松本千代栄撰集3
人間発達と舞踊創作

松本千代栄撰集3人間発達と舞踊創作

本シリーズは、松本千代栄氏の舞踊教育学に関する論考や研究成果を全5巻にまとめたものである。第3巻では、「教える教育から、ひきだす教育へ」―「問題解決学習」としての小集団学習の実証的研究と成果をまとめた。


紙版価格: 6,930円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-760816-7
ジャンル:
保健・体育
刊行:
対象:
その他
仕様:
B5判 432頁
状態:
絶版
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予定なし

もくじ

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まえがき――ひと流れの動きに生命ありと―― /松本 千代栄
1章 創作・鑑賞と学習
創作指導覚え書
創作指導覚え書(2)
創作指導覚え書き(3)
創作指導覚え書き(4)
創作指導覚え書き(5)
創作指導覚え書き(6)
創作指導覚え書き(7)―休題閑話―
創作指導覚え書き(8)
創作指導覚え書き(9)
創作指導覚え書き(10)
創作指導覚え書き(11)
中・高校ダンスの基礎運動(1)―その考察と方法―
中・高校ダンスの基礎運動(2)―その考察と方法―
中・高校ダンスの基礎運動(3)―その考察と方法―
中学校におけるダンスの役割
ダンスについて―その技術的構造―
グループ表現による技能の問題―集団的技能―
舞踊創作 学習過程に応じる指導(1)
舞踊創作 学習過程に応じる指導(2)
発達と指導 ダンスに関する十二考
ダンスにおける基礎技能とその扱い方
系統指導 舞踊創作(高校)
舞踊創作の手順―その指導をめぐって―
現場の実践にみる効果的な体育指導
創作指導――誰にでもできるダンス指導
ダンスの技術構造――創作の立場から
講座 ダンスの指導法資料―創る技術の意味―(その1)
講座 ダンスの指導法資料―創る技術の意味―(その2)
講座 舞踊教育第1回 舞踊教育の現状と問題点
講座 舞踊教育第4回 発想のトレイニング
講座 舞踊教育最終回
創作学習と動きの構造化――講座・舞踊教育の終りに――
初心者の指導方法・指導形態――ダンス学習論の視点から
論説 舞踊表現の構造と要素化
論説 舞踊表現の構造と鑑賞
論説 「舞踊課題」と創作学習――学習の共通課題の設定
表現教育講座 ダンス表現の学習内容をどう設定するか――課題と発達段階に応じる展開――
論説 ダンスの学習指導
特別講演 舞踊課題と課題解決学習
Dance research:Problem situation and learning of problem solving 1981
論説 創作学習モデルU――イメージ課題と学習――
こうすれば「表現運動」「ダンス」の授業がよくなる――実践を通して
対談 「ダンス」の授業をかえる その1――理想と現実の間で
続「表現運動」「ダンス」の授業をかえる
対談 「ダンス」の授業をかえる その2――理想と現実の間で
論説 舞踊の技術論
特別講演 発達段階に応じた表現学習
論説 課題学習の発展――補綴と次段階のために――
特別講演 発達段階と課題学習
表現運動・ダンス 「指導言語」ノート
講座 舞踊講話「課題学習」1 ひと流れの動き
講座 舞踊講話「課題学習」2 楽しく本質的“課題化”を
講座 舞踊講話「課題学習」3 「生きた課題」への学習法(1)
講座 舞踊講話「課題学習」4 「生きた課題」への学習法(2)
特別講演 課題設定と課題解決学習 運動の質と感情価
特別講演 おどり・つくり・みる
講座 課題化のしかた
講座 舞踊の鑑賞1 動きとイメージ
講座 舞踊の鑑賞2 作品を創る・観る
課題化とその指導
連盟授業研究 課題の選択・提示のポイント――記念研究大会「課題化とその指導」補追――
表現の基礎知識 運動とイメージ
続・運動の質と感情価セブン・モーティブズとは(1)
表現の基礎知識 運動とイメージ 続・運動の質と感情価セブン・モーティブズとは(2)
表現の基礎知識 指導のポイント 教師のための表現指導Q&A
表現の基礎知識 指導のポイント 続・運動の質と感情価――美的形成と評定用語(1)――
表現の基礎知識 指導のポイント 続・運動の質と感情価――美的形成と評定用語(2)――
