中学英語 高校入試力に挑む2
“読解”入試力

中学英語 高校入試力に挑む2“読解”入試力

入試「読解」問題のパターン別の研究と対応スキルを紹介

どのように学習していけば英語力を身につけることができるのか、特に本巻は「高校入試問題の読解」に焦点を合わせ、13の問題パターンにしぼり入試読解力養成のための具体的展開を提示した。付録として「読みとりスキル」学習プリントを掲載し実力養成の支えとした。


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PDF
ISBN:
978-4-18-745213-5
ジャンル:
外国語・英語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 304頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年3月29日

目次

もくじの詳細表示

まえがき
第1章 高校入試問題『読解』研究
〜13の問題パターン〜
T部 下線部の前後を読めば答えられる問題
§1 下線部thatの指すもの
§2 下線部itの指すもの
§3 下線部soが指すもの
§4 その他,下線部問題
U部 文章全体を読まなくては解けない問題
§1 TF・正誤問題
§2 QA問題
§3 並べ替え問題
§4 要約問題
§5 タイトル問題
V部 空所があり,その空所を補充する問題
§1 語句の補充
§2 文の補充
§3 どこに入るかわからない英文の補充
W部 その他・最新読解問題
§1 英文の続き
§2 グラフ・表の読みとり
§3 日本語の質問に答える問題
読みとり問題と対応スキル
第2章 入試読解の13のパターン
〔空所の前後を読めば答えられる問題〕
1 空所補充(英文)〜空所の前後を読み,空所に入る英文を「類推」する〜
2 空所補充(語句)〜空所の前後を読み,類推する〜
〔下線部の前後を読めば答えられる問題〕
3 指示語thatが指すもの〜「〜ということ」で解答せよ〜
4 指示語itが指すもの 〜指示語 that は文を,itは名詞を指す〜
5 下線部が指すもの 文や語句〜理由を尋ねていたら「〜だから」と答えよ〜
6 下線部問題〜下線部に関する設問に答える〜
〔英文を全て読まなくては解けない問題〕
7 TF・正誤問題〜答えはすべて,本文にあり。根拠となる部分に線を……〜
8 QA問題〜答えはすべて,本文にあり。根拠となる部分に線を……〜
〔その他・最新読解問題〕
9 タイトル・表題問題〜「トピック・センテンス」と「まとめの文」に注目!〜
10 グラフ・表問題〜グラフと英文を丁寧に照合する〜
11 英文の続きを答えさせる問題〜問われている箇所を探せ〜
12 要約文〜話の内容を短くまとめる〜
13 並べ替え問題〜話の筋を読みとろう!〜
第3章 埼玉県の読解問題を分析
〜自県の問題分析をしてみよう〜
付録 「読みとりスキル」学習プリント―解答集―
あとがき

まえがき

  塾を越える授業


 これは,私が新任の時に,当時の校長,吉川和夫氏からいただいたキーワードです。

 私はこの20年間は,

  ○コミュニケーション能力の育成

  ○基礎・基本の育成

という2本柱で授業を組み立ててきました。

 そして,私なりに研究と研修を重ね,世に実践を問うてきました。

 その一部は,著作となり,全国の先生方に知っていただいています。

 当時の吉川校長からは,


 「塾では口頭でのQA活動などはやらない」

 「ましてコミュニケーション活動などはやらない」

 「“塾を越える授業”をしなくてはいけない」


と話されたことが,いつでも心の片隅に残っていました。

 そしてどこかで,いつも「塾を越える授業」というものを意識して授業をしてきました。

 その当時から,「塾を越える=塾でやらないことをする」と思い,コミュニケーション活動重視の授業を行ってきました。

 しかし,子どもの関心事は,残念ながら「入試」です。

 子どもが望んでいることを研究せずに,使える英語……っていっても,塾は越えられないだろう……。

 真の意味での「塾を越える授業」というのは……単に「塾でやらないことをやる」だけでなく,「塾でやること」は当然のこととして授業で行い,力をつけ,その上で,生徒にコミュニケーション能力をもつける授業でなくてはいけないんだ……ということを,教師20年目にして理解しました。

 そこに,今回,この「入試力」が新しいテーマとして,プラスされました。


 私の研究実践のほとんどは,目の前の生徒からヒントを得ています。授業を行い,そして,壁にぶつかり,そして,その壁を乗り越える中で,方策を考え,私なりの結論を出し,授業実践を創りあげてきました。

 今回の入試力は,娘の高校受験がきっかけです。

 英語教師が世に問う実践として,「入試力」をテーマにした英語教育書はあまり目にしません。

 どうしても,「コミュニケーション能力の指導」に重きがおかれます。

 その関連の本が多いです。

 私の手元にある受験教育書といえば,


 『英語の自学自習術』大鐘雅勝著

 『入試英語に強くなる授業の楽しい工夫43』アダチ徹子著

 『高校入試問題を授業する 英語科編』川神正輝編

 『入試英語力を鍛える! 授業アイデア&パワーアップワーク40』本多敏幸著

         (以上 明治図書)


