新授業づくり選書14
中学校理科絶対評価の方法と実際

新授業づくり選書14中学校理科絶対評価の方法と実際

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絶対評価の基本と評価の方法がわかる

絶対評価への転換は多様な評価方法を駆使した指導との一体化求めている。本書は中学校理科での評価方法の活用の実際を明示した今目を通しておきたい重要な一冊。


復刊時予価: 2,233円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-660919-5
ジャンル:
理科
刊行:
2刷
対象:
中学校
仕様:
B5判 114頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
1章 中学校理科の授業と絶対評価の基本
§1 中学校理科の授業と評価の新しい方向
1 目標と指導と評価の一体化
2 基礎・基本の徹底と絶対評価
3 絶対評価と相対評価と個人内評価
4 授業における評価と通知票,生徒指導要録
§2 中学校理科の絶対評価の基本
1 観点別学習状況における絶対評価
2 絶対評価による評定
2章 中学校理科の多様な評価方法とその実際
§1 多様な評価方法を生かした学習指導
1 指導と評価の一体化を図る評価
2 多様な評価方法を生かす学習指導
§2 多様な評価方法の実際
1 「行動観察」を活用した評価方法の実際
2 「パフォーマンステスト」を活用した評価方法の実際
3 「ワークシート」を活用した評価方法の実際
4 「観察・実験レポート」を活用した評価方法の実際
5 「学習ノート」を活用した評価方法の実際
6 「ペーパーテスト」を活用した評価方法の実際
7 「ポートフォリオ」を活用した評価方法の実際
§3 多様な評価者による評価の工夫
1 教師や専門家による評価の工夫
2 自己評価の工夫
3 相互評価の工夫
3章 中学校理科の観点別絶対評価の実際
§1 第1分野
1 身近な物理現象(小単元「凸レンズの働き」)
2 身の回りの物質(小単元「物質を加熱したときの変化」)
3 電流とその利用(小単元「電圧と電流の関係(オームの法則)」)
4 化学変化と原子,分子(小単元「物質のなりたち」他)
5 運動の規則性(小単元「力と運動」)
6 物質と化学反応の利用(小単元「酸化と還元」)
7 科学技術と人間(小単元「エネルギー資源の有効利用」)
§2 第2分野
1 植物の生活と種類(小単元「生物の観察」)
2 大地の変化(小単元「地震」)
3 動物の生活と種類(小単元「動物のからだのはたらき」)
4 天気とその変化(小単元「天気とその変化」他)
5 生物の細胞と生殖(小単元「生物の細胞と成長」)
6 地球と宇宙(小単元「天体の一日の動き」)
7 自然と人間(小単元「自然界のつり合い」)
4章 中学校理科の総括的評価,評定の実際
§1 総括的評価,評定の工夫
1 総括的評価,評定の考え方
2 総括的評価,評定の事例
§2 通知票の活用
1 通知表の評価の形式と内容
2 生徒と保護者への説明責任

まえがき

 14年度4月から,完全学校週5日制の下での新しい教育課程がスタートしました。

 今回は,土・日曜日に学校が休日となる「ゆとり」の中で,各学校がそれぞれ特色のある教育を展開して,生徒に「生きる力」を育成することを基本的なねらいとして改訂されました。ここで言う「生きる力」とは,豊かな人間性や社会性,自ら学び自ら考える力などです。

 同時に,新しい評価の考え方が示され,これまでにも少しずつ進められてきた目標に準拠した絶対評価の考え方を,今回は評定にまで広げて徹底することになりました。これにより,各学校の教育活動に沿って評価規準を作成し,多様な評価方法を用いて評価活動を行うことになったわけです。