表現講座A 身体をひらき心をひらく (1) はじめに
表現講座A 身体をひらき心をひらく (2) 大きく―小さく
表現講座A 身体をひらき心をひらく (3) すばやく―ゆっくり
表現講座A 身体をひらき心をひらく (4) 強く―弱く
表現講座B 身体をひらき心をひらく (5) 感じとる―迸り出る
表現講座A 身体をひらき心をひらく (6) くりかえし―転換・展開する
表現講座A 身体をひらき心をひらく (7) 開く―閉ざす
表現講座A 身体をひらき心をひらく (8) 近づく―遠ざかる
表現講座A 身体をひらき心をひらく (9) 安定―不安定
表現講座A 身体をひらき心をひらく (10) 自由と―規範と
学校体育講座 小・中・高教育 心とからだの教育――ダンス――芸術経験と集団学習の意味するもの――
授業研究 内容と指導 ダンス学習と指導 ダンスの総合性――本質のみなおしを――
中学校・高等学校 舞踊課題と創作学習モデル――その2――研究成果を実践の場に――
授業研究 内容と指導 ダンス学習と指導 魂の語彙――群の表現性――
授業研究 内容と指導 ダンス学習と指導 “はこび”の演習――見とおし力を高める――
論説 生涯学習社会におけるダンス指導U いま,なぜ創作か
もしも学校体育がなかったら この歳月を顧みる――「表現」の世界から――
ダンス学習論 表現・ダンス授業研究 人間発達と表現(1)――作品と鑑賞のメカニズム――
ダンス学習論 表現・ダンス授業研究 人間発達と表現(2)――動きの性質と感情語――
ダンス学習論 表現・ダンス授業研究 人間発達と表現(3)――動きとイメージの連合の範疇――
中学校・高等学校 問題解決学習とダンス
提言 表現・文化・教育―ダンスとは何か―
舞踊文化と教育の視点から
2章 清里研究会への提言
研究会へのおさそい
第1回 舞踊創作に関する実技理論
第2回 清里研究会への提案
第3回 清里研究会への提案
第5回 清里研究会への提案
第6回 清里研究会への提案
第7回 清里研究会への提案
3章 (社)日本女子体育連盟授業研究グループへの提言
第2回合宿 松本試案「群―構成の課題例」
第5回 合宿メンバーに贈る松本メモ
第7回 課題学習の総括として
第8回 授業研合宿者におくる
第9回 創作学習モデルV――その精粋と拡充――
第10回 舞踊の美的形成――Feeling words
第11回 合宿復習編“これだけは…それから…”
第12回 「課題」に期待するもの
第13回 ダンス学習指導実践とその実証――成果をまとめるために――
第14回 「心とからだの教育」――ダンス――芸術経験と小集団学習の意味するもの――
第15回 課題の多様化・カリキュラムの多様化
第16回 ダンス学習の総集
第17回 “表現運動から発信する”人間教育(FOSEプランにもとづいて)
第18回 表現課題の総集――実践成果と新課題への見とおし――美的原理の検討――
第19回 授業研――これからのために――
第20回 合宿復習編“これだけは…それから…”
4章 映像研究
女子と子供の体育――日本――
日本における学校ダンスの歩み―戸倉ハル先生を偲んで―
ダンスの創作過程
創作ダンスへの招待
創作ダンスの指導法(文部省選定)
舞踊創作と課題学習
(社)日本女子体育連盟創立30周年記念研究大会記念講演
「からだで語る世界」
運動の質と感情価
(社)日本女子体育連盟創立35周年記念研究大会レクチャーデモンストレーション
「課題化とその指導」
(社)日本女子体育連盟創立35周年記念研究大会記念講演
「からだで語る世界U」――比較舞踊文化――
『ダンスの教育学』7巻 豊かな「表現運動」の展開
『ダンスの教育学』8巻 課題学習の進め方
『ダンスの教育学』9巻 課題学習の進め方
『ダンスの教育学』10巻 上演作品と練習法
舞踊教育五十年 松本千代栄 ひと流れの動きに生命ありと――創造的芸術経験の累積と発展
10thオールジャパン・ダンスフェスティバル・KOBE 記念プログラム 「連作:新しい風」
表現研究シリーズ1<人間発達と表現> 0歳から6歳まで
授業研究シリーズ1<表現の世界をひらく>男女共修のダンス学習――中学校1年生
連盟50年のプロフィール JAPEW痴 profile for 50 years
松本千代栄 バイオグラフィー
あとがき /中村 恭子 /野 章子

