- 1 小学校3年〜中学校でのプロ級理科工作
- 1 厚紙と竹箸で作る
- 長く回るコマ作りに挑戦しよう
- 2 サランラップの芯やミラープレートで
- 楽しい万華鏡を作ろう
- 3 ペットボトルで魚を捕まえる
- ビンドーを作ろう
- 4 厚紙で作る本格派
- ブーメランを飛ばそう
- 5 霧雨でも作動する実力派
- “雨ですよ”センサーを作ろう
- 6 LEDと光ファイバーで
- 光のインテリアを作ろう
- 7 超簡単回路で光通信
- メロディ光送受信器を作ろう
- 8 情報を光で遠くへ送る
- 光ファイバー送受信機を作ろう
- 9 アルミホイールを使った実験装置を作り
- 電流と磁気の達人になろう
- 10 磁力線で情報を伝える
- 磁気送受信機を作ろう
- 2 小学校4年〜6年でのプロ級理科工作
- 11 広告のチラシやティッシュ・楊枝などで
- 植物の種の模型を飛ばそう
- 12 フィルムケースやプラスチック容器で
- 輪ゴムで動くオモチャを作ろう
- 13 ボール紙・プラスチック容器などで
- 色々な形・大きさのブンブンゴマを作ろう
- 14 フィルムケースやペン・筆の軸で
- 水笛など楽しい笛を作ろう
- 15 厚紙で
- ヨーヨーを作ろう
- 16 ポリ袋・レジ袋と厚紙で
- ミニ凧を揚げよう
- 17 フィルムケースのタイヤで
- 輪ゴム自動車を走らせよう
- 18 光や磁力線で自分の声を送る
- マイクアンプを作ろう
- 3 小学校〜中学校でのプロ級理科工作
- 19 フィルムケース・サランラップの芯などで
- 笛吹きゴマを作ろう
- 20 フィルムケースのタイヤで走る
- 空気ジェットの風船自動車を作ろう
- 21 フィルムケースのタイヤで走る
- プロペラ自動車を作ろう
- 22 35mmフィルムケースで
- 強力なプロペラを作ろう
- 23 厚紙と発泡スチロールで
- グルグル飛び回る飛行機を作ろう
- 24 ガスライターで電波を飛ばしアルミ粒の
- コヒーラーで受信しよう
- 25 フィルムケースと1石トランジスターで
- ミニミニ放送局を作ろう
- 26 イヤホーン端子から光送信
- 1石光送信アダプターを作ろう
- 27 逆転の発想 簡単回路でスピーカーがガンガン鳴る
- LED光送受信機を作ろう
本書のねらい
小中学校の授業で,或いはお父さんお母さんと一緒に,または夏休みに小中高校生が一人ででも作れるように,身近な材料,簡単な構造や回路,手に入りやすい部品を特に選んでいます。科学教室や青少年の科学イベントでの体験に,参加者の自作用に考案した私独自のものばかりを集めました。
物を作るという活動はいやおうなしに考える活動をしなければなりません。「なぜ」「どうしてだろう」「こうしてみよう」など考える力が自然に付きます。
人類は物を作ることで知能を高めた
地球が暖かくなり多種多様な植物や動物が長い長い時間をかけて進化を続けた中で,2足歩行で手が自由に使える原始人が誕生しました。彼らは木を切り,住まいを作った。木をどうやって切ったのだろうか。木より固い石を見つけ,それを割って鋭い刃の石斧を作った。食べ物はどうやって捕らえたであろうか。恐らく初めは動物に石を投げたり,木の棒を投げたり,そして石のヤジリで槍を作った。さらに弓を考案した。オーストラリアの原住民アボリジニは木の棒からブーメランを作った。
山火事や雷で発生した火を自由に操れるようになって鉄を作り,人類の生活は飛躍的に発展を始めました。このように,人間は生きるために絶えず工夫し,物を作り続けました。この結果,知能が他の動物より飛躍的に発達したのです。
月に人類が降り立ち,火星の探査が行われています。地球を回る周回軌道に宇宙基地が着々と建設され,無数の宇宙船が地球を周回しています。大陸間は光ファイバーで結ばれ,通信衛星とコンピューターで世界の出来事が瞬時に世界に伝わります。この科学技術は人類が長い長い時間と失敗の歴史を繰り返して築き上げて来た物です。
○自然や生物から学ぼう
