- まえがき
- 第1章 英語入試力が新たなテーマに!
- 1 コミュニケーションを目指した英語指導
- 2 コミュニケーションから「基礎・基本」へ
- 3 なぜ?――英語入試力……?
- 第2章 「文法」入試力に迫る
- 〜入試問題分析〜
- 1 公立高校の入試問題分析〜1年で学習する文法の中で,多く出されているものは?〜
- 2 公立高校入試 中2の文法事項〜不規則動詞は書けるようにせよ!〜
- 3 公立高校入試 中3の文法事項〜後置修飾は,並べ替え問題を攻略しよう〜
- 4 文法入試問題は何種類??〜問題形式を分析する〜
- 5 私立高校の入試問題では……!
- 第3章 中学生に,どう入試「文法力」を指導するか?
- 〜入試力を意識した授業展開〜
- 1 現在分詞の後置修飾の入試問題分析
- 2 「文法」入試力に近づける英語指導
- 3 「文法」入試力を身につけるための3つのプリント
- 第4章 「文法」入試力に挑む
- 〜入試力を意識した学習プリント〜
- 〔中学1年生〕
- 1 「be動詞」の入試文法〜主語が2人以上の時は,areになる!〜
- 2 「人称代名詞」の入試文法〜mineとwe our us oursが狙われる!〜
- 3 「3人称単数現在形」の入試文法〜主語が複数の時のbe動詞に注意!〜
- 4 「疑問詞」の入試文法〜前後から意味を類推させよう!〜
- 5 「過去形」の入試文法〜不規則動詞が書けるか?〜
- 〔中学2年生〕
- 6 「過去進行形」の入試文法〜語の適切な変化〜
- 7 「未来形」の入試文法〜並べ替えて,表現できるか?〜
- 8 「助動詞」の入試文法〜don't have toに要注意!〜
- 9 「接続詞」の入試文法〜前後関係から接続詞を選ばせる!〜
- 10 「動名詞」の入試文法〜5種類の動名詞を使い分けさせよう!〜
- 11 「不定詞」の入試文法〜形容詞的用法の並べ替えに注意!〜
- 12 「SVOO」の入試文法〜「並べ替え問題」に習熟させよう!〜
- 13 「比較」の入試文法〜多様な問題形式に慣れさせよう!〜
- 14 「受け身」の入試文法〜過去分詞をしっかり理解させる〜
- 〔中学3年生〕
- 15 「現在完了」の入試文法〜すべて大事!〜
- 16 「関係代名詞」の入試文法〜主格のthatの省略で「並べ替え問題」〜
- 17 「現在分詞の後置修飾」の入試文法
- 18 「過去分詞の後置修飾」の入試文法
- 19 「7構文」の入試文法〜構文を知り,並べ替え問題を習熟〜
- 20 「間接疑問文」の入試文法〜「疑問詞の次は主語+動詞」を徹底して教える〜
- 第5章 発音・アクセント問題を攻略する
- 1 アクセント問題
- 2 発音問題
- 3 強く発音する語
- 4 適切な区切り
- アクセント問題
- 入試「発音」問題
- 入試「区切り」問題
- 「文の中で強く読む語」入試問題
- 付録 文法の書き換え問題で英語力アップ
- 書き換え問題
- あとがき
まえがき
本書は,入試力をテーマにした著作3部作です。
今まで私は,「コミュニケーション活動」,「英語学習の基礎基本」という2本柱で学習指導を行ってきました。
そして,生徒の英語力を伸ばそうと,授業に「工夫」を加えてきました。
しかし,2年前,娘の受験を契機に新たな課題が生まれたのです。
それは,「入試というのは,生徒にとっても親にとっても,重要事ということ」でした。
なぜなら,高校に受かるというのは,その子の自己実現を図る1つの手段だからです。
誰が何と言おうと,進学を希望している高校に入ることが,その子の夢の実現に一歩近づくわけです。
夢を実現するために,進学し,子どもたちは道を模索するのです。
そして,その夢を実現させていくのが,親や教師の役割ではないか……と思ったのです。
つまり,「入試で点がとれるようにすること」です。
テストで点がとれるような力をつけさせることです。
そして私は,娘との受験勉強の中で,“入試力”を身につけるのは,ほんのちょっとしたコツであることを知りました。
英語で言えば,例えば,次のような問題です。
