ビギナー教師の英語授業づくり入門3
中学3年間・英語カリキュラムづくりのヒント

ビギナー教師の英語授業づくり入門3中学3年間・英語カリキュラムづくりのヒント

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英語授業で身につけたい力とその指導法、計画、評価法を提案。

指導要領から身に付けさせたい力を読み解くとどうなるか。研究のポイントを示し、身に付けさせたい力を引き出すカリキュラムと授業をどうつくっていくかを紹介。また、英語の基本活動と4技能の指導と評価の進め方、3年間をどう設計していけばよいかを具体例で示唆。


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PDF
ISBN:
4-18-733319-3
ジャンル:
外国語・英語
刊行:
3刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 224頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
序章
第1章 学習指導要領から「身につけたい力」を導く5つのステップ
〜学習指導要領の読み方〜
§1 学習指導要領を読む ステップ1 〜外国語科の目標を確認する〜
§2 学習指導要領を読む ステップ2 〜各言語の目標と内容を読む〜
§3 学習指導要領を読む ステップ3 〜自分流の一覧表を作る〜
§4 学習指導要領を読む ステップ4 〜指導事項をチェックする〜
§5 学習指導要領を読む ステップ5 〜指導事項から「活動」を導く〜
第2章 ぜひ押さえたい!英語の基礎力英語の「基礎・基本」とは
〜身につけたい力を引き出す〜
1 英語の基礎・基本とは!?
§1 英語学力の「基礎」とは何なのか? 〜ぎりぎりの教育内容〜
§2 英語の「基本」は何だろうか? 〜「基本」は,建物で言うと,「柱」にあたる〜
2 ぜひ押さえたい「基礎」の力
§1 単語の「基礎」とは… 〜基礎はアルファベット,基本はフォニックス指導〜
§2 単語の指導 その1 〜単語が「読める」ようになる指導〜
§3 単語の指導 その2 〜単語が「書ける」ようになる指導〜
§4 日常語をたくさん教える! 〜語彙指導〜
§5 英語の「基礎・基本」 その2 文法指導 〜使える形で文法指導を行う〜
§6 英語の「基礎・基本」 その3 スラスラ英会話 〜実践的コミュニケーション能力の基礎の育成〜
§7 基礎・基本の評価
第3章 ぜひ繰り返し身につけたい!英語の基本活動 4技能の指導とその評価!
〜身につけたい力を引き出す〜
1 「聞くこと」と身につけたい力
§1 聞くことの力を高める指導@ メモのとり方を教える! 〜まとまりのある話のメモのとり方〜
§2 聞くことの力を高める指導A メモのとり方 その2 〜「会話文」のメモのとり方〜
§3 聞くことの力を高める指導B 「メモ」から「伝える」へ 〜メモをとったあとに,聞いた情報をシェアー!〜
§4 聞くことの力を高める指導C 「メモ」から「伝える」へ 〜聞いた情報を隣の人と「英語」でシェアー!〜
§5 聞くことの力を高める指導D メモの再現 〜とったメモを見て,箇条書きで書く!〜
2 「話すこと」と身につけたい力
§1 英会話QA100@ 簡単な質問にはスラスラ答えられるようにする 〜毎日5分のトレーニング〜
§2 英会話QA100A 会話の継続性をはかる 〜QAからQAAへ,QAAからQAAA活動へ〜
§3 英会話QA100B 積極的なコミュニケーション活動を求めて 〜生徒が教師に質問をする!〜
§4 話すことの活動@ スピーチ 〜スピーチを成功させる5つのポイント〜
§5 スピーチにQAをくっつけてみた! スピーチQAの提案! 〜ここができて本当のコミュニケーション!〜
§6 実践的コミュニケーション能力育成には,日常単語を! スラスラ英単語の提案! 〜単語を知らなきゃ,コミュニケーションができない!〜
§7 生徒の英語力を伸ばす「ひとくち英語」 〜廊下や階段に掲示物 1日1つ,ひとくち英語を覚えよう〜
§8 マジカルクイズに挑戦! 谷口幸夫氏の追試 〜説明する力を付ける活動〜
3 「読むこと」と身につけたい力
§1 身につけたい力@ 〜教科書がスラスラ音読できる〜
音読を何回も行わせる音読技術/個人で読む時間をどう確保するか?/音読テストをする
§2 身につけたい力A 〜教科書の英文が日本語に訳せる〜
訳読式の授業システム/訳読式授業のやり方/訳読式授業から見えてきたもの
4 「書くこと」と身につけたい力
§1 身につけたい力@ 〜内容につながりのある10文程度の作文が書ける〜
§2 身につけたい力A 〜正しい文法のルールに従って英文を書くことができる〜
§3 身につけたい力B 〜1枚の絵や写真を見て,5文程度の英文が書ける〜
§4 書くことの指導@ 〜書くことの指導の原則1:書く機会を多くする〜
§5 全国高校入試問題より「書くこと」の問題 〜多種多様な問題に挑戦〜
第4章 言語や文化についての知識理解
§1 『言語や文化についての知識理解』とは? 〜「言語文化」の2つの側面〜
§2 日本語に見る「言語を通しての文化」 〜言葉は文化の反映である〜
§3 英語に見る「言語を通しての文化」 〜bathroomと数字〜
§4 教材を通しての文化 〜異文化理解教育の一環として〜
§5 『言語文化』を通して学ぶ生徒 〜いろんな考えの人がいていい〜
§6 「言語」の知識は? 〜英語の持つ言語を考える〜
§7 言語文化は表現力につながる! 〜言語文化で英語特有の表現に触れる〜
§8 「単数なのか複数なのか?」数にうるさい欧米人 〜農耕民族と牧畜民族〜
§9 Ladies and Gentlemen 〜なぜ,女性を先に言うか?〜
第5章 中学3年間で「身につけたい力」
〜到達目標と年間計画の立て方〜
§1 年間指導計画の立て方 〜順序よく,順番に書いていくと指導が見えてくる〜
§2 レッスンごとの指導計画および評価計画
おわりに

