが現在の基本的枠組みである。このような枠組みの中で自分には,今どのような改善が期待されているのかを指導者は理解しておく必要がある。
本書は,日頃から自分の英語の指導に何か物足りなさを感じ,また改善の意欲もうちに秘めながらも,何をどのように考え,始めたらよいのかのきっかけが見つからないという英語授業者のためのものである。
英語教育は今転換期にあるといわれながら,どうも自分には実感としてとらえられない。日々同じような授業の繰り返しであり,毎年同じような評価をしている。周りに変化が生じればそれを見定めたうえで,変えるべきところは変えればよいという「待ち」の姿勢でこれまでいたが,これを機に一つ取り組んでみようと思い始めたとき,その糸口ともなり弾みをつけてくれるのが本書である。
変化が求められる時代では,変化を楽しみ変えることに喜びを見い出す人が有利である。それほど大きなことをするわけではなくとも,何が新しい取組みだと自覚して実行することで自らが変化を生み出しているという意識が生まれ,それを積み上げていけばいいのだという自信から改善への意欲をさらに引き出し高めることができるだろう。新しい取組みが自分に心地よい刺激を与えることができれば授業後の充実感も高まることと思われる。
本書は全体が次のような7章で構成されている。
「第1章 カリキュラム・年間計画作成のポイント」は本書の総論に相当するものである。ここでは新しい英語教育の方向を指導と評価という両面から記している。特に,各校における学年目標の設定及び年間指導計画の作成上の留意点について詳しく説明をしている。続く第2章から第6章まではより具体的な一つのテーマに焦点を当てた内容となっている。「第2章 授業づくりの改善」は指導のあり方に焦点を当て,授業の改善についてどのような考え方が大切かを具体的に論じている。「第3章 新評価規準による評価の実践」は新しい評価に焦点を当て,今後重視される目標に準拠した評価がどのようなものかがわかりやすく簡便に記されている。「第4章 教材研究・教材開発のヒント」は授業において重要な教材を取り上げ,教材をどのように扱い,また開発をしていけばよいかを記している。「第5章 テスト作成の鉄則」は評価方法として大きな位置を占めているテストのあり方を取り上げている。適切なテスト作成を行うにはどのような点に留意すればいいのかがわかりやすくまとめられている。「第6章 コンピュータを利用した指導」は今後ますます教育の場で身近なものとなるコンピュータを英語教育にどのように活用すればいいのか,またその利点はどのようなところにあるのかを論じている。最後の「第7章 新しい授業づくりの実際」は実際に行われる授業の姿を伝えようとしたものである。ここには授業づくりにおける五つの課題についての提案が示されているので,さまざまな読者の関心に応じることができるのではないかと考えている。
それぞれのセクションの執筆者は,新しい英語教育の方向を踏まえながらこれまでの英語教育に携わった経験に基づいて執筆しており,その内容は具体的で実践的なものとなっていると確信している。
指導者が自分の授業に楽しみと期待を感じ,元気に指導を行うことができなければ,その結果も恐らく大したものとはならないだろう。本書がこれから授業改善に取組もうとしている指導者の皆様に何がしかのきっかけとアイディアを提供できれば幸いである。
最後に,本書の完成までにいろいろとご苦労いただいた明治図書編集部の安藤征宏氏に心から感謝を申し上げる。
平成14年3月 /平田 和人
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- 明治図書