皆さんは生き物が好きですか。私が幼かった頃育った三河平野は森や林,田圃や畑,小川が流れ,メダカ・フナ・ドジョウ・ヘビ・昆虫・ヒル・ゲンゴロウなどの動物が沢山いました。野山には数え切れない種類の草花が咲いていました。その時代は子供が多く,みんなでよく小川に出かけて,川をせき止め,中の水を掻い出して(掻い堀り)残った魚やゲンゴロウを沢山捕まえました。土手に上がると,足に無数の吸血ヒルが足に吸い付き,気持ちの悪いヒルを夢中で取って,血を流した足で泣きながら帰りました。
捕まえた生き物は一生懸命育て,メダカの卵からの誕生や,ヤゴからトンボが飛び立つ羽化の様子を夢中で観察しました。この経験から理科好きになったと思います。
昭和13年に東京に転居した頃は東京の町中にも原や森が多く,夏の朝はどこの林の木にカブト虫やクワガタ,玉虫がいるか,朝早く,胸をときめかせて取りに行ったものです。毛虫やイモムシ・ハチも飼い,手を刺されたり,オタマジャクシをカエルまで育てたりしました。
カエデの種がクルクル回って飛ぶことからプロペラが考えられ,鳥の翼の作りから飛行機の翼が考案されました。ライト兄弟は子供の頃,プロペラのオモチャで遊び,人類初の飛行に成功しました。
タイの野生の蛾が金色の糸で繭を作ることが発見され,金色の生糸が生産され,世界のファッション界に大センセイションを巻き起こしました。魚の体表は水の抵抗が少なく,早く泳ぐ工夫がされています。アテネオリンピックの水泳選手の水着に魚の体表の構造を取り入れ布が考案されました。
ロボット王国日本の各器官の構造は動物の躰のつくりが手本になっています。人間は,今も自然から沢山の知恵を学んでいます。皆さんも生き物を好きになって沢山のことを勉強してください。
○成功するまで挑戦しよう
昔は小遣銭を貰える家はほとんどありませんでしたから,物作りはお金を掛け無い方法を考えなければなりませんでした。道具も手作りで作りました。
・トンボとり:夕方になると原っぱにギンヤンマやオニヤンマなど7cmを越す大型とんぼが昆虫を求めて集まります。一般には竹(買う)の先に木の粘液のモチ(買う)を塗ってトンボの羽根を付けてとる方法が普通でした。そこでオトリの方法を考えました。小石2ケを布で包み,両方を30cm位の黒糸で結んで出来上がりです。トンボが来るとその前に投げ上げます。薄明かりの中でトンボは小石を虫と勘違いして追いますと,上から糸が羽根に絡んで落ちてきます。この作りを随分工夫しました。石が大きいと,トンボはすぐ虫ではないと判断します。白い色の物は見破られます。黒いと落ちた仕掛けが見つかりませんから,黒白模様にしたり,石を4ケにしたり何種類も試したものです。
・凧作り:住宅の近くにも原っぱが有り,凧揚げが盛んでした。1銭菓子屋には唸りの付いた大きな凧や大小の六角凧などが売られていました。小遣いでとても買えないので店の凧のつくりをしっかり見て,凧糸だけは買います。竹で骨を作り,障子紙を使って同じ形に作ります。糸目を付けて胸をドキドキさせて原っぱで揚げました。クルクル回ってすぐどすんと見事失敗です。
友達の良く揚がる凧と,どこが違うか何回も作り直してよく揚がる凧が出来ました。この時の喜びは格別で,失敗しても成功するまで続ける根気が成功の秘訣です。
○逆の発想も世界を開く
人工光は1879年にエジソンの白熱電球の発明,1962年にLED が開発され,赤,黄色の高輝度LED は早く商品化されましたが,緑色は暗く,青色は到底実用にならないものでした。開発を競う世界企業が素材から除外したガリウム窒素に目を付けた日本人の中村修二さんが高輝度青色LED,続いて高輝度緑色LED,青色レーザー半導体を1995年に世界に先駆けて発明しました。
この冊子のなかに電流を光に変換する発光ダイオードを逆の発想をして光を当てて電流を取り出す「LED 光送受信機」を紹介しています。「逆も信なり」が科学にもあります。
「聞いた事は忘れ」「見たことは覚え」「やったことは理解する」
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- 明治図書