はじめに

 すべての研究は,「学習指導要領」から始まる。学習指導要領を読み,教科書を読む。すると,およそ,身につけたい力が見えてくる。それを今度は,「1学期では,このくらいの力を身につけよう」「1年が終わったら,この程度の力を身につけよう」と学期及び学年の目安を作っていく。これが,いずれは,各学校の教科としての目標となる。

 文部科学省は,これを各学校で作成せよ,と言っているのである。

 実は,身につけたい力を考えた場合,1つの大切な視点が無視されている。それは,学習指導要領をよく読めば,理解できることなのだが,それは,英語の「基礎」と「基本」である。

 この2つの言葉は,よく「基礎・基本」という形で,「・」で一緒に使われている。よって「・」があるのは,両者にはっきりと境界線が引けない意味で,時には,基礎になり,時には基本になるということで,「・」になっている。

 しかし,「英語の基礎」と言った場合と,「英語の基本」と言った場合では,意味合いが違ってくる。

 英語の「基礎学力」ということは言えるが,英語の「基本学力」とは,言わない。

 基本的な力と,「的」を使っては,表現できる。

 ということは,両者には,なんらかの差違が存在すると考えられる。

 よく言われることは,建物にとらえて,「基礎」とは「土台」のことであり,「基本」とは,「柱の部分」に当たると考えられる。

 そして,基礎学力と言った場合,ある学習をする場合,絶対に「必要となってくるもの」と定義し,私は,それを「語彙と文法」と考えた。

 また,「基本」とは,その「語彙と文法」を駆使して表現したり,理解したりする柱の部分,「聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと」の4つの言語活動ととらえた。

 すると,次の図のようになった。


      聞      話      読      書

      く      す      む       く

      こ      こ      こ       こ

      と      と      と       と


            語 彙 と 文 法


 家を建てる時のような「土台」=「基礎の部分」があり,その上に「柱」が4本ある。こう考えるとシンプルになる。

 私は,常々,評価にしろ,指導にしろ,「シンプル・イズ・ベスト」「シンプル・アンド・クリアー」と,考えている。複雑なものはダメである。生き残れない。簡単な思想が,長続きする。複雑に考えれば,聞くことの中に聞くことの語彙が存在するし,話すための文法も存在する。

 私はかつて,語彙とは,聞くための語彙もあるとし,単語聞き取りテストを行った。できるだけ速く,単語を聞いて,意味を書いていくテストである。

 単語の書き取りテストとは違う。

 しかし,そのことを上記の図に入れることは,かえって複雑になる。

 要は,「語彙指導をしっかりやり」「文法を教え」そして,4つの技能を高めていく…。これが,「英語の力」を付けていくものであると考えた。


 さて,このように学習指導要領から身につけたい力を導き,教科書を読んで,その後,各学年ごと,学期ごとに身につけたい力をまとめてみて,さらに基礎・基本をしっかり認識し,何を指導しなくてはいけないのか,どういう力を付けていかなくてはいけないのかが,見えてくるようになる。

 すると,最後に残った仕事は,


  「評価項目の抽出」


である。

 指導しなくてはいけない身につけたい力は,具体的にどのような項目でくくれるのか…その評価を導きたい。

 そしてそれを,到達できているのか,できていないのか,評価する方法として,どのような方法をとるのか,ということである。


 本書は,「学習指導要領の読み方」から,「英語学力の基礎とは何か」「英語学力の基本活動は何か」「どのように指導すれば生徒に力を付けることができるのか」など私の授業のすべてを載せたつもりである。

 どうかお読みいただき,先生方の授業づくりの参考になれば,幸いに思います。


  平成17年6月15日   /瀧沢 広人

著者紹介

瀧沢 広人(たきざわ ひろと)著書を検索»

1966年1月 東京都東大和市に生まれる。1988年3月 埼玉大学教育学部卒業。1988年4月 埼玉県秩父郡皆野町立皆野中学校勤務。1993年4月 埼玉県秩父郡小鹿野町立長若中学校勤務。1997年4月 ベトナム・ホーチミン日本人学校勤務。2000年4月 埼玉県秩父市立尾田蒔中学校勤務。2003年4月埼玉県秩父郡小鹿野町立小鹿野中学校勤務。現在に至る。教育技術の法則化運動に学び,現在は,TOSS型中学英語研究会で勉強中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • さっそく読んでみました。
      第1章から圧倒されながら、読みました。
      学習指導要領を読み解き、これからの方向性を確認されながら
      授業での実践と結びつけられている点が印象深いです。
      ビギナー教師の英語授業づくり入門とは、的を得たサブタイトルです。
      是非とも大学生やこれから教師になろうと思われる方にも読んで頂き
      たい1冊です。
      2005/9/13英語新米教師

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