- はじめに
- 第一章 自然に流れる美しさ
- ―絵の具と水と紙―
- 絵の具と出会う ―色と感触の心地
- 絵の具と水と紙
- 自然に流れる美しさ
- 第二章 絵の具がほほえむ
- ―シュワッと広がる色―
- ベトベトの絵の具
- 筆の感触
- シュワッと広がる色
- 第三章 夢中になる秘密
- ―解放された色の魅力―
- 色の冒険と発見
- 一瞬の輝き
- 色と形のドキュメント
- 第四章 創造の扉が開く
- ―遊び心から生まれる―
- 遊び心から生まれる
- 創造の入り口
- 創造の部屋の居心地
- 第五章 絵の具の空想力
- ―体感できる絵画性―
- 体感できる絵画性
- 色・形・イメージの融合
- 絵の具と装飾的な表現
はじめに
子どもの造形活動を見ていると、子どもたちがそのものから感じた感触や感覚を拠り所に表現を楽しんでいることがよくわかる。絵の具を使うときもそうだ。はじめて子どもが絵の具を使うとき、チューブから伝わるあの、「にゅるっ」とした軟らかな感触がまず子どもを心地よく刺激する。チューブのふたを取り、静かに押す。濡れた練り状の絵の具は鮮やかな色をして子どもの目を奪う。パレットにはこんな絵の具が広がり、子どもたちの色実験の場になる。実験で次々に生まれる新しい色、子どもたちの興味は尽きない。これだけ見ても絵の具は、他の描画材にない魅力を秘めている。絵の具をはじめて扱う子どもたちも、この魅力を敏感にキャッチし、とりこになる。
ありきたりの水彩画の技法のみがすべてかのように固執する指導は、子どもたちが身体で感じとった絵の具の魅力や可能性を奮ってしまうし、絵の具と水と紙の偶然、あるいは子どもの独特な感覚によって生まれる美しい出来事を見逃してしまう。表現で大切な、その子の感覚までも無視してしまいかねない。絵の具の柔軟な表情の変化すら気づくことができない。小さな子どもたちの絵の具とのかかわりを見ていると、彼らは絵の具の魅力を誰よりも知っているように思えてならない。エネルギッシュに創造の扉を開こうとする子どもたちの前で戸惑い、ある時はその扉を閉めてしまうのは、もしかしたら窮屈な美術指導をする大人たちかもしれない。
紙の上を鮮やかに広がる絵の具が、ほほえんで見えるのは子どもたちだけなのか?
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明治図書

