 目標に準拠した絶対評価の考え方を徹底する趣旨は理解されるのですが,いざ実施となると,いろいろな問題が浮かび上がってきました。例えば,各学校ごとにどのような評価規準を作成したらよいかが問題になりました。これは,国立教育政策研究所教育課程研究センターが作成した参考資料や,編者も関わった当社の「中学校理科の絶対評価規準づくり」(三輪洋次編)などの図書を参考にしたりして,自校の生徒に即した評価規準を作成したところではないかと思います。次に,日々の評価活動をどのように計画し,実施していくかということが問題になります。理科の場合,授業の実施計画を立てたり,観察・実験の準備などに時間がかかり,日々の評価活動の計画まで手がまわらないという実情も聞こえてきます。さらに,評価規準にもとづいて,実際にどのような基準でA,B,Cの評価をするかということも課題です。単にA,B,Cの評価をしただけでは意味がありません。Cと評価した生徒に,BやAになるような補充の指導を用意する必要があります。また,これらの観点別評価を総括して,5段階の評定をつけます。3段階の観点別評価を総括して5段階の評定にするのは,その分け方の基準がはっきり示されていない現状では難しいという問題もあります。今年の4月から,新しい評価の考え方に沿って実際の教育活動がスタートし,1学期,2学期の通知表をつけたところは,上述のような課題に関して継続研究中という学校が多いのではないでしょうか。

 また,いくつかの都道府県では,15年度高校入試から,この絶対評価による評定を内申に用いるようになりました。高校進学に関係するとなると,生徒や保護者の関心も非常に高くなります。この面からも,生徒や保護者への評価に関する情報公開,説明責任がこれまで以上に重要となってきました。どの学校も同じ学習指導要領の目標に準拠して評価規準を作成しているのですが,実際の授業や評価方法が異なり,評価の基準も授業者に任されているとなると,A校の「5」とB校の「5」が同じとは限りません。全国で共通の基準というものがない現状では,それぞれの学校(教科)ごとに評価の判断基準を設定し,明確に説明できるようにしておくことが重要になります。

 以上のように,新しい評価の考え方に沿って実際の評価活動を行っていく上で,様々な問題にぶつかり困っているという現場の声をたくさん耳にします。本書では,このような悩みに少しでも応えようと,理科の絶対評価の実際について取り上げました。

 第1章では,新しい理科の授業と絶対評価について,考え方の基本を取り上げました。特に,「指導と評価の一体化」をどのように考え,どのように日々の指導に活かしていけばよいかについての考え方,工夫点を取り上げています。

 第2章では,多様な評価方法について取り上げました。特に理科の教科に適した評価方法とその活用について,実際の例を挙げて示してあります。これらの多様な評価方法を指導内容に適した場で用いた評価活動を計画し,授業を活性化してほしいと願っています。

 第3章では,第1分野・2分野のそれぞれ大項目ごとに,1つまたはいくつかの小単元を設定し,観点別絶対評価の実際について示しています。特に「指導と評価の一体化」を強く意識できるように,「指導と評価の計画」を工夫しました。さらに,現場の先生方が実際に授業で活用している評価方法や,試みられている工夫事例等を挙げていただきました。

 第4章では,総括的評価,評定の実際について取り上げました。まだ継続研究中の学校が多いと思われますが,お読みくださる先生方の参考にしていただければ幸いです。

 評価の主な目的は,生徒の学習改善と授業者の指導改善です。今回の新しい評価も,この目的をよりよく実現する方向に進めなければ意味がありません。つまり,今までより楽しく充実した理科授業を行い,生徒に科学的な基礎・基本の力を確実に身に付けさせるとともに,生徒に自分自身の成長に気づかせてさらなる学習意欲へ結びつけさせるような評価を工夫していくこと,つまりは授業改善こそが重要であると考えます。

 お忙しい中,本書のためにご執筆いただき,貴重な実践事例を提供してくださった先生方に心から感謝申し上げます。

 最後に,本書の企画・出版にあたりお世話をお掛けした,明治図書編集部の安藤征宏,多賀井壽雄の両氏に心からお礼を申し上げます。


  平成15年2月   編者 /佐々木 和枝

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      明治図書

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