- はじめに
- T 資質・能力を育てる新しい中学校理科の授業づくり
- 1 なぜ資質・能力の育成が大切なのか
- 2 第1分野の授業づくり
- U 理科のカリキュラム・デザイン
- 1 カリキュラムとは
- 2 第1分野のカリキュラムデザイン
- V 資質・能力を育てる第1分野の授業づくり例
- 1 身近な物理現象
- (1) 光と音
- (2) 力と圧力
- 2 身の回りの物質
- (1) 物質のすがた
- (2) 水溶液
- 3 電流とその利用
- (1) 電 流
- (2) 電流の利用
- 4 化学変化と原子,分子
- (1) 物質の成り立ち
- (2) 化学変化と物質の質量
- 5 物質と化学反応の利用
- (1) 物質と科学反応の利用
- 6 科学技術と人間
- (1) エネルギー資源
- (2) 科学技術と人間
はじめに
平成10年に中学校学習指導要領が告示され,14年の完全実施が間近に迫ってきた。
今回の改訂は,完全学校週5日制のもとで,ゆとりの中で自ら学び,自ら考え,問題を解決する「生きる力」をはぐくむことが大きな目標として掲げられている。
中学校理科では,「目的意識をもった」観察,実験を行うことにより,科学的に調べる能力や態度を育て,科学的な見方や考え方を養うことを重視しているが,そのことが「生きる力」をはぐくむことにつながるのである。
そのためには,日常生活との関連を図った学習や,自然体験や自然と人間とのかかわりなどの学習を一層推進する必要がある。
また,生徒がゆとりをもって観察,実験に取り組み,問題解決能力や多面的・総合的な見方ができるような教育を展開していく必要がある。
理科では,内容(知識・理解)と方法(学び方)を身に付けることが大切であるが,これまでは,どちらかといえば内容の理解に重点が置かれてきた。
その影響は,IEA調査(国際理科教育調査)で,我が国の中学生の理科の成績は世界のトップクラスなのに理科が好きな生徒が最低レベルであったこと,計算問題はできるが,理科で習ったことを日常生活と関連付けて考察する力が弱いという事実に表れているように思われる。
自ら問題を発見し,自ら考える力を育てるためには,なるべく自然事象に触れること,よく観察・実験をしたり,飼育・栽培をしたり,見学・調査,ものづくりなどを行うことが大切である。すなわち,予想したり仮説をたてたり,調べたり,討論したり,論理的に思考したり,自らの考えを導き出して結果をまとめたり発表する機会を増やすことである。
本書は資質・能力の育成をテーマとしている。資質・能力とは,端的に言えば,主体的に学び,科学的に思考し判断する力ということができる。
本書は,日頃から創意工夫をこらして理科教育に熱心に取り組み,深い知識と経験をおもちの先生方の執筆によって刊行されたものである。
新教育課程での授業の構想,計画,展開に当たって,本書を大いに活用していただき,理科好きの生徒をたくさん育てていただくことを念願している。
最後に,本書の編集にご尽力いただいた明治図書の仁井田,原田の両氏に心から謝意を表する次第である。
/江田 稔
具体的な実践論集なので、大変助かりました。