小学校英語基本図書選1
新しい時代の小学校英語指導の原則

小学校英語基本図書選1新しい時代の小学校英語指導の原則

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「使える」「伝わる」英語力を育てる

小学校英語はコミュニケーション力や国際理解にシフトした新たな特質に基く指導が求められている。この特質を踏まえた独自の指導の内容の全てを、小学校英語を長年にわたってリードしてきた著者が平易かつ簡潔に示した基本図書。


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ISBN:
978-4-18-710514-7
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
3刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 112頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はしがき
T章 英語教育を改善する
§1 「どれだけ知っているか」から「どれだけ使えるか」へ
1 語句の知識のあいまいさ
2 易しい表現を使う
3 「目から読む」から「耳から読む」へ
4 「英語力がある」とは
§2 「正しくなければ英語じゃない」から「通じなければ英語じゃない」へ
1 語句・文法の知識からコミュニケーションへ
2 「正しさ」から「通じること」の重視へ
3 間違いは当たり前
4 「以心伝心」から「以唇伝心」へ
§3 「マンハッタンの夜景」と「ジグソ−パズル」
1 マンハッタンの夜景とジグソーパズル
2 易しい表現の実際
3 転移のきく指導
§4 ドリルから活動へ
1 言語材料と練習の関係
2 ドリルと活動の特徴
3 「詰め込み」と「遊び」の狭間で
4 学習はスパイラルで
§5 「覚える」から「楽しむ」へ
1 楽しむことは悪いこと?
2 遊び感覚を大切にする
3 英語は「覚えてから使う」から「使いながら覚える」へ
4 英語教育から英語活動へ
U章 小学校英語活動を創る
§1 どうして小学校に英語か
1 我が国の社会の急激な国際化
2 外国語に対する社会のニーズの増大
3 英語教育の変革への願望
4 外国における外国語教育の早期導入
§2 小学校英語活動の現状
1 英語活動実施学校数の推移
2 学年別実施学校数・英語活動年間平均実施時間数
3 英語活動実施時間数別学校数
4 英語活動の主たる指導者別時間数
5 ALTやGTの活用時間数
6 英語活動の内容
7 英語活動の運用方法
§3 小学校英語の展望
1 小学校英語を充実させる必要性
2 中央教育審議会外国語専門部会の報告
§4 英語活動のねらい
1 コミュニケーションを図ろうとする積極性を身に付ける
2 易しい英語を使って意思の疎通を図るコミュニケーション能力を身に付ける
3 様々な言葉や文化に対する興味・関心を高める
4 国際社会に生きていくための国際感覚を身に付ける
§5 英語嫌いを作らない
1 英語嫌いを作らない
2 英語を楽しむ姿勢を大切にする
3 遊び感覚を生かす
4 音声を中心にする
5 子どもの身近な生活を教材化する
§6 小学校英語の到達目標
1 身近で基本的な英語に限定する
2 易しい英語が聞いて分かる
3 易しい英語で自分のことを話す
4 易しい英語が読める
5 易しい英語が書ける
6 文化に触れる
§7 発音や文法へのこだわり
1[r][l]の区別が難しいが…
2 単語レベルの発音から文レベルの発音へ
3 文法はいらない?
§8 文字指導の時期と到達目標
1 文字指導をずらす理由
2 英語経験年数と文字
3 文字の段階的な指導
4 英語のスペリングとローマ字との関係
§9 音声・文字指導の到達目標
1 「聞くこと」
2 「話すこと」
3 「読むこと」
4 「書くこと」
§10 音声・文字指導のプロセス
V章 年間活動計画を構想する
§1 国際理解の構成と配当時数
1 国際理解の構成
2 活動の配当時間
§2 年間活動計画作成の視点
1 子どもの「言いたい」「したい」を材料にする
2 内容を大きなくくりでまとめる
3 トピックや言語材料の配列については,授業を行いながら考える
§3 年間活動計画に盛り込む要素
1 子どもの遊びを取り込む
2 子どもの身近なことを取り入れる
3 季節を盛り込む
4 行事と関連させる
5 地域の特性を考慮する
6 文化に触れる
7 子どもの知性や経験に訴える
8 他の教科との関連を考える
§4 年間活動計画トピックのモデル
W章 授業を組み立てる
§1 授業構成の秘訣
1 教師のプロとしての腕の見せ所
2 同じ表現を楽しく繰り返す工夫
3 授業の流れの固定化
4 遊び感覚にあふれた活動
§2 生き生きとした授業を創る五つのP
1 Patience(忍耐)―― 子どもが活動に参加したくなるまで待つ
2 Practice(練習)―― 退屈させない繰り返しの方法を工夫する
3 Play(遊び)―― いろいろなゲームを楽しむ
4 Production(表現)―― 自分を表現する場面を設定する
5 Praise(ほめる)―― 「わ!通じた」という達成感を味わう
§3 英語活動にコミュニケーションの視点を
§4 相性のいい語句をまとまりで扱う
§5 小さなステップで少しずつ
X章 活動を創造する
§1 楽しい活動に共通する条件
1 子供のニーズを生かす
2 生活に密着した易しい英語を使う
3 遊び感覚を含む
4 音声にたっぷりと浸る
5 体を動かす
§2 活動の多様性
1 楽しむタイプ(For fun)
2 知的好奇心を満たすタイプ(For satisfying curiosity)
3 経験を広げるタイプ(For expanding experience)
§3 活動を提示する方法
§4 活動と留意点
1 歌
2 チャンツ
3 クイズ
4 ゲーム
5 ごっこ遊び
6 スキット
7 読み聞かせ
§5 適切な定型表現を効果的に使う
Y章 英語活動の評価を考える
§1 評価の基本的な考え方
1 子どもの喜ぶ姿を助長する
2 煩雑さを避ける
§2 英語活動の評価の観点
1 コミュニケーションへの積極性
2 実践的コミュニケーション能力
3 言語や文化に対する理解
4 国際感覚
§3 評価の方法
1 教師の視点から
2 親の視点から
3 子どもの視点から
§4 評価の生かし方
1 通知表への記入
2 子どもを励ます
3 教師の授業改善に生かす
Z章 教師の英語力と指導力を高める
§1 英語を磨く
1 英語のさびを落とす
2 どんな英語を使うのか
3 ALTから学ぶ
4 教室英語(Classroom English)に強くなる術
§2 英語を「教える」から「楽しむ」へ
1 「教える」授業は面白くない
2 「楽しむ」ことから学ぶ
3 アイディア・プールの工夫
4 skill sharingの大切さ
§3 英語の日常化
1 学校の英語化
2 PTAやGTの協力を得る
§4 英語活動導入のシステムづくり
1 校長の意思とリーダーシップ
2 校務分掌での位置付け
3 全校・学年会での取り組み
4 教師個人の努力
[章 小・中の連携を深める
§1 小・中の立場からの実情認識
1 小・中の教師の意識の差
2 互いの授業参観と情報の共有が必要
§2 小・中連携の基本的な考え方
1 英語力の向上を目指す
2 小・中の到達目標を明確にする
3 指導方法の連続性を保つ
4 中学校では言語材料を増やすのではなく「使う」ことを重視する
§3 言語材料の系統性
1 言語材料の整理と系統性を検討する
2 音声指導を重視する
3 文字指導の時期と連続性を検討する
§4 小・中連携を進める上での留意事項
1 行政主導で進める
2 小学校6年と中学校1年の橋渡しの時期を検討する
\章 国際感覚を磨く
§1 現代のキーワード
1 国際化と自国中心化
2 国際交流と国際誤解
3 国際人と国際感覚
§2 国際感覚とは
§3 国際感覚を磨く
1 好奇心
2 柔軟性
3 歴史・文化感覚
4 個性の尊重・確立
5 表現力