まえがき

   ――ひと流れの動きに生命ありと――


 舞踊文化を見つめつつ,人間発達と自主創造性の学習を求め続けた年月は,留めおく術もなく過ぎ去ったが,折々の思いをこめた筆跡は,今もその刻々の想いを鮮やかに甦らせる。

 第1巻『舞踊論叢』には,創造的芸術経験としての舞踊の特質を問いつつ,体育科のなかに位置づけられた舞踊の存在を,その文化の本質のままに,人間教育に資するものとしようとする思索と努力の日々の論考が収められている。舞踊教育の核心を「ひと流れの動きに生命ありと――」と,見定めて求め歩いた年月の足跡でもある。

 第2巻『人間発達と表現――幼・小期』には,奈良女子高等師範学校附属小学校で子どもたちと取り組んだ,初心の実践の記録が収められている。

 1945年敗戦。教育の目的を見失った。翌1946年には奈良へ戻り,模索の中に「ダンス」――創作学習に取り組んだ。子どもたちの煌きに瞠目しながら,教育人生の根幹が育まれた日々の記録である。

 他方に,幼児の遊びの中核にも,「身体表現」を置くべきだと考えた園との交流。東京都新宿区の幼稚園との長年の取り組みは,この巻にその成果を収めている。

 第3巻『人間発達と舞踊創作』は,“大学へ移ることで,あなたと同じではなくとも,あなたの思想を受け継ぐ人が育つ――”と,恩師竹之下休蔵先生の勧めを享けて大学の人となり,広く人間発達と表現を考え,教育・研究を推進する立場に立った時――。

 戦後初の「学校体育指導要綱」(昭和22年)で,作成委員として初めて「ダンス」(作品創作・作品鑑賞・表現技術)の名称を採り,創造的芸術経験を学習に採り入れた。その年月の足跡――「教える教育から,ひきだす教育への転換」――「問題解決学習」としての小集団学習の実証的研究と成果を,ここに残している。

 また,教師としての自主研修の会――与えられた研修の機会だけでなく,教師は生涯,自発的に研修を続けるべきである――との信条を持し,会を興した日からの足跡もここに収めている。

 第4巻『舞踊発想と音楽』――この巻には,人間発達と経験を考え,学習者の表現をより豊かに――と希い,創案・制作した多くの「舞踊発想と音楽」の創案を収集・提示している。

 奈良女子高等師範学校附属高校時代の清田倫子先生の豊かな詩歌の教育,東京女子高等師範学校での音楽専攻の学恩,とりわけ,宅孝二先生の「演奏」への深いお導き,また,多くの作曲家の協力なくては,この舞踊音楽発想創案の研究は成し得なかった。想を湧かせ,想を手引きして,新しい創作を拓く先達の役割――こんなに楽しい仕事を続けることができたのは,何よりの幸せであった。

 この楽しい豊かな出会いの機会をいただいたのは,日本コロムビアの足羽章・井上英二両氏からであった。

 また,この巻には,思いがけない機会を頂いて,英国女王エリザベス二世陛下に捧げた「栄光の春の日に」の作演を収めている。陛下のご覧になるであろう日本の自然や文化を想像しながら,「In Spring Glory――栄光の春の日に」の創案を持ち,子どもたち・学生たちとともに作をまとめた。翌日の新聞には,女王様の美しい笑顔とともに,春の季節の「栄光」と,女王様をお迎えする「栄光」を重ねた発想を生かした作演の写真が大きく掲げられていた。解説者として後部座席に座した私の着物姿を,子どもたちは「先生も女王様みたい!」と喜んでくれた。序破急のはこびで,和楽器も加えての作曲は,演の心をより鮮明にして下さったと感謝している。数少ない洋と和の風情を備えた楽曲として心に残る。

