- まえがき
- 1章 「選択理科」の特選教材120の解説
- §1 「選択理科」の指導と本書の構成
- §2 課題別特選教材の一覧と解説
- 2章 「選択理科」の特選教材のモデル展開例
- A 物理領域
- §1 身の回りの物理現象
- テーマ1 もっと大きく見よう
- 課題1 望遠鏡をつくって遠くの景色をもっと大きく見よう
- テーマ2 光と音を集めてみよう
- 課題3 ビニル傘を使って集音器を作ろう
- テーマ3 見えない力を調べてみよう
- §2 電流
- テーマ1 電気を使って便利グッズをつくってみよう
- 課題11 セメント抵抗を組み合わせて使って,合成抵抗を調べてみよう
- セメント抵抗を組み合わせて使って,電流の大きさと発熱量の関係を調べてみよう
- 課題12 温度センサーを使って,お風呂センサー(一定温度でブザーが鳴る)を作ってみよう
- テーマ2 モーターと発電機の関係を調べてみよう
- 課題13 強力電磁石をつくってみよう
- モーターを使って発電機をつくってみよう
- 課題15 自分で電気を作ろう
- §3 運動とエネルギー
- テーマ1 ジェットコースターの運動を調べてみよう
- 課題17 小型ジェットコースターをつくってみよう
- テーマ2 エネルギーを変換しておもちゃをつくってみよう
- 課題19 光電池を使って,おもちゃをつくってみよう
- B 化学領域
- §1 気体や水溶液の性質
- テーマ1 気体をつくって調べよう
- 課題22 入浴剤で二酸化炭素をつくって調べよう
- テーマ2 水溶液の性質を調べよう
- 課題28 ミョウバンの結晶をつくろう
- §2 化学変化と分子・原子
- テーマ1 物質の反応を加熱して調べよう
- テーマ2 化学反応を記号であらわしてみよう
- §3 化学変化とイオン
- テーマ1 水に溶かして電流を流してみよう
- 課題39 いろいろな電池をつくってみよう
- 課題40 電解質に電圧を加えたときの変化を調べてみよう
- テーマ2 酸・アルカリの性質を調べよう
- 課題44 酸とアルカリを混ぜて中和反応をみよう
- §4 身の回りの物質とその変化
- テーマ1 身の回りの物質を調べよう
- 課題49 飲料を調べてみよう
- テーマ2 身の回りの物質を利用しよう
- 課題50 身近なもので指示薬をつくってみよう
- C 生物領域
- §1 植物の世界
- テーマ1 外へ出てみよう
- 課題 52 触ってみよう スケッチしてみよう
- テーマ2 植物を解剖してみよう
- §2 動物の世界
- テーマ1 動物の生活を調べよう
- 課題56 ウニやカエルの発生を観察しよう
- テーマ2 からだのつくりを調べよう
- 課題62 動物園でからだのつくりを比較しよう
- §3 生物のつながり
- テーマ1 顕微鏡でみてみよう
- テーマ2 分解者の働きを調べてみよう
- 課題69 土壌がデンプンを分解するか調べよう
- 課題71 発酵食品をつくってみよう
- §4 進化・遺伝
- テーマ1 遺伝や進化の神秘を探ろう
- 課題72 遺伝の規則性,細胞分裂をコンピュータシミュレーションで再現しよう
- 課題73 生物の進化のしくみを探ろう
- D 地学領域
- §1 大地の変化と地球
- テーマ1 校外で調べよう
- 課題74 露頭で大地の変動の様子を調べよう
- テーマ2 室内で調べよう
- 課題79 火山灰を調べよう
- テーマ3 つくってみよう
- 課題81 地形模型を作ろう
- テーマ4 コンピュータで調べよう
- 課題85 コンピュータを使い地殻変動の様子を調べよう
- §2 天気とその変化
- テーマ1 天気を予想しよう
- 課題91 インターネットで入手した気象情報から天気を予想しよう
- テーマ2 モデル実験をしよう
- 課題92 冬季海洋上に発生する筋状の雲の発生条件を調べよう
- 課題93 偏西風の流れをモデル実験で再現しよう
- §3 地球と宇宙
- テーマ1 肉眼や双眼鏡で夜空や天体望遠鏡で身近な天体を見てみよう
- 課題97 天体望遠鏡を作って月面のクレーターを見てみよう
- 課題99 天体望遠鏡で惑星を見てみよう
- テーマ2 宇宙のモデルをつくってみよう
- テーマ3 コンピュータで宇宙を見よう
- 課題104 天体シミュレーションソフトで調べてみよう
- E 環境とエネルギー
