力を合わせて運動能力を高める! 小学校体つくり運動

力を合わせて運動能力を高める! 小学校体つくり運動

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体育大好きになる! 楽しい体つくり運動の実践アイデア集

体つくり運動の実践例を低・中・高の学年別に紹介。「動物になって遊ぼう」「輪を使って動きを見つけよう」「豆忍者、再び参上!」など友だちと助け合い新しいことを工夫しながら楽しく学習するアイデアや子どもたちが体育を大好きになる学習づくりのヒントが満載です!


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ISBN:
978-4-18-769313-2
ジャンル:
保健・体育
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
第1章 楽しく学び合いのある体つくり運動
[1] 体つくり運動における各学年のねらい
[2] 子どもが育つ「体つくり運動」の指導の要点
第2章 体を動かすって楽しい! 低学年の体つくり運動
[1] 楽しく動いて体の調子を整え,手軽で律動的な遊びをしよう(体ほぐしの運動)
@ 伝承遊び みんなで昔からの遊びを楽しもう
A 鬼遊び ネコとネズミになって遊ぼう
B 走・跳の運動遊び ダンボール箱で遊ぼう
C 用具を使った運動遊び 風船を使って遊ぼう
[2] 楽しく動いて体のバランスをとろう(多様な動きをつくる運動遊び)
@ 体のバランスをとる運動遊び ケンケン遊びを楽しもう
A 平均台を使った運動遊び 一本橋で遊ぼう >>>【発展】中学年へ
[3] 楽しく動いて移動しよう(多様な動きをつくる運動遊び)
@ 体を移動する運動遊び 動物になって遊ぼう
A 体を移動する運動遊び うさぎ跳び競争やリレーを楽しもう
[4] 用具を使って楽しく動こう(多様な動きをつくる運動遊び)
@ 器具を使った運動遊び はしごを使って遊ぼう >>>【発展】中・高学年へ
A 用具を操作する運動遊び 長なわを使って遊ぼう >>>【発展】中・高学年へ
[5] 楽しく力試しの運動をしよう(多様な動きをつくる運動遊び)
@ 力試しの運動遊び すもう遊びをしよう >>>【発展】中・高学年へ
[6] 楽しく忍者ごっこをしよう(総合的な運動遊び)
@ 1年後期の実践例 豆忍者,再び参上!
A 2年後期の実践例 学習の里・忍術村の豆忍者修業
第3章 工夫を取り入れて楽しく動く! 中学年の体つくり運動
[1] 楽しく動いて体の調子を整え,手軽で律動的な運動を工夫しよう(体ほぐしの運動)
@ 用具を操作する運動 輪を使って動きを見つけよう >>>【発展】高学年へ
A 伝承遊び だるまさんがころんだ
B ボールを使った伝承遊び まりつき
C 用具を操作する運動 手づくりの刀を使った忍者ショー遊び
■Column■ 忍者頭巾の作り方とその効用
[2] 楽しく体のバランスをとる運動を工夫しよう(多様な動きをつくる運動)
@ 体のバランスをとる運動 平均台を使って >>>【発展】高学年へ
[3] 楽しい移動の動きを工夫しよう(多様な動きをつくる運動)
@ 体を移動する運動 肋木を使って >>>【発展】高学年へ
[4] 用具を使って楽しい運動を工夫しよう(多様な動きをつくる運動)
@ 用具を操作する運動 バトントワリング
[5] 楽しく力試しの運動を工夫しよう(多様な動きをつくる運動)
@ 力試しの運動 タイヤを使って
[6] 楽しく忍法づくりをしよう(総合的な運動)
@ 3年後期の実践例 学習の里・三月流豆忍者修業―忍者ショーと忍術村の巻―
A 4年後期の実践例 忍者の体育をつくろう―四月流豆忍者修業・忍術村の巻―
第4章 楽しく動いて体力アップ! 高学年の体つくり運動
[1] 楽しく動いて体の調子を整え,手軽で律動的な体力アップ運動をしよう(体ほぐしの運動)
@ 用具を用いた運動 フライングディスクを使って
[2] 体の柔らかさや巧みな動きを高める体力アップ運動をしよう(体力を高める運動)
@ 5・6年の実践例 輪の体操「仲間の輪・友情の架橋」
A 5・6年の実践例 布の表現「海と空と仲間と私」
[3] 力強い動きや動きを持続する能力を高める体力アップ運動をしよう(体力を高める運動)
@ 跳び箱運動に関連して 馬跳びをしよう
A 持久走に関連して 三人組の歩走練習
[4] 楽しく忍者修業をしよう(総合的な運動)
@ 5年の実践例 五月流豆忍者修業デラックス―連続忍法の巻―
A 6年前期の実践例 六月流豆忍者修業マックス
■Column■ 子どもが変わる「体育指導の要点」15
あとがき
引用・参考文献

まえがき

 「なぜ“基本の運動”がなくなり,低学年から“体つくり運動”を導入したのですか。」

 「“体つくり運動”で,何をどのように取り上げて指導すればいいですか。」

 新小学校学習指導要領が平成20年3月に告示(平成23年から完全実施)されてから,このような質問や疑問が多く出されました。『学習指導要領解説 体育編』には,次のように記されています。

