- はじめに
- 第1章 中1の指導方法Q&A
- Q1 ゲームをしたり,グループごとに速さを競う活動をすると,夢中になってがんばる生徒が出てきますが,どう対応しますか。
- Q2 『5色英語カルタ』を中学1年で使う場合,どのように使いますか。
- Q3 中学1年でぜひ,これだけは身につけて2年生に上がらせたいポイントは何ですか。
- Q4 筆記体をいつ,どのように何時間くらいかけて教えているのか,教えてください。
- Q5 いつ頃,辞書指導を行っていますか。
- Q6 英和辞典の使い方の指導を,どのように行っていますか。
- Q7 辞書の引き方の練習にはどのような活動がありますか。
- Q8 中学1年生です。和英辞典の引き方と活用の仕方をどのように指導しますか。
- Q9 中学1年生の12月です。英文の仕組みの指導はどのようにしたらよいでしょうか。
- Q10 中学1年生,生徒がざわついています。どのように集中させますか。
- Q11 1年生に字が丁寧でない生徒がいます。どのように指導したらいいでしょうか。
- Q12 向山型算数では,「大事なところは説明しない。大事なところは作業させて理解させる」と言われます。英語の文法で,説明しない授業にはどんな授業がありますか。
- Q13 指名をするときに気をつけることは何ですか,また,どんな指名の方法がありますか。
- Q14 中学1年生です。自習課題はどんなものを出しますか。
- Q15 中学1年の選択英語の授業では,どんなことをやっていますか。
- Q16 テスト直しのさせ方を教えてください。
- Q17 中学1年生です。授業中に配ったプリントは,どのように保存,活用していますか。
- Q18 中1授業で使える便利グッズがあったら教えてください。
- Q19 NHKラジオの新基礎英語を授業でどのように導入し,どのように活用していますか。
- 第2章 基礎基本! 英語の「読み書き」指導Q&A
- Q1 教科書をリズムマシーンなどに合わせて音読するのと,チャンツは異なるモノと考えるべきですか? そもそもチャンツって何ですか?
- Q2 1年生の時からチャンツで英語の音声やリズムを教えていきたいと思っています。チャンツを作るときのポイントを教えてください。
- Q3 中学1年生です。音読指導はどうされていますか。
- Q4 中学1年生の1学期です。もうすでに教科書の読めない生徒がいます。どのようにしたらいいでしょうか。
- Q5 先生はフォニックスの指導を取り入れておられますか。また取り入れている場合,どのような扱いをなさっていますか。先生のフォニックスへの思いとともにお教え下さい。
- Q6 「音読ができる」「単語が読める」ということは,どのように見ますか。
- Q7 単語のつづりを覚えるためにどのような工夫をされていますか。
- Q8 英語のノートの取り方をどう教えますか。
- Q9 中学1年生2学期です。新出単語の導入をどのようにされていますか。
- Q10 中学1年生2学期です。なかなか単語を覚えられない生徒への指導はどうしたらいいでしょうか。
- Q11 生徒に暗唱をさせます。その時の暗唱チェックは,どのようにやっていますか。
- Q12 教科書の導入から展開,まとめをどのようにやっていますか。
- Q13 話す力をつけるために毎時間取り組める方法はありませんか?
