- はしがき――本書の構成と特色
- 問題編
- 第1部 知識編
- Stage T
- 1 New Year’s Day
- 2 St. Valentine’s Day
- 3 Easter
- 4 Halloween
- 5 Thanksgiving
- 6 Christmas
- 7 国旗(National Flag)にまつわるいろいろ
- 8 英語ですか,米語ですか
- 9 Manners
- 10 Hong Kong(香港)の英語事情
- 11 車の免許 How much?
- 12 Proverbs(ことわざ)
- 13 りんごに関する英語表現
- 14 食事中のマナー
- 15 PC Puzzle
- 16 A Japanese gesture or a foriegn gesture?
- 17 ビスケットとクッキーは同じかな
- Stage U
- 18 What is King’s Holiday?
- 19 St. Valentine’s Day
- 20 St. Patrick’s Day
- 21 Halloween
- 22 Thanksgiving
- 23 Christmas
- 24 Festivals in the USA
- 25 Various National Costumes
- 26 How much do you know about the USA?
- 27 Australian Quiz
- 28 U.K. Geography Quiz in English
- 29 世界の挨拶
- 30 Various Languages 数の数え方
- 31 International Food 世界の食べ物
- 32 Jokes
- 33 英語国のマナーや習慣
- 34 あなたの「アジア度」チェック
- 第2部 心的態度編
- Stage T
- 35 なぜ隣に文句を言わないのですか
- 36 日本ではどうして簡単にたばこやお酒が買えるのですか
- 37 満腹だけど
- 38 お風呂にお湯がない
- 39 制服や髪型,どうして細かい決まりがあるのですか
- 40 動く「活け作り」
- 41 どうして4番の座席が無いのでしょうか
- 42 なぜ「おみくじ」を木に結ぶのですか
- 43 厚かましい頼み
- 44 そんな挨拶ってありますか
- 45 風邪をひいてしまった
- 46 「右側通行」か,それとも「左側通行」か
- 47 How can we solve the problem?
- Stage U
- 48 お風呂で困った
- 49 How to praise
- 50 Can you use a knife and fork?
- 51 Derogatory Words
- 52 招待は本気ですか
- 53 「お」で大違い
- 54 仕事上の付き合いか,妻との約束か
- 55 ビールと風呂
- 56 Listeners’ Attitude
- 57 Is a customer king?
- 58 食事は食卓で取るもの
- 59 三角関係か文化上の誤解か
- 60 アメリカ人はみな同じ
- 解答・解説編
- 解答・解説編の利用にあたってのお願い
はしがき―本書の構成と特色
「国際理解」と「異文化理解」は厳密に定義すれば当然別のものとなります。
日本においては全国的にほぼ均一の文化であり,異文化と言われるものは古くから北海道に住むアイヌの人の文化,在日の外国人の文化くらいであるため,異文化理解は外国文化理解(=国際理解)といってもそれほど大きな違いはないと考えられます。したがって,日本文化と異文化の理解に関わる教育を国際理解教育と呼んでも大きな支障はないと考えられます。
ところで日本文化とか異文化と書きましたが,「文化」とは何でしょう。「文化」に対する考え方はいろいろありますが,大文字で始まるCulture(=文化)と小文字で始まるcultureに分けるのもその1つです。
Culture:目に見えるもの……茶の湯,生け花,能,建築物,諸行事,学校制度,法律 など
culture:目に見えないもの…行動の様式のもとになる考え方,価値観 など
ホームステイなどで外国へ行く生徒が,日本文化を紹介しようとして茶道や生け花,盆踊り,剣道あるいは折り紙などを考えるのはCultureを念頭においているからです。これはこれでもちろんいいのですが,これだけで日本文化を紹介したと思うと実は大きな問題を残すことになります。たとえば,日本(文化)では「いい子だね」と子どもをほめるとき,その子の頭に手を置いたり,なでたりします。こうされてもその子どもの親は怒りません。しかし,そうすることが「相手を侮辱すること」を意味する文化に属する人に,同じことをしたとしたら,「なぜ,自分の子どもがばかにされねばならないのだ」と怒り,たいへんなことになるでしょう。多くの人は,「異文化に属する人といっても同じ人間だもの,善意ですることは相手にもきっとわかると思う」と信じているようですが,これなどは善意であっても通じない例です。
同じ文化を共有している人,つまり共通の思考様式・行動様式,または価値観をもつ人の間であればともかく,異なる文化に属する人とのコミュニケーションの場合そういいきれるかは疑問です。異文化間コミュニケーションにくわしい人は,「異文化に属する人とのコミュニケーションという困難で厳しい現実に立ち向かうには,それなりの準備が必要である」と言っています。
このように,考え方・行動様式の違いのため起こる問題が,目に見えないcultureの問題なのです。文化の違いのため起こる誤解はこのcultureに関するものが多いのです。したがって,本書ではこのcultureについても焦点をあてて深く学習できるようにしてあります。異なる文化に接して「何か変だ」と感じたときにどうするのがよいかといったことを学習してもらえるはずです。つまり,「日本ではこのようなときはこうするのだが,そちらの文化ではどうだろう」という問いかけをしたり,「私の取る行動が変だと思われたときには,どうぞ教えてください。文化が異なるため,そう見えているのかもしれません。できる限り説明します」ということで「国際理解(=異文化理解)」がよりスムーズに行えるという実例を多く示しました。
21世紀に生きる生徒たちには,このような異文化間コミュニケーションに関する知識とその心構え(=心的態度)を深めさせる必要があるのです。本書は,この異文化間コミュニケーションのための知識や心構えをより効果的に深めることができるように,パズルやクイズ形式で楽しみながら学ぶことができるようにしました。
本書の構成と特色
具体的に本書の構成と特色を述べましょう。
1 生徒の発達段階や英語力に応じて,中学1年から高校1年(または2年)まで使えるように,日本語も補助的に使用しました。内容は,第1部と第2部の構成とし,第1部では,主として知識を学ぶ「知識編」,第2部では異文化間コミュニケーションをするときの心構えについて学ぶ「心的態度編」としました。
2 第1部・第2部とも二つのステージを設け,ステージT(中1〜中2),ステージU(中3〜高1)に分けて示しました。
3 クラス全体で一斉に,また,ペアやグループ活動でも取り組めるようにしました。
4 約10分で1問が終了できるようにし,生徒が飽きないようにしました。
5 クロスワード,ワード・サーチ,ジャンブルなど,パズルの形式を多様にし,パズルそのものを楽しめるようにしました。
6 問題によっては「迷路」や「アミダ」などの形式のヒントを用意し,英語が苦手であっても,迷路というパズルを楽しみながら,英語を使って国際理解の学習ができるようにしました。
7 興味深いトピックについては,ステージT・Uの両方で扱いました。
8 問題はすべて見開きにしてあるので,そのままコピーして教材にできるようにしました。
9 解答・解説編で,題材に関する背景知識や指導上のポイントを,簡潔に示しました。
本書によって生徒のみなさんが,授業中の気分転換も兼ねながら,英語力と国際理解の学習を深め,21世紀に生きる日本人として少しでも前進してもらえるならば,それは私たちのこの上ない喜びです。
なお,本書の出版にあたって明治図書編集部の樋口雅子氏にたいへんお世話になりましたことを厚く御礼申し上げます。同時に,トピックの提供や迷路・パズルの作成に御協力いただいた方々にも感謝申し上げます。
2000年1月 著者しるす
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- 明治図書