はしがき

 今,英語が熱い。我が国の英語教育を改善しようとして,小学校,中学校や高等学校において様々な取り組みが行われてきている。ほとんどの小学校において,英語活動への何らかの取り組みが行われ,中学校においては,授業改善に向けた努力とある程度の英語力を生徒全員が達成できるよう努力が積み重ねられてきている。高等学校においては,Super English Language High School(SELHi)の試みを通して,授業改善を図ろうとしている。

 また,中央教育審議会の答申によって,さらに英語教育の改革が図られることになる。特に小学校における英語について,外国語専門部会の議論では,小学校5・6学年に必修化が報告されている。それに合わせて,小学校では,5・6学年にとどまらず,1学年から英語の取り組む学校が増えてきている。

 このような状況にあって,我が国の英語教育は画期的な時代に入ったと言っても過言ではない。しかし,新しいことを始めるに当たっては,これまで予想もしていなかった小学校の教師や学校も保護者にも様々な苦労がある。小学校の教師は,時間と労力を注ぎ込んで,英語活動に取り組んできた。しかし,全国的にみて,とてもうまく英語活動が行われている学校と,もっと改善の余地があると思われる学校とがあり,小学校における英語は現在「両刃の剣」の状態にあると言える。すなわち,小学校における英語への取り組みがうまくいけば,我が国の英語教育は画期的な変革の糸口になり,下手をすれば小学校の段階から英語嫌いを生み出す危険性をも併せ持っている状況である。そこで,小学校における英語教育を成功させるためには,小学校英語の基本的な考え方にもう一度立ち返って,方法や内容等を検討する必要がある。

 そこで,本書は,これから先の我が国の英語教育を改善するという視点から,小学校における英語教育がよい方向に向かうようにという熱い願いを込めて,小学校における英語の基本的な考え方,具体的な方法や内容,評価の方法,教師の研修等について,私がこれまで小学校英語に関わってきた経験を通して,改めて基本的なことも含めて述べたものである。

 本書に述べたことは,これまで私が,教師向けのあちこちの研修会で講演した内容や,『小学校英語セミナー』(明治図書)やその他の月刊誌等で書いた内容を少し手を加えて改めて収録したものである。本書の内容に若干の重複がある場合にはそのような事情から生じたものであることをお許しいただければ幸いである。

 本書の出版に当たっては,明治図書の安藤征宏氏の励ましと長い間の忍耐と,また,越智正人氏のやっかいな校正の労に対して,心からお礼を申し上げる次第である。


  平成19年3月 /影浦 攻

著者紹介

影浦 攻(かげうら おさむ)著書を検索»

現職:鹿児島純心女子大学国際人間学部長・教授。宮崎大学名誉教授。県立及び国立の中・高校教諭,鹿児島県教育庁指導主事,文科省の教科調査官,宮崎大学教授を経て,現職。

 文科省の委員として,研究開発学校企画評価委員,SELHi企画評価委員会(座長),『小学校英語活動実践の手引』作成委員会座長。中央教育審議会外国語専門部会委員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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