“Well, …Mother, …if you have some time after dinner, can you teach me how to repair the yukata?”When Saki said this to her mother, Cathy shouted, “Yes, Saki, let's try ! Let's learn it from your mother together. If you repair the yukata very well, you can give it to your daughter in the *future. Isn't that great ?”“And my future daughter can also wear the same yukata to the Bon Odori we are going to. That'll be wonderful,”said Saki. *future 将来(山形県 2007年)
「下線部thatは,どのようなことをさしていますか。日本語で具体的に書きなさい」という問題です。
山形県の2007年度入試で出題されました。
ここでの“入試力”のポイントは3つです。
1つは,
下線部の前に答えがある
ということです。
以前,かなり英語のできる生徒に,「この問題の答えはどこから見付けたの」と聞いたら,下線部から遠く離れた所から答えを見付けようとしていました。
そこで,「下線部問題は,その前後に答えが書いてあるんだよ」と言うと,「ああ,そうか……」と,すごく納得した顔をしていました。
さらに,2つ目は,
下線部thatは,一文をさす
と教えました。
また,指示語itは,名詞を指します。
それを教えてあげるだけでも,ずいぶんと違います。
「ああ,そうか……」となります。
3つ目は,
“〜ということ”で終わること
です。
この中でも最も大切なのは,3番目です。
答え方をも,教えるのです。
それが,入試力です。
どのように答えれば,点がもらえるのか,教えるのです。
そのためには,教師が入試問題を解かなくてはいけません。
入試問題を「入試力」という視点で,分析しなくてはいけません。
どのような問題が出題されているのか,問題を分析しなくてはいけません。
そうする中で,生徒にとって効果的な指導法がうまれてきます。
例えば,先ほどの問題で「ゆかたを上手に直せれば,将来,娘にそのゆかたをあげられる」と書いては間違いです。
「ゆかたを上手に直せれば,将来,娘にそのゆかたをあげられるということ」と,語尾を「〜すること」としなければ,間違いになります。
「〜ということ」というように答えさせるようにするのです。
そう答えると,○がもらえます。
こういうことを教えていくのが,私の考える「入試力」なのです。
これは,塾でやっていることです。
本書は,そうしたほんのちょっとしたコツを生徒に教えていきましょう……と提案する著作です。
3部作の第1巻,本書には,「文法」「発音・アクセント問題」を中心に取りあげました。
文法事項を過去5年間,公立高校の問題を調べてみると,
よく出る「文法事項」は何か?
よく出される「問題形式」にはどんな種類があるか?
文法事項がまるっきりでていない県は,どこか?
が非常によくわかりました。
すると,文法では,どのような問題ができるようになればいいのかわかり,定期テストにさりげなく入れることもできます。
同様に,発音問題でよく出されるものはなにか……。
アクセント問題では,どのようなコツがあるのか……。
強調して読む語はどれか……などなど。
答えは,本書にあります。
教師が「入試力」を知っていれば,自信を持って教壇に立つことができます。
中学3年生の関心事は,「入試」です。
コミュニケーション活動ではありません。
入試に対応できる力を充分つけて,その上で,本来やりたい「コミュニケーション活動」を思いっきり展開しましょう。
最後に,私の残す本のほとんどは,「理論書」ではありません。
「活用書」です。
活用することを想定して,作成しています。
なので,本書でも,先生方が,授業で使えるような形の,ワークシート形式に工夫をしました。
そして,そのワークシートに思いの外,時間がかかってしまいました。
しかし,実際に生徒にワークシートをやらせてみると,生徒は見事にできるようになっていく事実が見られました。
現在,私は習熟度別少人数指導で,英語を苦手としている生徒を教えています。
やはり,生徒はある程度の“学習量”が必要なのです。
そのために,本書は,これだけのページ数を必要としました。
しかし,必ず有効に授業で活用できると自負しております。
ぜひ,ご活用いただき,ご意見をいただけると幸いです。
平成21年1月1日 /瀧沢 広人
めざすべき目標の過程の1つに入試の視点があり、
共感することばかり。すぐに読みきってしまいました。
読んでいて、これから授業をするのが楽しみになりました。
来年度を見据えながら計画して、このプリントを使ってみようと
思います。