- まえがき
- T 改訂のねらいと基本方針
- 1 教育課程の改訂の基本的な考え方
- 2 中学校理科の現状について
- 3 教育課程審議会の答申
- 4 改善の具体的要点
- 5 今回の改訂の特徴
- 6 これからの理科指導について大切なこと
- U 改訂中学校理科の構造
- 1 全体構造
- 2 厳 選
- 3 年間指導計画の作成
- V 理科の内容改訂の解説
- 1 理科の目標
- 2 第1分野
- 〈目 標〉
- 〈内 容〉
- (1) 身近な物理現象
- (2) 身の回りの物質
- (3) 電流とその利用
- (4) 化学変化と原子,分子
- (5) 運動の規則性
- (6) 物質と化学反応の利用
- (7) 科学技術と人間
- 3 第2分野
- 〈目 標〉
- 〈内 容〉
- (1) 植物の生活と種類
- (2) 大地の変化
- (3) 動物の生活と種類
- (4) 天気とその変化
- (5) 生物の細胞と生殖
- (6) 地球と宇宙
- (7) 自然と人間
- W 指導計画の作成と内容の取扱い
- X 中学校新理科の実践課題と具体例
- (1) 年間指導計画例1(第1分野)
- (2) 年間指導計画例2(第2分野)
- (3) 野外観察,校外施設等の利用
- (4) 探究的学習のための具体的方策
- (5) 理科室整備と飼育・栽培
- (6) TT,外部人材の協力
- (7) コンピュータ等の活用
- (8) 新しい選択理科の展開
- (9) 総合的な学習の時間との関連
- 〈付録〉
- 学校教育法施行規則(抄)
- 中学校学習指導要領「総則」
- 中学校学習指導要領「理科」
まえがき
我が国の理科教育は世界に誇れるものであり,トップレベルにあることは間違いない。このことは,理科教師として自信をもってよいことである。ややもするとこれまでの教育はよくなかったというような見方をしがちであるが,決してそのようなことはない。ただ,時代が激しく変わってきているので,それに対応して理科教育も改善や変化が求められているということである。
今回の中学校理科の改善のキーワードは「目的意識をもった観察,実験を行い」「問題解決能力を育成する」ことである。
これまでの我が国の素晴らしい発展を支えてきた理科教師が,これから求められているこれらのキーワードに対応できないはずはない。
中学校段階の理科学習のねらいは,社会人として最小限必要な自然の事象に関する知識と論理的な思考力,表現力,判断力を身に付けることである。
すなわち,生涯学習の基盤となる基礎的・基本的な資質能力を身に付けることである。このため,内容は厳選したが,基礎的な事柄は徹底して身に付けさせることとしたのである。では,基礎・基本とは何かということになるが,知識だけが基礎・基本ということはあり得ない。学習が成り立つ基礎として,学ぶ意欲や学び方が身に付いていなければならない。それらのすべてを理科教育を通してどのように身に付けさせるかが問われているのである。
また,今回の改訂の特徴は,共通に身に付ける知識の量は厳選した一方,能力や個性に応じて生徒の特質を最大限伸ばせるように改善を図っていることである。
すなわち,必修理科,選択理科を問わず,これまで以上に多様な生徒に応じたきめ細かい教育を行う必要があるということである。
そのためには,必修理科では学習の導入の工夫,個に応じた学習の展開,実験,観察のやり直し,選択理科では興味や能力に応じたきめ細かい指導等が求められよう。その際,TTやコンピュータ等の活用なども大切なことである。
また,授業の改善と同時に評価の在り方も知識に偏った評価から思考力,表現力,判断力なども重視する評価へと変わっていかなければならない。
本書は,中学校学習指導要領の作成に深いつながりをもつ者たちが上記の趣旨がよりよく実現することを念願して解説を試みたものである。
本書が改訂の学習指導要領の解説になると同時に,今後の理科教育への思索への一助になることを念願するものである。
平成11年10月 編著者代表 /江田 稔
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- 明治図書