- まえがき
- 1 陸上運動について
- (1) 陸上競技会の歴史
- (2) 陸上運動(陸上競技)の特性
- (3) 陸上運動の種目
- (4) 陸上運動の指導
- 2 陸上運動指導上の留意点
- 第T章 持久走
- 持久走について
- §1 校内持久走大会(例)
- 1 学級対抗方式を取り入れたロードレース大会(例)
- [1] 加須市立礼羽小学校の持久走大会(ロードレース)
- [2] 白岡町立篠津小学校の持久走大会(校外走)
- 2 堤防の上を走る折り返し持久走大会
- [1] 川島町立伊草小学校の持久走大会
- 3 健康教育・体力向上の一環としての持久走大会
- [1] 川口市立並木小学校の持久走大会
- 4 公認陸上競技場を使った「時間走」(持久走)大会
- [1] 川口市立上青木南小学校の持久走大会
- §2 持久走の授業―ペース走―
- 1 持久走の授業で子供たちは何を身に付けたいと思っているか
- 2 持久走の授業で何を教えるか
- 3 折り返し持久走について
- 4 「折り返し持久走」の実践記録(例)
- §3 持久走から長距離走へ
- 1 野外走
- 2 スピードを上げていく(ビルドアップ)ペース走
- 3 トラックを用いたロングジョッグ
- 4 持久走・長距離走のフォーム
- 5 タイムトライアル
- 6 ペースの配分
- §4 補強運動,ストレッチ体操・柔軟体操
- 1 補強運動
- 2 ストレッチ体操・柔軟体操
- 第U章 走り幅跳び
- 走り幅跳びについて
- §1 走り幅跳びの運動方法
- 1 反り跳び
- 2 はさみ跳び
- §2 走り幅跳びの技術指導のポイント
- 1 助走及び踏み切りの方法
- 2 空中フォーム
- 3 着地の方法・計測の仕方
- 4 踏み切りの合わせ方
- §3 学習効果を高める指導のポイント
- 1 学習課題の持たせ方
- 2 学習隊形のつくり方
- 3 砂場の管理の方法
- 4 学習効果を高める小道具
- 5 走り幅跳びの準備運動
- 第V章 走り高跳び
- 走り高跳びについて
- §1 走り高跳びの運動方法
- 1 はさみ跳び
- 2 背面跳び
- 3 ベリーロール
- §2 はさみ跳びの技術指導のポイント
- 1 助走と踏み切り
- 2 空間動作と着地
- §3 ベリーロールの指導技術のポイント
- 1 助走と踏み切り
- 2 空間動作と着地
- 3 砂場の着地とウレタンマットの着地
- 4 バーの高さの測り方
- §4 学習効果を高める指導のポイント
- 1 学習課題の持たせ方と評価の方法
- 2 学習隊形のつくり方
- 3 着地場所及びバーの管理
- 4 学習効果を高める場の設定
- 5 走り高跳びの準備運動
まえがき
これからの体育授業においては,「生涯体育・スポーツと体力の向上」を重視する観点から,子どもたちが自ら進んで運動に親しみ,運動の楽しさを味わったり,自ら進んで心身を鍛えることができるようにすることが強調されている。そのために,1時間1時間の体育の授業をどのように仕組み,展開すればよいかが小学校体育の今日的課題である。
このことは口で言うことは簡単であるが,実際は言うは易く行うは難し≠ナある。授業というものはいずれの教科もそうであるが,いざ現実と対面してみると,なかなか一筋縄ではいかない。特に体育科においては,学級の人数の問題,施設・用具の問題,さらには天候との関係等様々な条件がからみ合っている中で,前述のような課題を解決していく授業を展開することは並大抵のことではない。
本シリーズでは,このようなことを解消するために長いこと小学校体育の第一線で活躍してきた研究者や,現在もその道で努力している者でつくっている研究グループ(西沢体育研究会)のご協力を得てまとめたものである。少しでも皆様のお役に立てばと思っている。
◇
本書の特徴は,次のようなところにある。
(1) 実際に授業を展開するための具体的な指導のあり方を解説している。
現在の小学校の授業は40人を1人の教師が指導するシステムであるから,たとえ1対1の指導では極めてよい指導法であったとしても,授業としては不向きなことも出てくる。また,それを行うことによってロスが出てしまうことも考えられる。本書では,個性を重視した指導を大前提にし,1人の先生が大勢を指導する授業をどのように仕組み,展開していったらよいかにスポットを当て編集執筆している。
(2) 学習指導要領に準拠し,その内容に示されている例示教材の展開はもちろん,その発展,さらには類似の教材等も数多く取り上げ,解説している。特に,既刊の「短距離走・リレー・障害走」編,更に本書の「持久走・走り幅跳び・走り高跳び」編では,陸上運動から陸上競技へ≠ニし,小学校から中学校への一貫指導の参考となるように,豊富に内容を紹介し,解説するよう心掛けた。
(3) 本書では,前段でその運動の特性,指導上の留意点について解説した。いわばこの部分は総括した理論編である。第T章以下は実践編である。
(4) 一口メモには,運動の方法,技術指導のポイント,つまずく子への対策等では触れられなかったこと,知っていると役に立つこと等,珠玉の知識や情報を記述した。
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本書の執筆に際しては,西沢体育研究会の阿川甫世氏には大変ご尽力いただいた。資料収集については,経験豊かな実践家の方々に大変ご協力いただいた。
また,本書の企画から編集にわたって明治図書の仁井田さん,原田さんにはご厚意やご助言をいただきまとめることができた。改めて感謝申し上げる次第である。
終わりに読者の皆様方には,未熟なところも多いと思うので,忌憚のないご批判,ご助言をいただければ幸甚である。
/西沢 宏
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- 明治図書