- まえがき
- 第1章 “新卒1年目で”身につけたい英語指導の基本技「初級編」
- 〜10時間でマスター 英語指導の基本技〜
- 第1時間目 フラッシュカード
- 〜持ち方とめくり方をマスター〜
- §1 カードの持ち方&めくり方 〜真ん中を持つ。後ろから前に送る〜
- §2 フラッシュカードの基本パターン 〜9つのステップで〜
- 第2時間目 音読指導
- 〜音読基本パターンの流れ〜
- §1 音読指導のねらい
- §2 音読指導の「基本パターン」
- §3 「個人練習の時間」を与える
- §4 音読チェックをする
- §5 楽しい音読活動のバリエーション
- 第3時間目 英単語ビンゴ
- 〜英単語ビンゴのやり方〜
- §1 英単語ビンゴをなぜやるのか? 〜楽しい,単語力,聞く力〜
- §2 英単語を授業中に写す 〜授業中に写すから,全員参加できる〜
- §3 BINGOのやり方@ 〜シートに単語を書き写させる〜
- §4 BINGOのやり方A 〜実際のBINGOゲーム〜
- §5 BINGOのやり方B 〜英語ゲーム得点板を用意する〜
- §6 実際の授業では……
- 第4時間目 机間指導をする
- 〜生徒を診ているか?〜
- §1 生徒の中に入りこみ,生徒を知る 〜主に,ねらいは,「ほめる」こと〜
- §2 歩く順番を決める 〜能率よく,全員の生徒を見てまわるために〜
- §3 「目線」を確保する 〜近くを観察しつつも,遠くの生徒を見る〜
- §4 「立ち位置」を考える 〜教室を支配するのは,教師である〜
- §5 個別支援を必要としている生徒への指導 〜言葉でなく,優しい援助を〜
- 第5時間目 生徒をほめる
- 〜生徒をほめ,授業にノセる〜
- §1 生徒の人数分,ほめ言葉を用意する 〜生徒を育てるために,ほめる!〜
- §2 豊かな“ほめ言葉”は,活動の豊かさから…… 〜生徒の活動がほめるチャンスを増やす〜
- §3 活動場面でのほめ言葉 〜ほんの小さなことでもほめてあげる〜
- 第6時間目 言葉を削れるか!?
- 〜指示の言葉は短く〜
- 第7時間目 指名の仕方をマスターする!
- 〜授業に緊張感と達成度の評価〜
- §1 テンポよく指名をする 〜生徒の達成度を測る〜
- §2 指名の仕方@ 〜会話指導の場面で「指名カード」を使う方法〜
- §3 指名の仕方A 〜「列指名」で指名を行う方法〜
- 第8時間目 すらすら英会話の“手法”をマスターする
- 〜生徒に英語を話させる〜
- §1 すらすら英会話の手法をマスターする
- §2 すらすら英会話のスタート1時間目 〜ゆっくり時間をかけて指導する〜
- §3 すらすら英会話の第2時〜第3時 〜復習音読をしたら,即ペア〜
- §4 すらすら英会話の第5時 〜レベルアップをはかる〜
- §5 すらすら英会話の第6時〜第7時 〜さらにレベルアップをはかる〜
- §6 すらすら英会話の成果を試す@ 〜教師への質問・教師からの質問〜
- §7 すらすら英会話の成果を試すA 〜インタビューテスト〜
- 第9時間目 オーラル・イントロダクションをマスターする?!
- §1 まず,何を伝えたいか,考える 〜生徒に理解させたいところを教材研究〜
- §2 オーラル・イントロダクションの実際
- §3 内容聞き取りの確認 〜理解度の確認は,いくつでもある〜
- §4 オーラル・イントロダクションの留意点 〜教材研究をせよ,そして選ぼう〜
- 第10時間目 内容理解の方法
- 〜音読後の内容理解〜
- §1 入試を意識して 〜指示語,英問英答の問題〜
- §2 生徒に問題を作らせる 〜表現力を視野に入れ〜
- 第2章 「英文法」指導の基本技「初級編」
- 〜3時間でマスター 文法指導の基本技〜
- 第1時間目 導入法を身につける!
- 〜理解させるところまでが「導入」である〜
- §1 導入とは理解させるところまでが導入である 〜単に引きつければいいのではない〜
- §2 導入法のいろいろ@ 〜写真を使う〜
- §3 導入法のいろいろA 〜スキットを使う〜
- §4 導入法のいろいろB 〜「絵」を描かせる〜
- §5 導入法のいろいろC 〜「カルタ」で文型を導入する〜
- §6 導入法のいろいろD 〜「手品」を使って導入する〜
- §7 導入法のいろいろE 〜「新聞を使った」導入事例〜
- 第2時間目 展開(練習)法を身につける!
- 〜練習させる〜
- §1 練習法のいろいろ@ 〜「ゲーム」を利用した練習事例〜
- §2 練習法のいろいろA 〜「ペアワーク」を利用した練習事例〜
- §3 練習法のいろいろB 〜「英文変換型」〜
- §4 練習法のいろいろC 〜絵を見て英文を言う「状況設定型」〜
- 第3時間目 まとめ(整理)法を身につける!
