- まえがき
- 第1章 研究授業をどう進めるか
- 1.生徒の資質・能力を育てる
- 1 中学校理科学習指導要領に示す目標と内容構成の考え方
- 2 理科において育てる資質・能力
- 3 学習指導に当たっての留意事項
- 2.研究授業について
- 1 授業の質を高める指導の工夫
- 2 生徒の実態把握
- 3 単元構成の仕方
- 4 1時間の授業構成の仕方
- 5 特色ある指導法・題材・発問・教材開発
- 6 学習評価の仕方
- 第2章 第2分野の研究授業の実践
- 1 ((1) ア) 「生物の観察」の研究授業
- 2 ((1) イ) 「植物の体のつくりと働き」の研究授業
- 3 ((1) ウ) 「植物の仲間」の研究授業
- 4 ((2) ア) 「地層と過去の様子」の研究授業
- 5 ((2) イ) 「火山と地震」の研究授業
- 6 ((3) ア) 「動物の体のつくりと働き」の研究授業
- 7 ((3) イ) 「動物の仲間」の研究授業
- 8 ((4) ア) 「気象観測」の研究授業
- 9 ((4) イ) 「天気の変化」の研究授業
- 10 ((5) ア) 「生物と細胞」の研究授業
- 11 ((5) イ) 「生物の殖え方」の研究授業
- 12 ((6) ア) 「天体の動きと地球の自転・公転」の研究授業
- 13 ((6) イ) 「太陽系と惑星」の研究授業
- 14 ((7) ア) 「自然と環境」の研究授業
- 15 ((7) イ) 「自然と人間」の研究授業
まえがき
21世紀は人口爆発,資源・エネルギーの枯渇,地球環境の危機の時代といわれる。
これを乗り切るにはエネルギーの大量消費型社会から,ゼロエミッションの循環型社会への転換を一刻も早く成し遂げなければならない。
そのためには,私たちの意識改革と環境に負荷を与えない科学技術の発展が不可欠である。
理科教育はそのために大きな役割を果たすものであり,理科の重要性はますます大きくなるであろう。
平成14年度から,科学の基礎的な知識や技能,思考力をしっかりと身に付けさせ,科学的なものの見方や考え方を育てることをねらいとした新教育課程が始まった。
また,評価が絶対評価に変わり,確かな学力を保障するため観点別評価の研究と実践が行われ始めた。
しかし,国立教育政策研究所の教育課程実施状況調査の結果等から,中学校理科の現状は必ずしも楽観できない状況にあることが分かった。
例えば,前回と同一問題の通過率の比較では,第1学年は約3ポイント,第2学年は約2ポイント低下している。特に抽象的思考力を必要とする第2学年の「化学変化と原子・分子」「電流」の低下が大きいのが気がかりである。
また一方で,質問紙調査の結果からは,実験を「行っている方だ」「どちらかといえば行っている方だ」と答えた教師の割合は90%以上となっている。
このように観察,実験を積極的に行っていると考えている教師が多いにもかかわらず生徒は必ずしも目的意識をもって取り組んでいるわけではないことが問題なのである。
生徒にいかに目的意識をもたせ,わくわくするような気持ちで授業に取り組ませるかがこれからの大きな課題といえる。
そのためには,それぞれの教師が研究授業を公開するという気持ちになって質の高い授業を実践することが大切である。
そこでこのたび,本書では全国の優れた授業を実践している先生方のとっておきの事例を紹介することとした。
多くの先生方が本書を参考にして授業の質を高めていただくことを願っている。
最後に本書の編集にご尽力いただいた執筆者の先生方及び明治図書の仁井田氏に心から感謝の意を表する次第である。
青森大学大学院教授 /江田 稔
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- 明治図書