- Q14 中学1年生に準拠ワークをどのように指導し,どのように扱っていますか。
- Q15 中学1年生に英語の書き取りをさせています。中には,ただ書いているだけで力になっていない生徒もいます。どう指導したらよいでしょうか。
- 第3章 中1の指導方法Q&A
- Q1 中学1年生です。be動詞の疑問文の作り方に着目させる工夫例を教えてください。
- Q2 中学1年生2学期です。現在進行形は1年生の中でも難関となる文法であると思います。現在進行形を先生はどのように授業されますか。また,導入のアイデアなどありましたら教えてください。
- Q3 中学1年生です。canをどのように導入し,どう教えますか。
- Q4 中学1年生の3学期に過去形が出てきます。先生はどのように過去形を教えますか。
- Q5 文法指導の原理原則って何ですか。
- Q6 習った文法の習熟をどのように図りますか。
- Q7 文法のまとめの授業をどのように行いますか。
- Q8 筆記体・感嘆文の扱いはどうしていますか。
- 第4章 中1の学習習慣&学び方Q&A
- Q1 入門期の3時間でどのようなことを指導しますか。
- Q2 中学1年生,最初の授業プランを教えて下さい。
- Q3 オールイングリッシュの授業をどのように創りますか。
- Q4 中学1年生です。学習ルールが生徒に浸透すると授業もやりやすくなると思うのですが,先生は どのような点を重視し,授業を展開していますか。
- Q5 中学1年生に授業ルールをどのように教えますか。
- Q6 黒板には日付,曜日を書きますか。
- Q7 中1です。授業開始はもっとも大事だと言われます。その方法を10教えてください。
- 第5章 中1のテスト・評価評定Q&A
- Q1 中学1年生です。話す力をどのように測定していますか。
- Q2 中学1年生の1学期です。評定をどのようにつけていますか。
- Q3 聞くことのテストはどのように作成し,評価しますか。
- Q4 書くことの力はどのようにテストではかりますか。
- Q5 コミュニケーションへの関心・意欲・態度の評価は,どのようにはかりますか。
- Q6 中学1年生の絶対評価をどのようにつけますか。
- Q7 中1の1学期の中間テストをどのように作成しますか。
- あとがき
はじめに
私が新任の時は,毎日がネタとの勝負でした。OHPを作成し,本文導入に力を入れ,カセットに自分の声を入れ生徒に聞かせ,楽しく全員を引きつける努力をしました。
文法の指導では不定詞であればカードを作り,それを輪ゴムで止め,伸びるカードを作ったりしました。
ゲームもやりました。
音読指導も様々な方法を試みました。
すべてが私にとっては財産となっています。
そして,そのいくつかは本になって残っています。
私が新卒以来,5年ほどがんばったのは,家に帰ってからのワープロ打ちでした。
授業でうまくいった部分を法則化論文形式にまとめていったのです。
これがずいぶんと役に立ちました。
実際に授業でやったことを論文に書いていくと,その授業が鮮明に記憶に残ります。
また次のクラスでも同じような授業ができます。再現できます。覚えているからです。
さらに,授業記録をそのようにとっていくと,自分の授業を客観的に見ることができ,「ここは,こう変えてやったほうがいいな……」「この活動の前にこんな指示が必要だったな……」と,修正していくことができます。
そして,自分の授業の追試をします。
私はそのような方法で,家に帰ってからの論文づくりで自分の授業を見直してきました。
こう書くと誤解があるかもしれませんが,授業でうまくいった部分だけを書いていきます。
50分,まるごとうまくいくなんてことありませんから,ゲームならゲームの10分間,また,音読なら音読の5分間,単語なら単語の10分間の生徒の反応のよかった記録をとっていったのです。
私の新任の時のねらいは,
全員参加
でした。
どのようにしたら全員の生徒が参加できるのか……。そのことが私にとっての授業基準でした。
そのために授業を工夫していきました。
全員参加で言えば,ゲームがあります。
楽しい活動には生徒は参加します。
一時期,50分の授業,全部ゲーム化できないかと考えたことがありました。
単語の導入をゲームで……。
音読をゲームで……。
本文読解をゲームで……。
とにかく,全員参加を目指すところで,生徒にある種の英語の力を付けていこう……と考えたのです。
さて,そんな時に,隣の英語の年輩の女性の先生の仕事ぶりを拝見しました。
