- まえがき
- 1章 絶対評価の問題づくりの必要性
- §1 絶対評価の問題づくりがなぜ必要か
- 1 これまでの問題づくりの傾向
- 2 これからの問題づくりの方向
- §2 絶対評価の問題をどうつくるか
- 1 観点別評価を考えた問題づくり
- 2 問題づくりの手順と問題の信頼性
- 2章 第1分野の新絶対評価問題
- §1 身近な物理現象の評価問題
- 1 「身近な物理現象」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「光と音」の評価問題
- 3 「力と圧力」の評価問題
- §2 身の回りの物質の評価問題
- 1 「身の回りの物質」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「物質のすがた」の評価問題
- 3 「水溶液」の評価問題
- §3 電流とその利用の評価問題
- 1 「電流とその利用」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「電流」の評価問題
- 3 「電流の利用」の評価問題
- §4 化学変化と原子,分子の評価問題
- 1 「化学変化と原子,分子」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「物質の成り立ち」の評価問題
- 3 「化学変化と物質の質量」の評価問題
- §5 運動の規則性の評価問題
- 1 「運動の規則性」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「運動の規則性(力と運動)」の評価問題
- 3 「運動の規則性(エネルギーの変換と保存)」の評価問題
- §6 物質と化学反応の利用の評価問題
- 1 「物質と化学反応の利用」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「物質と化学反応の利用(酸化と還元)」の評価問題
- 3 「物質と化学反応の利用(化学変化とエネルギーの出入り)」の評価問題
- §7 科学技術と人間の評価問題
- 1 「科学技術と人間」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「エネルギー資源」の評価問題
- 3章 第2分野の新絶対評価問題
- §1 植物の生活と種類の評価問題
- 1 「植物の生活と種類」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「植物の体のつくりと働き」の評価問題
- 3 「植物の仲間」の評価問題
- §2 大地の変化の評価問題
- 1 「大地の変化」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「地層と過去の様子」の評価問題
- 3 「火山と地震」の評価問題
- §3 動物の生活と種類の評価問題
- 1 「動物の生活と種類」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「動物の体のつくりと働き」の評価問題
- 3 「動物の仲間」の評価問題
- §4 天気とその変化の評価問題
- 1 「天気とその変化」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「気象観測」の評価問題
- 3 「天気の変化」の評価問題
- §5 生物の細胞と生殖の評価問題
- 1 「生物の細胞と生殖」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「生物と細胞」の評価問題
- 3 「生物の殖え方」の評価問題
- §6 地球と宇宙の評価問題
- 1 「地球と宇宙」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「天体の動きと地球の自転・公転」の評価問題
- 3 「太陽系と惑星」の評価問題
- §7 自然と人間の評価問題
- 1 「自然と人間」のねらいとプレ―ポストテスト
- 2 「自然と環境」の評価問題
はじめに
「生きる力」を育むという主旨を掲げた教育課程が全面実施となった。ここでのキーワードは問題解決能力である。理科の教師が果たすべき役割は,この主旨を踏まえ「理科の目標」へ迫る授業の実践と評価の改善である。
最近,「学力」についてのいろいろな意見が聞かれるようになった。学校において問題としている学力は,到達目標としている「理科の目標」を基礎・基本としている。この目標は「自然事象への関心・意欲・態度」,「科学的な思考」,「観察・実験の技能・表現」,「自然事象についての知識・理解」の4観点から構成されている。
問題を解決する資質・能力を育むために「知識・理解」が重要であることはいうまでもないが,「理科嫌い」などといわれていることを払拭するためにも,知的好奇心や学習への内発的な意欲を育てることが第一に重要である。また,観察・実験などにおいて問題の解決を図るためには,全体を見通す戦略や実際的な技能の習熟がなくてはならない。このように,理科の目標を構成する4つの観点のバランスがとれた学力を一人ひとりに徹底し,定着することがこれからの重要な課題である。
従来の評価は,集団の中での相対的な位置を表していたので,子どもの学力について,このような本質的な問いを保護者から求められることは少なかったのではないだろうか。しかし,今回の絶対評価を取り入れた評価では,学習した内容の一つ一つについて,どの部分が目標規準に照らして満足できる状況であるのか,またそうでないのかを明確にし,どのような手立てを講じる必要があるかなどについて説明することが求められることになる。その際,教師の作成するテスト問題での得点が目標規準に到達しているかどうかを決定する根拠となるので,設題の意図が明確にされ,どのような学力を測るものであるのかが明確にされる必要がある。
絶対評価の信頼性を確かなものにするためには,いろいろな評価技法を工夫し多面的な評価を行うことが大切であるが,その中でも定期テストなどで実施されるペーパーテストは,いろいろな意図を含んだ設問を通して多様な情報を短期間に入手することができること,比較的長い時間手元に置くことができるので結果をていねいに分析することができるなどの特性があり,評価資料を得るための主要な方法であるから,問題づくりに力を注ぐことが急務となる。
漠然と問題作成していると観点別に分析して評価することが困難になることから,指導目標に準拠した問題づくりを検討し信頼性の高い問題を多く集める必要性が認識されはじめている。
本書は,学校にあって研究を積み実践している先生方に具体的な事例を挙げていただいたものである。ペーパーテストで測定できる学力についての限界とさらなる可能性などについて,今後,問題を作成される際の参考として役立てていただければ幸いである。
多忙の中で難しい課題に果敢に挑戦し,原稿としてまとめあげてくださった執筆者の先生方に敬意を表し,感謝申し上げます。また,末筆ながら,本書の刊行にご尽力をいただいた明治図書の安藤征宏氏をはじめ編集部の方々に深甚の謝意を申し上げます。
平成15年1月10日 編者 /遠藤 純夫
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- 明治図書