- 〜文法を整理する〜
- §1 まとめ@ 〜板書する〜
- §2 まとめA 〜練習問題を出す〜
- §3 まとめB 〜プリント(問題集)で,さらに深める〜
- あとがき
まえがき
授業の基本技を身につけると授業が安定する
今年の実習生を受け持ち,強くそう感じた。
今まで,何度となく教育実習生を受け持った。
たった3週間の教育実習ではあるが,実習生の吸収力はすごい。
教えたことが次の時間には,さりげなくできてしまうのである。
多少は,ぎこちなくても,その身につけ方はすごいと感じた。
当然ながら,いっぺんにあれこれと指導はできない。
アップアップしてしまう。
そこで,重要な指導技術から1つ1つ教えていく。
例えば,「フラッシュカードの使い方」,「音読のさせ方」,「机間指導の仕方」,「指名の仕方」,「英単語ビンゴのさせ方」,「オーラルイントロダクションの仕方」などなど……である。
教育実習の1週間目。
実習生は,私の授業,そして同僚の授業,他教科の授業を参観する。
ちなみに私の授業では,1週間目の後半から,授業の一場面で,少しずつ授業を体験させていった。
例えば,英単語ビンゴをやる。
そのときに,実習生に単語を読ませる。
やはり,多少,私の読みとスピード,テンポや間が違ってくる。
そこで,授業後に,ビンゴの読みのポイントを指導した。
同様に,音読もやってもらった。
しかし,教師の目が教科書の英文にいってしまい,生徒を見てない事実に気づいた。
そこで1週間目の終わりの金曜日。
いよいよ次週から授業をやるという放課後に,会議室で50分間,授業の練習をした。
メニューは,「フラッシュカード」と「音読」であった。
私が指導したかったことは大きく1つ。
生徒が読むときには,生徒を見る
ということであった。
たったそれだけであるが,授業が大きく変わる。
教師らしく(?)なるのである。
今までフラッシュカードばかり見ていた目線が,生徒の方を向くと,それだけで生徒にプレッシャーを与えることができる。
生徒のほうを見るのである。
これは音読場面でも共通して言えることであった。
教師が英文を読んでいる間は,教科書に目がいってもよい。
しかし,生徒が読むときは,生徒を見る。
しっかり言えているか,生徒を観察しなくてはいけない。
できることなら,教師が読むときも生徒のほうに視線を与えるほうがよい。
このような基礎練習を行い,授業に臨んだ。
概ね,上手にクリアーできていた。
すると次の課題が見えた。
個別評定
である。
フラッシュカードで単語を読ませて終わっているのである。
フラッシュカードで単語を読ませるのは,「単語を読めるようにさせる」という目的がある。
だとしたら,その目的が達成できたか,できていないか確認しなくてはいけない。
つまり,練習したあとに,1人1人読ませてみるなどの「個別評定」が必要になってくる。
そして,それを指導した。
このように,授業にとって必要な“技”を,必要な順番から,1つ1つ技能を身につけさせ,授業の型を創っていった。
そして,3週間目の研究授業。
生徒の助けもあったであろうが,非常によくできていた。
参観されていた先生方の評価,校長の評価もよかった。
私自身,最初は記念に……と思い,デジカメで写真を撮ってあげていた。
しかし,その後,なかなか上手にできている姿を見て,録画に切り変えた。
授業の後半では,スマートボード(電子黒板)を使い,グーグル・アースで万里の長城を見せ,長さをメジャーで測り,巨大さをインターネットの衛星写真で見せていた。
そこらへんの活用も見事であった。
基本指導ができると,余裕が出るのである。
ほかのことにも,目がゆくのである。
授業の基本型を身につけることは,そんなに難しいことではない。
1つ1つ,授業で必要な技能をマスターしていけば,だれでも1年間もあれば,プロの技を身につけていける。
教師が学ぶか学ばないか……の差である。
自分が教師として,センスがあると思っている人は,伸びない。
授業が下手で,生徒に申し訳ない……と思う教師は,伸びる。
そして,本やセミナーで学び,そしてサークルに参加する。
本書は,書籍で伝授する“英語指導のプロの技”を,身につけるべきものから記していった。
ぜひ,授業の参考にしていただければ,幸いである。
第1章では,「“新卒1年目で”身につけたい英語指導の基本技『初級編』」と題し,ごくごく基本的な知っていてほしい指導技術について紹介し,安定した授業が展開できるように記した。
第2章では,英語授業の要である,「文法指導の技」について述べる。そこには,「いろいろな導入方法」から,「展開(練習)」,「まとめの仕方」まで,新卒1年目でも,なんとかこれだけは身につければよいというものをあげた。
1つ1つの指導技術を知り,学び,そしてそれらを授業で活用し,自分なりに工夫を凝らし,日々実践していく中で,自分らしさができ,授業に自信が持てる。
やはり,教師も日々,向上するために勉強は欠かせない。
/瀧沢 広人
得ばかりである。
読んで共感できるところが多い。
自分の実践と比較しながら、自分の授業を振り返るにも
良い機会となるだろう。
ぜひ一読を!!