体育授業づくりへの挑戦4「自ら学ぶ力」を育てる体育学習視点を変えた小学校体育専科の実践

投票受付中

体育科の授業づくりと体育専科の取り組み、担任とコミュニケーションを図るT・Tの実践、学級集団や担任の特性に応じた体育学習の実践記録集。


復刊時予価: 2,816円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-725600-8
ジャンル:
保健・体育
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

刊行にあたって
はじめに
T 体育科の授業づくりと体育専科の取り組み
/香山 悟
1 体育専科の位置づけについて
2 体育専科の取り組みの状況について
3 体育専科の業務分類について
U 体育専科の実践記録
担任とコミュニケーションを図り、共につくるT−T授業実践記録
はじめに
1 T−Tの視点に関する提案
2 体育に関する意識調査
3 T−Tによる授業実践例
(1) 単元ごとのアンケート作成/ (2) 単元構想を立て,担任と計画作成/ (3) オリエンテーション実施/ (4) 単元計画表作成/ (5)学習カード作成/ (6) 相互評価連絡表の作成,交換/ (7) 単元のまとめ作成/ (8) 客観的な評価の工夫
4 週計画表・専科通信の発刊
5 成果と課題
V 体育専科の実践記録
学級集団や担任の特性に応じた体育学習 /福嶋 義信
はじめに
1 本校のT−Tの特徴
2 担任との連携
3 全学年で共通の体育学習のきまり
4 多様な場や教材を工夫する
5 実践の成果
(1) 子供の感想/ (2) 教師の感想/ (3) 評価の工夫
W 体育専科の実践記録
体育学習で「自ら学ぶ力」を育てたい! /緒方 俊郎
はじめに
1 基礎は自己学習力
2 子供が学び合う手づくりサッカー
(1) 学習を見通すめあてづくり/ (2) 学習カードの活用/ (3) 視点を明らかにした評価活動/ (4) 「総合コーチ」の太郎君(仮名)と共に/ (5) ゲーム場面を再現した教師の評価活動/ (6) 実践の結果と考察
3 学習の分業化に疑問を感じ,取り組んだ器械運動
(1) 時代の最先端の授業を参観しての疑問〜T−Tへの過信〜/ (2) 教材づくりの視点に悩む〜個別化か集団化か〜/ (3) 仲間と学び合い,伸びていく真美さん(仮名)を追って/ (4) 実践の結果と考察
4 おわりに
X 体育授業づくりへの要望とそれを受けた学習指導資料集作成
/西崎 誠志
はじめに
(1) 視聴覚機器(コンピュータ・ビデオ)活用の趣旨/ (2) 活用の実際/ (3) 機器の操作方法/ (4)実践の成果と考察
1 学習指導資料集作成までのいきさつ
(1) 体育専科としての役割から/ (2) 体育の授業づくりへの要望から
2 学習指導資料集作成のポイント
(1) 《資料形式左側部分の実際の資料例》/ (2) 《資料形式右側部分の実際の資料例》
3 学習指導資料集作成の実際
4 学習指導資料集作成を終えて
(1) アンケートの結果
Y 「持久走(第5学年)の授業」
学習指導資料集の活用例 /北口 修
はじめに
1 T−Tとしての体育授業づくり
2 T−Tを終えての感想
3 学習指導資料集の活用事例について
(1) 第5学年「体操〜動きを持続する能力を高める運動」の実践例/ (2) 授業づくりの実際/ (3) 実践の結果と考察
おわりに
執筆者紹介

刊行にあたって

 この「体育授業への挑戦シリーズ」は,先進的な各地の研究成果をまとめて出版し,現場実践に役立てようとする試みである。

 実は,約15年程前に故高田典衛先生の解説・監修により「体育実践研究シリーズ」6冊が明治図書から刊行された。私もその一員に参加させてもらい,感激した思い出をもっている。今回は,高田先生の遺志を引き継ぎ,さらに全国の優れた実践を紹介する役目を果たしたい,と祈念している。

 今回は,個人著作でなくすべてサークルによる共同著作である。それは,各地のサークル活動が授業力向上の原動力ではないかと考えたからである。また,授業力を高めたいという地道なサークル活動を広く知ってもらいたいと思う。

