- まえがき
- 理科改訂の主なポイント
- 体験の不足と拡散的思考力の欠如
- 理科の時間数の減少でゆとりはもたらされるか
- 内容厳選の視点はどこにあるか
- 理科の基礎・基本とは
- 探究的な学習をどう展開するか
- 小グループ・TTによる理科学習
- 理科学習における地域との連携
- 教師の研修の問題
- 評価について
- 表現力の育成について
- 選択理科の拡充について
- 総合的な学習プロジェクトを組む
- 理科室のコンピュータ整備と活用について
- 理科室の環境整備
はじめに
今後わが国は少子高齢化が一層進み、かつて経験したことのない厳しい時代を迎える。
また、科学技術や情報化の進展、産業構造の変化は予想がつかないほどである。さらには、環境問題が一層深刻になることも予想されている。このような状況のもとで21世紀に生きる子どもたちには、たくましく生きる力と創造的な能力を身に付けてもらいたいものである。
生きる力とは、自分で課題を見つけ、自ら考え、自ら問題を解決していく資質や能力のことである。
平成10年に提出された今回の教育課程審議会の答申では、これからの教育課程の改善の方針として、教育内容を厳選し、ゆとりをもった学習指導を通して、思考力や判断力を育成し問題解決能力を育成することが大切であるとしている。
中学校理科においては、好奇心や探究心をもって自然に親しみ、目的意識をもった観察、実験を行うことが大切であることが述べられている。
そのためには、体験的な学習、問題解決的な学習、自ら調べ・まとめ・発表したり、討論するなど生徒が主体的に活躍する機会を増やしていく必要がある。また、多様な学習評価を取り入れたり、ティームティーチングや地域の人材や施設との連携などを積極的に推進していくことも大切である。それには解決すべき課題も多い。
本書がそれらの課題の解決にいささかでも示唆になれば幸いである。
1999年5月 /江田 稔
-
- 明治図書