 「基本の運動」は高学年への系統性が見えにくく,当該学年で何を身につけさせたらよいのかが分かりにくいとの指摘があったためです。また,「体つくり運動」を低学年から導入したのは,低・中学年においては,発達の段階を踏まえると,体力を高めることを学習の直接の目的とすることは難しいが,将来の体力向上につなげていくためには,この時期に様々な体の基本的な動きを培っておくことが重要であるからです。

 このように改訂された背景には,子どもの体力低下傾向や運動する子どもとそうでない子どもの二極化の傾向が深刻となったことがあります。その原因として,国民の意識の中で,外遊びやスポーツの重要性を学力の状況と比べて軽視したり,生活の利便性や生活様式の変化で,日常生活における身体を動かす機会が減少したりしたことが挙げられています。

 そして今,子どもの体力向上のため学校現場へは,教員の指導力の向上,子どもが体を動かしたくなる場の充実,児童生徒の運動に親しむ資質・能力や体力を培う学校体育の充実が求められています。

 ところで,かつて「基本の運動」領域が導入されたとき,「楽しい体育や個性重視と言って,自由放任の教えない体育が広まり,それが体力低下・運動能力不足の原因だ」とまで極論する人もいました。「ゆとり教育が,学力低下を招いた」という学力論争とも一致します。果たして本当にそうでしょうか。

 幼少期の子どもたちは本来,運動遊びが大好きです。絵を描いたり,歌を歌ったりすることによって成長することと一致しています。それなのに児童期から次第にそれらをあまり好きでなくなったり嫌ったりしていく子どもたちがいるのはどうしてでしょう。そこには,いくら「体操」から「基本の運動」,「体つくり運動」へと領域名を改訂しただけでは解決できていない問題があるのではないでしょうか。体育や音楽・図画工作などは,子どもも大人も早くから技能・技術の上手下手や出来不出来を言い過ぎてはいませんか。また体育は,教え授けるものだという考えがまだまだ根強くあるのではないでしょうか。

 そこで私は,従来から行われてきた運動種目を教師中心に教え込みがちな体育授業を,子どもが「やりたい」と思い,「やってみよう」と自分で取り組む,子ども中心の生き生きとした体育学習をつくっていくことを,“忍者の体育”で主張してきました。

 「教えないで待つ,遊びの能力を発揮させる,運動の上下を言わない,単一種目の一律一斉指導をやめ,一人ひとりの総合的な運動遊びを巡回指導して」などと,忍者体育の考えを主張してきました。そうすると,「教えないで子どもは育つのか。できない子はどうするのか。その子どもに合った技術の要点を教えてやり,早くできるようにしてやってこそ,子どもは喜ぶのではないか。」と反論する声がありました。

 「教えないで待つ」学習の主張は,技能を軽視しているのではなく,運動を覚えることも,運動に関連する行動の仕方を覚えるのも,子ども自身が気づき,自分で考え,判断し,確かな人間らしい生き方を学んでいくことをめざしているからです。教科の内容を覚えたり,できるようになったりしただけで,子どもが変わったと満足しているのではないでしょうか。子どもが生きるというのは,与えられた運動を指導者の指示通りに実行してできるようになったというものでもありません。学習の中でどこまでもその子どもの考えが出ているか,それが実行されているかに目をつけることです。子ども一人ひとりが生きる学習,人間らしく生きる生活をどう育てるかということから,子どもの体力や運動能力の向上も考えたいと思います。決まった知識を与え,教え,覚えさせ,一定の技術をできるようにさせる授業から早く脱し,子どもが自分で見つけ,考え,新しいことへの工夫をしながら友だちと助け合い,粘って努力を続け,喜びと満足を得る学習へ転換してほしいと思っています。何よりもまず,学校教育の中で,体育が苦手で,自分に自信をなくし,体を動かすことを避けてしまう子どもをつくらないようにしたいと思います。子ども時代の運動は,決して体力や運動能力テストの成績を上げるためのものではなく,人間として幸せで健康に生きるためのものであり,自分自身に自信をつけてくれるものなのです。

 さて,前置きが長くなりましたが,本書「体つくり運動」はそのような考えで,子どもたちが体育を大好きになる学習づくりのヒントとなる実践例を,できるだけ発達段階に沿って紹介しています。低学年に挙げた事例であっても,中・高学年に応用・発展できるものもたくさんあります。学校や学級の環境設備・子どもの興味や関心・地域の実態に応じて,先生方の創意工夫で取り上げてくだされば幸いです。

 そして,子どもの発見に感心してほめること,教えることより子どもに考えさせること,子どもの遊び心を活かすこと,一人ひとりの子どもにかかわること,子どものめあてで子どもが自分を出してくることを我慢強く待つこと,これらをくれぐれも忘れずに……。

 本書をお読みいただく先生方が,ご自分の担任する子どもたちをどのように育てたいかを考え,自分なりの指導法を工夫していってくださることを願っています。


  2010年7月   /岩井 邦夫

著者紹介

岩井 邦夫(いわい くにお)著書を検索»

1948年,奈良市生まれ。

奈良教育大学教育学部卒業。

奈良市立あやめ池小学校に7年間,奈良女子大学附属小学校に28年間勤務し,2007年3月,58歳で退職。

2008年4月,東海学園大学人文学部発達教育学科に勤務し,現在,同大学教授。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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