- まえがき
- 外国語科改訂の方向
- ◆教課審答申を改訂でどう受け止めたか
- 外国語科にとっての「生きる力」と「ゆとり」
- 教え方の工夫が一層求められる
- ◆改訂でどのような外国語教育を目指したか
- 実践的コミュニケーション能力の育成を
- 必修になった背景と意義
- 実践的コミュニケーション能力をこう理解したい
- 読み書きもコミュニケーション能力
- 外国語教育にとっての基礎力
- ◆今回の改訂でどんな苦心をしたか
- 基本的な理念と実際の改訂の整合性
- 厳選にかかわる難しさ
- 指導の弾力化を求めた意味
- 大綱化と具体化の止揚の仕方の難しさ
- 行政文書の性格を崩せない問題
- 外国語科改訂の重点課題は何か
- ◆音声によるコミュニケーション能力の育成
- 音声が重視された理由
- 「読む・書く」こととのバランスをとって
- 音声に対する考え方を変える
- 実践的コミュニケーション能力育成と授業改善
- ◆三年間を見通した弾力的指導
- 「ゆとり」の具体化としての弾力的指導
- 指導の成果を長い目で見られる成果
- ◆言語材料の厳選
- 厳選の内容とその理由
- 一定のラインで厳選を示す
- ◆教材選定の観点の見直し
- 言語の働きに配慮した教材を
- 現在の路線の一層の充実を
- 具体的場面例示の意味
- ◆個に応じた指導の充実
- 個に応じた指導が外国語教育の基本
- 個に応じた指導を大きくとらえることが必要
- ペアワーク,グループワークの有効な活用を
- インターネット活用の重要性
- 改訂で求められる研究課題
- ◆言語の使用場面や働きを指導にどう生かすか
- 使用場面や働きを指導する際の留意点
- 言語を使う状況を考えて
- 言葉を創造的に使うことと使用上の制限
- ◆選択教科の内容はどうするか
- 選択の多様性と各学校の対応
- 選択推進への提案
- 選択教科と高校入試
- ◆小学校での外国語学習の経験をどう生かすか
- 小学校の英語活動をどう受け止めるか
- 個に応じた対応をする
- 内容省略や選択教科の活用で
- 小・中の話し合いも必要
- 小学校の英語学習に期待するもの
- 付録 改訂中学校学習指導要領/ 外国語
まえがき
昨年の十二月十四日に新しい中学校学習指導要領が告示されました。
新しい学習指導要領は、[ゆとり]の中で[生きる力]をはぐくむことを重視した中央教育審議会の答申、また、この答申のもとに教育課程審議会が検討を行い、答申としてまとめた内容に基づいて作成されました。
教育課程審議会の答申は、教育課程の基準の改善のねらいや基本方針など学習指導要領を作成する上での基本的な枠組みを示しています。外国語科については、とりわけ国際化の進展にともない国際社会に生きる日本人の育成という視点から一層の改善を求めています。
学習指導要領の改訂は、このような答申の趣旨を踏まえて具体的な基準を策定する作業であります。今回の改訂で外国語科は必修教科となり、実践的コミュニケーション能力の育成を重視するなど新しい内容が盛り込まれています。本書では、このような改訂に関わる当事者が、答申の内容をどのように受け止め、どのようなことが課題となり、また、改訂する上での困難は何であったのか、完成された学習指導要領には現れないこのような点が対談を通して伝わればと考えました。また、同時にそのような飾らぬいわば生の声を通して、学習指導要領に対する興味を喚起できればと考えています。
この対談でとりあげた話題は、いずれも今回の改訂にあたってのキーポイントとなるものです。それだけに当事者の言葉からその過程を垣間見て頂き、学習指導要領の文言からだけでは読み取りにくいニュアンスや背景がより正確にわかりやすく伝わることを期待しています。
この対談を読んだあと、もう一度新学習指導要領に目を通してみるとなるほどと思われる部分が増えたということになれば幸いです。
最後に、本書の編集に当たりいろいろとお骨折り頂いた明治図書編集部の安藤征宏氏に心から感謝申し上げます。
平成11年5月 /平田 和人 /金谷 憲
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- 明治図書