ぐらいです。

 たいていの英語教育関係の著書は手にし,目にしている私ですが,入試をテーマにした著書は,非常に少ないことに気づきました。

 私は大学の時に空手部に所属し,南郷継正氏の上達論を学びました。

 南郷氏の著書から,三浦つとむ氏の著書に出会い,弁証法を学びました。

 弁証法には,「否定の否定」「量質転化」「相互浸透」という3つの普遍性を学びました。

 空手部の監督より,向山洋一氏の著書を紹介されました。

 そこで,教師の世界における上達論を学びました。

 私がこだわり続けていることは,「上達論」です。

 誰もが成長する,上達する方法を模索し,英語教育という世界で実践を残すことが,私にとっての関心事でした。

 生徒が,どのように学習していけば,英語力を身につけることができるのか……。

 どのように学習すれば,話せるようになるのか……。

 どのように学習すれば,聞けるようになるのか……。

 できるだけ,シンプルな原則を導き出すように思考してきました。


 本書もそうです。

 入試力を身につけるには,どのような指導を行い,どのような教材で生徒に入試力をつけていけばいいのか,私なりの答えを載せています。

 例えば,「読解」入試力では,まず生徒に,


 その1 答えは必ず本文中にある


と教えます。

 長文と言うと,見ただけで嫌気をさしてしまう生徒が多くいます。

 しかし,生徒に「必ず答えは本文の中にあるんだよ」「本文から見付ければいいんだ」「問題の答えが本文のどこに書いてあるか,見付ければいいんだよ」と言うと,生徒は本文の中から,必死に見付けだそうとします。

 それだけでも,十分,「読解」入試力の助けになります。

 その後,


 その2 答えの根拠となる文には線を引け!


と教えます。

 つまり,どうしてその答えになったのか,その根拠となる場所に線を引かせておくのです。

 いわゆる,リーズニング( reasoning )です。

 これを行っておくことで,生徒はその答えに自信を持ち,また,教師からすると,生徒がちゃんと本文から答えを見付けているという事実が見てわかります。

 さらに,


 その3 下線部問題は,その前後を読め!


と教えます。

 下線部問題の答えは,たいてい,その前後に書かれています。

 また,空所補充問題でも,


 その4 空所の前後を読め!


と教えます。

 そして,前後の文を,日本語になおさせます。

 例えば,


 ■空欄[ B ]にあてはまる最も適切な1文を,ア〜エの中から1つ選び,その記号を書きなさい。

    Masato:I'm glad to hear that. How was our English ?

 Mr. Jeffrey:[  B  ] I brought some ALTs and their friends to see your English rakugo. They all understood the stories and laughed many times.


 <選択肢>

  ア You looked good in your kimono.

  イ It was very good.

  ウ You were interested in rakugo.

  エ I hope you'll enjoy it.

         (埼玉県 2007年)


 空所の前を日本語にし,それを選択肢につなげてみます。


 「私たちの英語どうだった?」

  ア 着物が似合ったね。

  イ とてもよかったよ。

  ウ あなたは落語に興味がありました。

  エ 私は,あなたがそれを楽しむことを期待します。


 このように日本語にすれば,答えが一目瞭然です。

 この作業を生徒にさせるのです。

 そんなに難しくはないのです。

 コツがあるのです。

 生徒は,英語で書かれているというだけで,難しく感じてしまうのです。

 その,難しく感じてしまう「バリアー」を取り除いてあげるために,私はあえて,日本語にしてあげて,

 「ほら,日本語に訳せばできるでしょ」

と,教えてあげるのです。

 入試力への道は,この繰り返しだと思うのです。

 一度や二度では身につきません。

 繰り返し,繰り返し,生徒にこのような問題に出くわさせ,そして,生徒に入試読解のヒントを教え続けるのです。

 同じことを何度も教えていいのです。

 何度も教師が教え続けることで,だんだんと生徒の海馬という短期記憶に指令が送られ,それが,やがて,長期記憶に量質転化するのです。


 本書は,「読解」入試力への提案書です。

 “読解”入試問題を分析してみると,おおよそ次のような問題の種類に分けられました。


 T部 下線部の前後を読めば答えられる問題

  (1) 下線部thatの指すもの

  (2) 下線部itの指すもの

  (3) 下線部soが指すもの

  (4) その他,下線部問題

 U部 文章全体を読まなくては解けない問題

  (1) TF・正誤問題

  (2) QA問題

  (3) 並べ替え問題

  (4) 要約問題

  (5) タイトル問題

 V部 空所補充問題

  (1) 「語句」の補充

  (2) 「文」の補充

  (3) どこに入るかわからない英文の補充

 W部 その他・最新読解問題

  (1) 英文の続き

  (2) グラフ・表の読みとり

  (3) 日本語の質問に答える問題


 本書では,「読解」入試力をどのように授業で身につけさせていくのか,問題分析を行い,生徒用ワークシートを作成し,活用型の著書を目指しました。

 「塾を越える授業」は,そんなに難しいことではありません。

 よっぽど,コミュニケーション指導のほうが難しいです。

 平成23年度から,英語の授業時数がまた増えます。

 私たち,英語教師にとっては,たいへん嬉しいことです。

 コミュニケーション型の授業を行い,生徒に基礎・基本の力を身につけさせ,さらに,入試に対応する確かな学力を身につけられるよう,実践研究をしていきましょう!

 どうぞ,本書が,みなさん方の読解入試力の指導に一役買うことを期待して,まえがきといたします。


  平成21年1月1日   /瀧沢 広人

著者紹介

瀧沢 広人(たきざわ ひろと)著書を検索»

1966年1月 東京都東大和市に生まれる

1988年3月 埼玉大学教育学部卒業

1988年4月 埼玉県秩父郡皆野町立皆野中学校

1993年4月 埼玉県秩父郡小鹿野町立長若中学校

1997年4月 ベトナム・ホーチミン日本人学校

2000年4月 埼玉県秩父市立尾田蒔中学校

2003年4月 埼玉県秩父郡小鹿野町立小鹿野中学校

大学4年生の時に,向山洋一氏の著書に出会い,その後,法則化中学英語に学び,TOSS型中学英語授業研究会で勉強中。地元秩父で,トークライン中学秩父「JE」サークルを主宰。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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