 また,「プログラム」には望まれて,多くの「ことば」を贈らせて頂いた。作品が「上演」される時,作者と観者は,初めて「出会いの時」を持つ。「プログラム」には,この「一期一会」の時を,一人でも多くの人に――と願い,“ことば”を贈る。贈る“ことば”は,言い換えれば,作者と主題を見詰める舞踊観であり,また作者・観者に贈る表現愛の心でもある。

 第5巻『舞踊教育の開拓』――教職にあった長い年月は,変動の時代に立ち,多くの社会的役割を負う日々でもあった。

 体育の中のダンスの在り方を問われつつ,海外での指導・視察の機を得て視野を開き,また,第6回国際女子体育会議東京開催を実現して,海外依存ではなく,自立の襟度を――と,理想とする将来を展望した時期でもあった。

 (社)日本女子体育連盟の設立。長として歩き続けることは,研究者としては岐路に立つ日々も少なくはなかった。しかし,社会人としての「私」は,この人間集団の中で育くまれたと省みている。

 更に,この巻に収められた,この長い道程の中で頂いた多くの讃辞や評価は,この年月を見守り,育んで下さった,数えきれない多くのお力の証である。お導きを得ての年月を思いかえし,よき見守りを得た人生の幸をあらためて噛みしめ,深謝している。


 最後に,「松本千代栄撰集」5巻の編纂を企画・完成して下さった「舞踊文化と教育研究の会」の安村清美(編集代表)・中村恭子・野章子・岩川眞紀の皆様に,また,完成を見ることなく,逝かれた――大鋸桂子様を思い,ここに心からの謝意を表したい。

 よき教え子たちに見守られて,共々に歩いた年月は,何よりの至福の時であった。

 刊行の実現は,明治図書出版株式会社編集部の石塚嘉典氏,有海有理様をはじめ,編集部の皆様のお力添えによるものである。心細やかに原稿を見届けていただいて,全5巻がまとめられた。

 本撰集が,人間発達と舞踊に関わる方々のために,ひとつの灯を点じることになれば,これ以上に嬉しいことはない。

 この夏は,韓国忠北大学体育学科創立50年記念国際シンポジウム(実行委員長:下在京教授)に招聘され,英・仏・中国からの講師にお出会いし,記念講演「One Flowing Movement Contains the Total Essence of Human Existence」を終えて帰国。国を越えて師弟の縁を思う時であり,舞踊と舞踊教育の個と汎世界性を思う時ともなった。多くのお力を得て,本撰集が世におくられる――。

 この世界の人間文化と教育の限りない充実・発展を願いつつ――。


  2007年12月   /松本 千代栄

著者紹介

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編集代表:安村 清美(田園調布学園大学教授)

  編集:中村 恭子(順天堂大学准教授)

     野 章子(東京都女子体育連盟会長)

     岩川 眞紀(駿河台大学非常勤講師)

この会は,人間文化と教育の重要性を再認し,指導の充実及び舞踊活動の発展のために,「舞踊文化と教育研究」の活動にささやかな支援をおくる願いをもつボランティア団体として1999年3月,松本千代栄を世話人代表として発足した。主に,次のような活動の支援を計画・実践している。

一,舞踊研究会・講演会の企画・支援。

一,授業研究・生涯学習研究など教育活動に対する企画・支援。

一,舞踊自主公演活動の賛助会員費補助。

一,舞踊に関する各種ジャンルの人物交流・講師紹介。

一,舞踊教育に関する談話室の開室。

一,その他

また,2000年より,年2回「舞踊教育教養講座」を主催。内外の著名な舞踊家,舞踊研究者を招き,舞踊教育指導者のための研修会を継続している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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