 前任地高知にいた頃,実に充実したサークル活動の体験がある。『炎の会』という南国高知にぴったりのサークルで,毎月第2・第4土曜の夜,私の研究室に集まり「体育」について熱っぽく語り合った。幼・小・中・高・大それに社会体育までの幅広い仲間であった。楽しくそれでいて授業に対しては厳しく率直に意見を戦わせる仲間であった。まるで炎が燃えるような意欲的な研究サークルであった。授業を語り,人生を語り,夢を語りそこから授業実践を論じ一冊の著作を世に問うた。

 全国には素晴らしい研究サークルがいっぱいあると確信している。それをさがし,そのサークルから生まれた素晴らしい授業実践を全国の人たちに紹介し,それが刺激となり体育への関心が高まり,体育の授業力を向上させるお手伝いをしたい,というのが私の夢である。

 なぜ,今私がこんな思いを強く抱くのか若干説明の必要があろう。昭和30年代の初頭の頃まで,残念ながら体育は教科学習としてあまり高い評価を受けていたとは,言えない。体育の時間が国語や算数の時間になってしまう事もしばしばあった。体育は,学習でなく遊び時間の延長という周囲の評価があったように思う。

 しかし,高田先生をはじめ多くの体育関係者の血の滲むような努力のお陰で,体育こそ子どもの成長に欠かすことのできない大切な教科だと認められるようになった。ところが,昭和50年代の後半から昭和60年代そして平成になって,また,おかしくなっている。いゆる「楽しい体育」になり,教える内容(学ばせる内容)がはっきりせず,先生の居場所がなくなったのである。もちろん,これは「楽しい体育」本来のねらいが,現場に正しく伝わらなかったからであるが,少なくとも教育現場に「楽しい体育」が混乱を引き起こしたことは,間違いない。

 その結果は,予想以上に厳しく,今,学校体育が危機にさらされている。目下,中教審で完全学校週5日時代の教育課程のあり方が審議されているが,審議の焦点は各教科の授業時数をどのように削減するか,教科構造をどのように再編成するかということである。これに関して,文部省が行った調査によれば,学校の教師の間に最も不人気な教科が体育であり,体育の授業時間の削減がターゲットになっているという。

 また,「体育の日」の新聞各紙の報道も最近の体力の落ち込みのひどさを報じている。これらの現象を,すべて体育のせいにするのは,短絡過ぎるが,体育関係者として傍観するわけにはいかない。このままでは,高田先生たち先輩の努力や,目の前にいる子どもたちに申し訳ない。


 この「体育授業への挑戦シリーズ」は,広く実践を紹介し,授業モデルの方策を確立することを目的としている。そのためには各巻いずれも次の5点を堅く守っていただくことを共通の決まりとした。


1 自分たちの実践したことは何であったか,その事実を明確に発表する。

2 実践は何を手がかりとして進めたか,その根拠も発表する。

3 実践にはどんな困難が存在したか,またそれをどう切り抜けたか,それを具体的に発表する。

4 客観的な評価資料を備えた授業モデルであることを発表する。

5 「『関心・意欲・態度』を育てる」のスローガンにとらわれない,確かな体育実践を発表する。


 以上が,このシリーズ各巻に共通する特徴にもなろう。

 全国各地には,優れた研究サークルがある。土地によっては,進め方に若干の違いもあるだろう。しかし,上記の5点の共通点があれば,あとはできるだけそのサークルの特色を出してもらう要求をしたのでシリーズ全巻が同じ傾向ではない。むしろそのことを歓迎したい。なお,ここに登場する研究サークルは,広く全国各地に呼び掛けたが,私の努力不足で今回は登場してもらえなかった地区もある。まだ,終わったわけではないので,今後お願いするつもりである。

 願わくば,このシリーズが巻を重ねることによって,現場が開発した優れた方法が各地に定着し,児童生徒の体育授業への関心・意欲が高まり,結果的には,さらに授業内容が充実して欲しいものだと念じている。

 おわりに,本シリーズの刊行に当たっては,明治図書編集部の江部満氏に終始励ましていただき,その間サークル推薦の決まらない長い時間を辛抱づよく待っていただいた。なお江部氏をはじめ友人社に格別なお世話をいただいたことを記し,ここにそのご苦労を感謝し,厚く御礼申し上げる次第である。


  平成10年夏   編者 /山本 貞美

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