- ◎はじめに
- ◎本の読み方・使い方
- 初級編
- 1 10と20 その1 たった一つの音が音楽に
- 2 一番長い音だーれ! ふえであそぼう
- 3 音を聴く その1 どんな音がきこえるの?
- 4 ジャンケン その1 よびかけで広がるジャンケンあそび
- 5 10と20 その2 楽器を使って
- 6 音を聴く その2 音を色やかたちで
- 中級編
- 7 音を聴く その3 音をオノマトペで
- 8 リズム・ゲーム その1 リズムとあそぼう
- 9 リズム・ゲーム その2 リズムとあそぼう
- 10 まねっこゲーム その1 リズムとあそぼう
- 11 まねっこゲーム その2 リズムと言葉
- 12 まねっこゲーム その3 わたしについてきて
- 13 まねっこゲーム その4 カガミあそび
- 14 あしジャンケンゲーム じゃんけんぽん,あいこでしょ
- 15 指ずもうゲーム はっけーよい!
- 16 音の伝言ゲーム 音であそぼう
- 17 よびかけ みんなともだち
- 18 ひとつの太鼓 心をひとつに
- 19 カスタネット・ゲーム カスタネットであそぼう
- 20 オスティナート リズムにのって
- 21 ホイホイ・ゲーム よーく見て聞いて
- 22 しりとりゲーム 歌でしりとりたのしいな
- 23 つなひき みんなで輪になって
- 24 くちぶえあそび ひゅーひゅーヒュー
- 25 すきっぷ いっしょにすきっぷランランラン
- 26 音のケンケンパ 跳んではねて
- 上級編
- 27 どんぐりゲーム 身体表現1
- 28 おさるさんゲーム 身体表現2
- 29 ことりゲーム 身体表現3
- 30 かめさんゲーム 身体表現4
- 31 うさぎさんゲーム 身体表現5
- 32 犬とねこゲーム 身体表現6
- 33 楽しいゲーム 身体表現7
- 34 音が聴こえるゲーム 身体表現8
- 35 コンピュータで音あそび パソコン・ゲームで音楽つくろ
- ◎解説
- ◎おわりに
はじめに
音楽教科における「教材の精選」ということが取り沙汰されて久しいと思いますが,「創造的な音楽教育」「創造的な音楽学習」についても,そういった提言は「久しい」との感が私の中にありました。しかし現実的に「創造的な」音楽教育におけるイデアや方法論の具現化=実践は,特にわが国においては,ここ数十年のことに過ぎないのではないか,と思うのです。
ところで教育の現場にいると,様々な子どもたちとの出会いがあります。その中には外国からの子どもたちもいて,諸外国の音楽教育の様子を垣間見ることもまれではありません。外国の友人・知人からも,ダイレクトに教育に関する情報を得られることも少なくないのですが。
例えば,もう20年ほどにもなりますか,私にとって初めての小学校現場でのことですが,アメリカから帰国した高学年の男の子がいました。その子から聞いたことなのですが,彼がいた州(なに州だったのか今思い出せません)の現地校のお話です。
ある日の音楽の時間のこと……先生が,何小節か楽譜を書いた画用紙ほどの大きさの用紙を持ってきて,その用紙を教室内にいっぱいばらまきました。(ばらまいたと言うより,多分音符を書いた画用紙をランダムに並べていったのだと思います。)そこで子どもたちに一言。「用紙に書いた音符を何枚かつなぎ合わせて一つの曲にし,そしてその曲を演奏しましょう。」……子どもたちは一生懸命にそれらを組み合わせて一つの曲にし,そして演奏したそうです。
日本ではあまり見られない,そのような音楽の時間における取り組みは,しかし諸外国では,一般的ではないにしても,時には出くわすこともあり,子どもたちにとっては,かなりインパクトの強い活動であったのではないかと思います。この活動は多分,その頃アメリカの各州で始まっていた,作曲家たちと教育現場の共同プロジェクトによる,新しい音楽教育の試みの最中ではなかったかと思われます。
そうして,そういった様々な断片的な教育実践の情報が,私の教育実践に影響を与えるというよりも,活動のエネルギーとして作用していたことは事実です。特に1977年のISCM(国際現代音楽協会)世界音楽祭(ボン・ドイツ)大会において,イギリスの作曲家ヒュー・デイビスが,子どものための音楽カテゴリーで,その当時の私の実践と同様の,手作り楽器による創作表現活動によるコンサートを成功させた(「教育音楽・中学版」音楽之友社1979年2月号・筆者)との当時のニュースは,私の実践活動の方向性を明確に裏付けるものでありました。
さて私にはいつも,子どもたちの「創造性」や「豊かな感性」に向けての,方法論・実践研究の模索や子どもたちへの願いが存在します。楽しく取り組むことを念頭に書き下ろした本書が,音楽ゲームや創造的な音楽学習に取り組む人々の手助けとなり,近未来に続く子どもたちの,創造的で感性豊かな心の育みにつながることができることを願っています。
2007年7月 松戸にて /谷中 優
-
- 明治図書