家族があり主婦もやりながら,定時になれば,退勤し,淡々と授業もこなし,その上で生徒に英語の力を付けていました。
私は……と言えば,机上の残った生徒のノート。小テストの紙。文法プリントの点検,100題テストの採点などなど,仕事がたまっていました。
年齢の差と言ってしまえば,それまでですが,なにかそこに違うモノを感じたのです。
ある時,島根県で行われた日本教育技術学会に参加しました。
そこで3つの授業を見ました。
島根県の秋田健一先生は,
「黒板には色々書きますがうつさなくて結構です」
「友達の言うことを一生懸命聞いてください」
と授業の最初にルールを「確認」していました。
また,東京都の石黒修先生は,
「友達の言うことに対しておかしいなと思ったら手を挙げてください」
と同じく学習ルールを「確認」していました。
つまり,初めて出会う子どもたちに,授業ルールをこのように教えていったのです。
新卒以来,それまで,多くの様々な授業を見て,ネタを集めまねをしてきた私ですが,「よし! 俺もやってみよう」と思い,学校に戻ってやってみると,失敗するのでした。
どうやらそこには,授業を支えているマネージメントがあったのです。
一般的に言って,公開授業,研究授業は,その先生がいつもいつも教えているクラスです。
学習ルールなどはもう生徒に染みこんでいます。
そのような状態の授業を参観し,同じようにネタを使いやってみるのですが,だんだんと授業がだれ始め,1年間の授業を見通した際,生徒に意欲がなくなってくるのです。
私は『楽しい英語授業』(明治図書)という雑誌の編集を7年間担当しました。そしてその第2号に次のように書きました。
1時間1時間の授業に全力を投球することは大事です。しかし,それと同時に年 間を通して授業を支える指導技術や授業を構想し,年間経営も意識していくこと, これが公開授業では決して見えてこないマネージメントなのです。(『楽しい英語 授業』第2号 p.7)
さて今の私はどうか……。
学期はじめに,100題テストをします。
時間は25分です。
10分で生徒同士答え合わせをします。
教師の採点作業もありません。
授業の残った10分間は,今学期の目標を書かせます。
これが学期はじめの一連の流れになっています。
教師にとってはこれが非常にラクなのです。
誰でも休み明けの授業はいやです。
あまり気分がのりません。
でも生徒はテストなので1時間目から真剣です。
休み時間から勉強しています。
そんな英語の授業マネージメントを意識してからは,いかに自分の仕事を効率的に行うか……と考え始めました。
3冊,ファイルを買いました。
それも分厚いファイルです。
そこにラベルで「現在進行形」「Whatの疑問文」「How manyの疑問文」「canの授業」……と貼っていきました。
そして,一度使ったプリントをそのファイルに入れていきました。
すると,その翌年も苦なくプリントが探せ,利用することができました。
こんなのも,授業を支えるマネージメントになります。
また,3学年教えていたときがありました。
教材研究が大変でした。
なにせ,3学年分,授業を準備しなくてはいけなかったからです。
そこで地元にサークルを作りました。
サークルでは自分たちの学校で作ったプリントを持ち寄ったり,スペリングコンテストの用紙,中間・期末テストの用紙……などなどと持ち込み,交換しあいました。
そして,急な出張や年休などの時に,「他校の中間テストに挑戦!」と言ってやらせたり,「これ,1中のスペルテストだよ」などと言って,隙間時間に使ったりしました。
1人の教師がこれら1つ1つ作っていては,相当な時間と労力を必要とします。浮かせる時間は浮かし,浮いた時間で新しいアイデアを追求する時間に使えました。
まだまだあります。
小テストでは,いちいち教師が点数を控えるのが毎回では大変なので,生徒各自に記録させ,あとで提出させるという方法をとりました。本誌でも,同様の趣旨で紹介されています。
ワークの提出は学期に1度。
音読回数は,教科書に書かせて記録しておかせる。
発言カードをつくることによって,生徒が意欲的に授業に参加できるようにマネージメントします。
ポイントカードも学期はじめに作成します。
教科書を忘れた生徒には,英語で I forgot my textbook.と英語で言わせる。
英語で言えると1ポイントもらえます。
教科書を忘れて点数がもらえるのですから,生徒にとって見ればラッキーなことです。
どうぞ本書をお楽しみいただき,ご活用下さい。
平成14年9月28日(土) /瀧沢 広人
-
- 明治図書