- テーマ1 リサイクルを考えよう
- 課題107 廃油から石けんをつくろう
- テーマ2 エネルギー資源を考えよう
- 課題111 バイオマスを体感しよう
- 課題112 風力発電機をつくってみよう
- テーマ3 自然環境を調べよう
- 課題113 水や大気の汚染の様子を調べよう
- テーマ4 地域の自然災害を調べよう
まえがき
平成10年12月に告示された中学校学習指導要領を受けて,いよいよ各学校では,教育課程の編成や各教科の年間指導計画として具体的な形をとろうとしています。
平成8年の中央教育審議会第一次答申が掲げた[生きる力]と[ゆとり]をキーワードとして,科学技術の発展に対応した理科教育の在り方について,次のように述べています。
初等中等教育においては,子供たちの自由な発想を大切にし,特に体験的な学習を通して子供たちに科学的なものの見方や考え方などの豊かな科学的素養を育成する必要があること。そのためにも,これまでの知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から,自ら学び自ら考える力や創造性の基礎となる力の育成を目指した教育に,その基調を変えていく必要があること。
これを受けて,平成10年7月に教育課程審議会答申が提出されましたが,ここではつぎの四つの基準が示されました。
(1) 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること
(2) 自ら学び,自ら考える力を育成すること
(3) ゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実すること
(4) 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校づくりを進めること
これを受けて,今回の中学校学習指導要領の改訂で特徴的なこととしては,各教科ともに時間と内容が大きく削減されたこと,「総合的な学習の時間」が新設されたこと,選択教科の履修幅が拡大されたことがあげられます。
必修教科では[ゆとり]の中で[生きる力]を育成し,それを補完し,あるいは発展させるために,選択教科の履修幅を拡大し,その中で生徒の特性などに応じて多様な学習活動を展開することが期待されています。
必修教科としての理科学習においては,「自ら学び自ら考える理科」へと基調の転換を図るとともに,これを実現するために,知的好奇心や探究心を持って,自然に親しみ,目的意識をもった観察,実験を行うことにより,科学的に調べる能力や態度を育てるとともに,科学的な見方や考え方を養うことができるようにする。また,ゆとりを持って観察,実験に取り組み,問題解決能力や多面的・総合的な見方を養うことを重視して内容の改善を図ることが大切です。
そして,選択教科としての理科学習においては,課題学習,補充的な学習や発展的な学習など,生徒の特性に応じた多様な学習活動が行えるよう各学校において適切に内容を定めることとされています。
今回の中学校学習指導要領の改訂では,確かに約3割の内容削減が行われ,科学技術立国としての日本の存続を憂慮する声も聴かれます。しかし,必修教科とのかかわりを踏まえて選択理科ではより広範囲で多様な学習を展開する機会が増えたことも事実です。このような状況こそ我々理科教師の手腕を発揮する絶好の機会でもあります。
生徒の発想や主体性を尊重した学習内容を進める中で,自らを考えさせ,自らに適した学習や自らに必要な学習などを見出させる機会を設定し,啓発する中で科学的な思考力を育てていくことができます。その大きな鍵となるのが選択教科の年間を通した学習計画と具体的な学習内容です。
本書に収められた120の学習素材は,そのひとつひとつがこれまで全国の理科の先生方が創意工夫をしながら実践を重ねてきた貴重な教材です。これらはどれをとっても,生徒の知的好奇心を刺激し,科学の楽しさ・面白など, その優れた力を実感できるものばかりです。
これらが,全国の先生方の選択教科としての理科学習の素材として活用されるとともに,必修教科としての理科学習の背景として生き生きとした活気ある学習活動の一助となれば幸いです。
2001年11月 編 者
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- 明治図書